サービス残業を取り締まる、労働基準監督所を持っているのに関わらず、霞ヶ関で一番残業が多いと言われるのが厚生労働省。
ある官僚の方からは、
「いやー、働き方改革って言ってるくせに、自分たちができてないんですよね」
「これじゃあ厚生労働省ならぬ、強制労働省ですよ、ええ(自嘲」
という発言も飛び出します。
とはいえ、厚労省は社会保障全体を取り扱うため、図体が馬鹿デカすぎて、なかなか組織として一気に変えることは難しいのです。
そこで、若手官僚の方々が、立ち上がりました。
厚生労働省ジョカツ部。
ジョカツ部は、女性・イクメン活躍検討チームの愛称で、大臣直下に10月、有志のチームとして作られました。
僕は11月、ジョカツ部のヒアリングに呼ばれました。
厚労省若手官僚チームから呼んでもらえて、ちょっと嬉しかったです。
なぜなら、僕は日々、厚労省の保育関係部署の課長連中にガンガンもの申していて、そのせいで彼らの仕事がバンバン増えて、相当憎まれているためです。
そんな厚労省にとってうるさい若造である僕を呼んでくれるとは、さぞや改革派の若手であるに違いない。
そう思って会議室でも
「審議会のスケジューリングをエクセルでやるのやめて。レクも電話でいいです。あと、政策効果も見える化しましょうよ。働き方改革は、残業上限規制ですよ」等とまくしたてました。
しかし、彼らは「いや・・・産業界が・・・」「いや、内部的にはそれは・・・」等とできない理由を並べ立てたので、何を言ってるんじゃ、若手なんだから課長級が言うような言い訳いってんじゃないよ、とやんわり伝えつつも、失望したのでした。なんだ、結局は同じか、と。
けれども、後でジョカツ部幹事の方から連絡がありました。
「今度、こんなことをするんです。プレスリリースも作ってみました」と。
驚きました。官庁発のプレスリリースなのに、こんなにカジュアル。手作り感満載で、ダサいけど、けれどダサくてもとにかく取り上げてもらえるように工夫しているハングリー感。彼らはやはり、できない言い訳をして終わる若者たちではなかったのです。
さらには、、本日12月27日、厚労大臣にイクボス宣言(俺は部下の育児やワークライフバランスに配慮するぜ!の宣言)をさせるところまで、持っていったのです。大臣は、言ったからには、やらないと格好がつきません。
大臣がやっていたら、管理職も多少なりともイクボス化しないと、上に示しがつきません。
厚労省の官僚トップの事務次官まで
上級管理職も連座して・・・
そうやって、マネジメント層のマインドセットを変えていくのです。
しかも、これは湖に投げられた小石となる可能性があります。
すなわち、厚生労働大臣がイクボス宣言したとなると、他の大臣たちは、何やってるの、と言うことになります。
「産業界にああだこうだ言う、経済産業大臣がやらないと、格好悪いよね」
「教員の過重労働を是正しないと、って言ってるんだから、文科省も宣言しようよ」
「官庁の残業代削減は財政にも良いから、財務省もでしょ」等など、他の省庁、政府全体に波及していく可能性だってあります。
そして最後には、安倍総理みずから、イクボス宣言をしていくことになれば。
働き方改革への本気を、国民に示すことになります。
そう、20代、30代の若手官僚が、日常業務でひーこら言いながらも、その合間を縫って打ち込んだ今回の仕掛け、応援しようじゃないですか。
そしてそれを指くわえて見ているのではなく、企業で働くあなた、地方自治体で働くあなた。ぜひ上司に、トップにイクボス宣言してもらいましょう。そして日本の狂った長時間労働文化を変えていきましょう。
文化や社会は、いつだって本気になった少数の意思ある者たちの手で変わってきたのですから。
*さらに興味を持った人は、この手作り感満載のYoutube動画を見てほしい!予算はあからさまにゼロだけど、火傷しそうな熱い魂こもってます!
(2016年12月27日「駒崎弘樹公式サイト」より転載)