西日本における過去100日間の震央分布(赤いほど震央が浅く、丸が大きいほどマグニチュードの規模が大きいことを表す)
熊本地震の前震が発生してから2カ月、今日17時までに1736回の地震を観測しました。梅雨入りを迎え、地盤の緩んでいる地域では地震だけではなく「雨」への注意が必要です。
これまでの地震活動の状況
最大震度7を観測した「平成28年熊本地震」の前震が発生してから2カ月がたちました。総務省消防庁によると、死者69人、負傷者1663人、住宅全壊7151棟の被害が発生しました(6月7日現在)。(※気象庁報道発表資料「平成28年5月の地震活動及び火山活動について」より)
地震活動は少しずつ落ち着いてきているように見えますが、やはり前震の発生前よりも地震活動が多い状態は続いており、依然として注意が必要です。
下の図はこの1年における月ごとの地震の震央分布で、4月以降今日現在まで、布田川断層帯や日奈久断層帯がある熊本県を中心に震央が線状にならび、地震活動の多い状態が継続していることがわかります。
より詳しい震央の分布状況は、下記リンク先をご覧ください。
4月14日21時から今日17時までに、熊本県熊本地方・熊本県阿蘇地方・大分県西部・大分県中部では震度1以上の地震を1736回観測しました。5月は九州地方において震度5弱以上の地震の発生は1回もありませんでしたが、つい先日6月12日22時8分には、44日ぶりに震度4を超える強い地震が発生し、熊本県八代市で震度5弱を観測しました。
6月13日の記者会見で気象庁は「おおむね1か月程度は震度5強程度の揺れを伴う地震に十分注意をしてほしい。」と注意を呼びかけています。
今年の梅雨は降水量が多くなる見込み・被災地では「雨」の情報に注意を
九州北部地方では6月4日頃に梅雨入りしたと見られていますが、今年は6~7月にかけて西日本を中心に梅雨前線の活動が活発になると予想され、九州北部地方では雨や曇りの日が多く、降水量が平年並か多い見込みです。
大きな地震が発生した後は、地盤が緩み、これまでよりも土砂災害が起こりやすくなっていますから、この時期はよりいっそう雨に対する注意が必要です。
そのため気象庁は、今現在も熊本県・大分県・福岡県・佐賀県・長崎県・宮城県のうち地震の揺れが強かった市町村の大雨警報・注意報、土砂災害警戒情報、洪水警報・注意報の発表基準を通常の7~8割まで下げています。梅雨前線の影響を受けやすいこの時期、雨が予想されている際や雨が降っている状況では、これら情報の発表状況をより意識するようにしてください。
そして、万が一各種情報が発表された際は、自治体の避難情報に従うことはもちろん、地盤が弱くなっている地域にお住まいの方は、状況によっては自主的な避難も検討なさってください。
また、これらの情報が発表されていなくても、『いつもと違う状況』を感じたら、それは土砂災害発生の前兆かもしれません。ただちに避難するようにしましょう。
【土砂災害の前兆】
●河川や湧水が濁る
●河川の水位が急激に減る
●河川に流木がたくさん流れてくる
●崖から小石がぱらぱらと落ちてくる
●崖や地面に亀裂が発生する
●崖や斜面から水が噴出す
●山鳴りや地鳴りが聞こえる
●腐った土のにおいがする
など
この先九州地方では、16日に梅雨前線の影響で雨が予想されています。雨量が多くなることも予想されていますので、最新の気象情報や警報・注意報の発表状況をご確認ください。
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