アメリカの未成年者はフェイスブックの世界で多くの時間を費やしているが、最近10代の一部でフェイスブック疲れが散見され始めており、TwitterやInstagram、Tumblr、Snapchatに流れ出している。このような未成年者のSNS利用実態レポート「Teens, Social Media, and Privacy」が、Pew Internet & American Life Projectから公表された。
まず、未成年の10代(12~17歳)と大人(18歳以上)のそれぞれの、SNSの利用状況から見ていこう。米国では未成年(12~17歳)の95%がインターネットを利用しいるが、そのインターネットユーザーの約8割が何らかのソーシャルメディアを使っている。下のグラフのように、フェイスブックのようなSNSを未成年インターネットユーザーの81%が2012年に利用していた。でもフェイスブック利用が頭打ちになってきているようで、ツイッター(Twitter)のような勢いのあるサービスが食い込んでいる。Twitterを利用している割合は、2011年の16%から12年には24%と上昇している。フェイスブックは数年前まで若者中心のサービスであったが、徐々に中高年層にも浸透していき、大人の67%もがフェイスブックの世界に入り込んでいる。
(ソース: The Pew Research Center Internet & American Life Project Teen & Parent surveys)
次に10代(12~17歳)のソーシャルメディア・ユーザーが、どのようなソーシャルメディア・プロフィール(アカウント)を取得しているかを見てみる。やはり、10代ではフェイスブックの利用が前提になっているのが明らかである。94%もの若者がフェイスブックを使っているのだ。でも今若者が新たに飛びつき始めたのは、旬の4大ソーシャルメディア(前の記事で紹介)のTwitter、Instagram、Tumblr、Pinterestである。なかでも前の三つのサービスである。Pinterestはおしゃれ好きな大人の女性がはまるが、未成年の女性はいまひとつかもしれない。
(ソース: The Pew Research Center's Internet & American Life Teen-Parent survey,
July 26-September 30, 2012.)
この表で興味深いのは、老舗のYahooが7%から2%と若者離れが目立つことである。急いでTumblrを買収したのもうなずける。
ともかく、米国の若者はソーシャルメディアにどっぷりとつかっている。そこで気になるのはプライバシー問題である。米国の未成年ユーザーが、ソーシャルメディアのプロフィールに個人情報を提供しているのだろうか。調査結果は次の通りである。10代ユーザーのうち、93%が実名を、92%が写真を、73%が学校名を、72%が居住地を、63%が家族を、54%がeメールアドレスを提供している。個人情報がほとんど丸出しである。
(ソース: Pew Internet Teens and Privacy Management Survey, July 26-September 30, 2012.)
フェイスブックのようなSNSでは、個人情報の共有範囲を設定できるので、きっちりと設定しておれば大丈夫かもしれないが。そこで10代のフェイスブックユーザーに個人情報の共有範囲をどのように設定しているかを聞いた結果が、次の通りである。60%のユーザーは友達だけ、25%は友達の友達まで(もちろん友達も含む)、14%はすべてのユーザーに公開となっている。ただし友達といっても、10代のフェイスブックユーザーは平均して425人の友達を有しており、必ずしもリアルの世界で付き合っている友達とは限らないのでは。
(ソース: Pew Internet Parent/Teen Privacy Survey, July 26-September 30,
2012.)
今回のレポートで面白いのは、Pewのスタッフが10代のソーシャルメディア・ユーザーに面談し、その内容が掲載されていることだ。たとえば、
Female (age 15): "I have a Facebook, a Tumblr, and Twitter. I don't use Facebook or Twitter much. I rather use Tumblr to look for interesting stories. I like Tumblr because I don't have to present a specific or false image of myself and I don't have to interact with people I don't necessarily want to talk to."
この少女のように、フェイスブック疲れを訴えている子供が目立った。米国の10代は、現実の生活のために嫌でも、フェイスブックを使わざる得ない状況にあるようだ。同世代の友人だけではなくて、親や親戚それに先生とのコミュニケーションの場として居なければならないのか。それにネット上での自分の評価やうわさを、いつも気にしている子供が多い。そのため本音を語り合えないとの不満がくすぶっている。親などの大人の目の届くコミュニティーでは、疲れてくるのも当然かも。Atlanticの最新記事で、"Teens Are Turning Away from Facebook Because Tumblr Is Real, and Parent-Free"とあったのも、わかる。
◇参考
・Teens, Social Media, and Privacy(Pew Internet)
・Pew: 94% Of Teenagers Use Facebook, Have 425 Facebook Friends, But Twitter & Instagram Adoption Way Up(Marketing Land)
(この記事は5月22日の「メディア・パブ」より転載しました)