韓国の朴槿恵大統領は1月13日、記者会見で国民向け談話を発表し、北朝鮮の核実験を「世界の平和と安全を脅かす容認できない挑戦」と非難し、制裁を呼びかけるなど、国内外の課題についての施政方針を述べた。
2015年末に慰安婦問題についての日韓外相合意に、韓国内で反対の世論が勢いを増していることについて、朴大統領は質疑応答で「最上のものを得ようと、きちんと合意がされるよう努力したことは認めてほしい」と答え、元慰安婦や支援団体が「当事者との事前の協議がなかった」と反発している点も「事実と違う」と反論した。
ハフポスト韓国版によると、朝鮮日報の記者が「日本の法的責任を認めず、合意した理由はなぜか。米韓関係も作用したのか。慰安婦像(少女像)の撤去についてもどのような合意があったのか。大統領の立場は。政府は慰安婦問題の合意に関して、被害者である元慰安婦とどのようなコミュニケーションを取ったのか。大統領が直接会うつもりはあるか」との質問に答えた。
朴大統領は日韓間の焦点となっている、日本大使館前の慰安婦像(少女像)の移転については「日韓の外相が共同記者会見で発言した、それ以上でもそれ以下でもない。政府が少女像についてああしろ、こうしろと言える問題でもない」と、韓国政府の責任について明言を避けた。
慰安婦問題に関する質疑応答での、朴大統領の発言は以下の通り。
「協議というものはいろいろ現実的な制約があり、100%満足にはできない。この問題が浮上して24年間、歴代のどの政権もきちんと扱えず、あげくの果てにあきらめてしまった非常に難しい問題だった。
その難しい問題を、最大限の誠意をもって、今できる最上のあるものを得ようとして、きちんと合意されるよう、努力したことは認めてほしいと思う。
今、現実的にどんな問題があるのかといえば、昨年(2015年)に9人の元慰安婦の方が亡くなり、健在なのは46人しかいない、平均年齢は89歳(数え年)に達する。時間がない。1人でも多く生きておられるときに、謝罪を受けて怨念を解いてもらわないといけないのではないか。名誉と尊厳が回復されなければならないと、差し迫って切迫した心情でこれまで努力してきた。
そして機会あるごとに、日本政府に解決を促してきたし、歴代大統領と違って私は国連や国際会議など公開の場で話してきた。そして日本がこの問題についてさらに関心を持ってプレッシャーを受けるよう、会議でも公開の場で提起してきた。
合意が足りないのではないかという指摘も承知しているが、去年だけでも外交部レベルであちこち地方を回って、15回、関連団体と被害者に会って努力してきたし、多様な経路で元慰安婦が望むことを聞いた。
そして、元慰安婦の方々が重要だと考えることは共通して3種類だった。
一つは日本軍が関与したということを確実に明らかにしてほしい。2番目は、日本政府レベルの公式な謝罪がなされなければならない。3つ目は、日本政府の資金で被害を補償してほしいという3種類に要約される。今回の合意は、この3種類を忠実に反映した結果だと言える。
同じ慰安婦として被害を受けた東南アジアなどの国々が、韓国と同じレベルにしてくれと、日本政府に要求しているではないか。
結果について批判は誰でもできる。しかし自身が責任ある位置にあったとき、この問題解決に取り組もうとすらせず、今になって無効だと主張する政治攻撃の口実に使われているのは残念な姿だと思う。
少女像の移転問題については、日韓の外相が共同記者会見で発言した、それ以上でもそれ以下でもない。そこに出てくる発表そのままがすべてであり、政府が少女像についてああしろ、こうしろと言える問題でもない。しかししばしば歪曲され、変な話になるのは望ましくない。存在しない問題をしばしば持ち上げている。
何より重要なのは、合意が忠実に履行されることで、被害者の名誉と尊厳が回復され、余生を安らかに暮らせる場を持てるよう履行していくことであり、その過程で元慰安婦の理解を求める努力も続けていく」
この記事はハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳、加筆しました。
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