AI関連ファンドの人気は短命かも?~2018年5月の投信動向:研究員の眼

バランス型の資金流入が増加

バランス型の資金流入が増加

2018年5月の国内公募追加型投信(ETFを除く)の推計資金流出入をみると、国内株式、外国株式、バランス型への資金流入が続いた【図表1】。

流入金額は、国内株式が900億円弱、外国株式が2,000億円強であり、4月と同程度の流入であった。バランス型については、資金流入が1,500億円を超え、4月の900億円弱から流入額が増加した。その一方で、外国債券、国内REIT、外国REITからは資金流出が続いた。特に、外国債券からは1,500億円を超える資金流出があった。

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バランス型の資金流入増加の要因の一つには、隔月分配のファンドの人気が高まったことが挙げられる。5月は大型の新規設定ファンドが無かったにもかかわらず、バランス型の隔月分配ファンドには300億円を超える資金流入があり、4月の200億円から増加した。隔月分配だけでなく、毎月分配のバランス型ファンドへも、2ファンドを中心に350億円程度の資金流入があった【図表2:赤字】。

外国債券や外国REITでは毎月分配型ファンドの大型解約が続いているが、バランス型の毎月、隔月分配ファンドへの資金流入は継続しており、高頻度の分配金へのニーズは引き続き高いといえるだろう。

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日経平均22,500円が意識される国内株式

国内株式の900億円弱の資金流入のうち、750億円程度が中小型株アクティブ・ファンドへの資金流入であり、引き続き中小型株アクティブ・ファンドの人気が高かった。5月は昨年秋の設定以来、大規模な資金流入が続いている「JPMザ・ジャパン(年4回決算型)」に加えて、「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」も100億円以上の資金を集めた【図表2:青字】。

「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」は2000年に設定されたいわば古株ファンドである。4月に格付投資情報センター社が毎年行っている調査で表彰されたことがきっかけに、投資家の注目が集まったものと思われる。

また、5月はパッシブ・ファンドからの資金流出が100億円と4月の140億円から比べてやや鈍化した。ただし、日経平均が22,500円を超えた9日から23日にかけては、資金流出が顕著であった【図表3:黄棒】。

特に14日には1日で150億円以上の資金が流出し、9日から23日までの累計で450億円を超える流出した。その一方で、株価が下落して日経平均株価が再び22,500円を下回った24日以降は一転して資金が流入し、流入金額は累計で300億円を超えた。

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パッシブ・ファンドの資金フローから、5月は「日経平均株価22,500円」が多くの投資家に意識されていたことが分かる。日経平均株価が22,500円を超える水準では積極的に購入する投資家は少なく、逆に利益確定売りに動く投資家が多かったようだ。

高パフォーマンスでも関心が薄らぐAI関連ファンド

5月にパフォーマンスが良好であったファンドを見ると、外国REITのファンドが総じて良好であった。5月は後半に欧州の政治問題から投資家のリスク回避姿勢が強まり、米国の長期金利が低下した。この米国の金利低下を好感して、米国REITが大きく上昇したためである。特に、ヘルスケアREITの上昇が大きく、5月の収益率は9.5%となった【図表4:赤字】。

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AOL

その他、米国株式は市場全体で見ると小幅な上昇であったが、一部のハイテク関連株や中小型株などは大きく上昇したため、それらの恩恵を享受できたテーマ株ファンドやアクティブ・ファンドも高パフォーマンスであった。

「グローバルAIファンド」【図表4:青字】に代表される「AI(人工知能)」に関連するテクノロジー系のテーマ株ファンド(ここでは単純にファンド名に「AI」が含まれているファンドとする。以後、AI関連ファンド)の多くが5%を超える収益率を上げ、総じて好調であった。

「AI」は、2017年に人気を集めたテーマであった。足元1年のAI関連ファンドの資金動向を見ると、大型の新規設定が無かったにもかかわらず2018年1月までは資金流入が続いていた。しかし、2月に資金流入が止まり、3月以降は流出基調となった。

5月もパフォーマンスは良好であったが、140億円ほど資金流出した。2月以降のAI関連ファンドの資金フローから見ると、投資家の関心はAI関連ファンドから離れていることがうかがえる。「AI」はこれから実社会に浸透していくテクノロジーであるため、息の長い投資テーマになると思われたが、投資家の関心は移ろいやすく、AI関連ファンドのブームは思ったよりも短いのかもしれない。

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(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。

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(2018年6月7日「研究員の眼」より転載)

株式会社ニッセイ基礎研究所

金融研究部 研究員