PRESENTED BY ふくしま12市町村移住支援センター

起業家は福島へ行くべし?「移住者が倍増」ローカル起業家が注目する5つの理由

なぜ今、福島移住がローカル起業家から注目を集めているのか?

コロナ禍の影響もあり、地方への移住者が増えている昨今。ローカル起業家の移住先として、福島県が注目を集めています。2021年度には若い世代を中心に移住者が倍増。過去最多を更新したそう。

 

東日本大震災から10年余り。なぜ今、福島がローカル起業家から注目を集めているのでしょう? ふくしま12市町村移住支援センター長・藤沢烈さんへの取材をもとに、その理由をまとめました。

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藤沢烈(ふじさわ・れつ)さん:ふくしま12市町村移住支援センター長/一般社団法人RCF代表理事
tomohiro takeshita

1. 被災地ゆえに高い注目度。PRがしやすい

まず挙げられるのが、福島は東日本大震災の被災地として、復興への期待が寄せられている点。実際に、大規模な復興事業がおこなわれている12市町村(※)への注目度は高く、移住者数の伸びも顕著だといいます。

 

※東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う避難指示等の対象となった12市町村のこと(田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村)

 

また藤沢さんによると、12市町村はメディアからの関心が高く、ユニークな取り組みをおこなっている起業家はメディアへ露出する機会も多いとのこと。

 

 2人口増で市場が拡大。供給が追いつかず、売り手市場に

次に注目すべきは、人口増に伴い拡大傾向にある市場です。「急速に人口が増えているけど、その伸び率のわりにお店が足りていない」と藤沢さん。つまり、需要に対して供給が追いついていない。だから、マーケットとしてすごく可能性があるといいます。

 

たとえば、浪江町や富岡町は5年ほど前からようやく住民の帰還が始まりました。そこから新しい家屋や商店街ができて、風景は一変。当初は住む人がいなかったところから、今では数千人規模まで増えています。

 

人は増え続けているにもかかわらず、飲食店やレジャー施設など「お金の出し先が少ない」と語る藤沢さん。「みんな休日は仙台とかに遊びに行く。だから、県外まで行かずに地域でお金を落としてほしい。今はそういうサービスがすごく求められているんです」

 

そうした地元住民のニーズを満たす商品やサービスを提供し、成功している起業家もいます。たとえば、南相馬市の洞窟本格サウナ「発達」。洞窟内部を温めて入る古代のお風呂から着想を得た「発達」は、まさに地元の資源を生かし、地元民に憩いの場を提供するローカル起業の成功例ともいえます。

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サウナ「発達」。座面と壁面がすべて土でできているため、蓄熱効果と輻射熱による岩盤浴とサウナのW効果を得られるそう。サウナ好きの筆者としては、一度訪れてみたい……

一方で地域の資源を生かしつつ、福島県外へ商品・サービスを提供している人もいます。福島沿岸のお米を使って日本酒をつくる「ぷくぷく醸造」もその一つ。お酒を通して福島の沿岸に田畑を増やすことを目指して、クラフトビールの技術と文化を掛け合わせた独自の日本酒づくりをおこなっています。

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「ぷくぷく醸造のホップサケ ネルソンソーヴィン」。福島県内の酒販店や、GINZA SIXなど、全国の酒販店にて販売されている。藤沢さん曰く、「ぷくぷく醸造」のお酒は福島県内でも人気が高く、なかなか手に入らないそう

「発達」や「ぷくぷく醸造」に限らず、多種多様なローカルビジネスに挑戦する若手起業家たちが福島に集まってきているそう。次の項では、そんなローカル起業家を支える支援制度について紹介します。

 

 3. 移住も起業も。手厚い支援制度がある

福島には、他の都市と比較しても優れた支援制度があります。これも移住者が集まる呼水の一つ。12市町村で起業するうえで活用できる制度は、主に「福島県12市町村移住支援金」と「福島県12市町村起業支援金」。

 

・福島県12市町村移住支援金

全国からの12市町村への移住者を対象に支援金を支給するというもの。具体的には、家族で移住する場合は     最大200万円、単身の場合は最大120万円の支援金が受け取れます。これは全国の同様の制度と比べると、およそ倍額とのこと。遠方への引っ越しはどうしても出費がかさんでしまう。移住者にとって、かなり助かる制度ですよね。

 

・福島県12市町村起業支援金

12市町村に移住して新たに起業した人を対象に、起業にかかった経費の4分の3以内、最大400万円を補助してくれる制度です。こちらも全国の同様の制度と比べると、およそ倍額とのこと。さらに特筆すべきは、個人事業主でも給付対象になるという点。つまり、要件を満たせばライターなどのフリーランサーも支援の対象に入るんです。

 

これらの制度は併用することも可能なので、合わせて最大600万円の資金援助を受けることができます。地方での事業立ち上げを目指すローカル起業家にとって、これは願ってもないチャンスではないでしょうか。

 

 4. 起業後もサポートを受けられる

福島では、起業後も幅広いサポートを提供しています。たとえば事業成長に欠かせない採用も、ふくしま12市町村移住支援センターで支援しているそう。その内容は充実していて、福島県内に限らず、県外からも高い専門性を持つ人材を呼び込むことが可能だといいます。

 

加えて、商品の販路拡大を助ける取り組みもあるそう。たとえば酒蔵を立ち上げたとして、その商品を全国に売りたいけど伝手がない。そんな起業家の悩みに対して、JRと組んで物産展を企画するなど、具体的なサポートをしているそうです。

 

このように、企業と自治体が連携しながら移住者や起業家を支える。そして「復興のために総力戦で挑もう」とするムードが福島にはあるのです。

 

 5. 公私ともに支えてくれる、起業家コミュニティ

ローカル起業家が福島に注目している最後の理由は、起業家コミュニティの存在です。福島には起業家を支えるさまざまなコミュニティがあります。

 

たとえば、南相馬市にある「小高ワーカーズベース」。ローカルビジネスの創出を通じて、福島の自立を目指す同社は、泊まれるコワーキングスペースを運営しています。このコワーキングスペースは、ローカル起業家たちが交流する場として賑わっているそう。

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小高ワーカーズベースのプロジェクト「Next Commons Lab南相馬」。「予測不能な未来を楽しもう」をテーマに、起業を通した町おこしをおこなっている

また、福島の13市町村からなる浜通りを拠点とした「HAMADOORI13」も、ローカル起業家を支える重要なコミュニティ。この「HAMADOORI13」は、地元の経営者たちを中心に立ち上げられた組織で、とくに若手の支援を熱心におこなっているそうです。

 

 

今の福島には、社会からの高い関心に加え、上り調子の市場に手厚い支援制度、そして活発なコミュニティまである。まさにローカル起業家にとって、理想的なロケーションであることがわかりました。

 

また印象深かったのが、「福島での暮らしは、12市町村をめいっぱい使って遊ぶようなもの」という藤沢さんの言葉。キャンプや登山、サーフィンなどのアウトドアから、地酒と海鮮にいたるまで、福島の大自然を満喫する。そんな東京にはない「楽しみ」を見つけることで、仕事もプライベートも最高に充実させられると話してくれました。

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tomohiro takeshita

12市町村での起業や暮らしに興味が湧いた方は、ふくしま12市町村移住支援センターの移住ポータルサイトを訪れてみては? きっと素敵な発見があるはずです。

    

写真:tomohiro takeshita