森且行、44歳。SMAP5人への”誓い”の先にあるもの 「業界をなくさないため、僕は腹をくくった」

《ハフポスト日本版・単独インタビュー》
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Jun Tsuboike/HuffPost Japan

オートレーサー、森且行選手。44歳。

人気絶頂にのぼりつめたSMAPを辞め、夢だったレーサーに転身したのは21年も前に遡る。

以来、プロレーサーとして第一線で活躍する森さんは、最高グレード「SG」のレースに勝って「日本一になる」という夢を叶えるため、ずっと努力を続けている。

20年以上、一途にひとつの夢を追いかけられる原動力は何だろうか? 中古車買取サービス「カープライス」のアンバサダーに就任した森さんに、ハフポスト日本版が単独インタビューした。

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Jun Tsuboike/HuffPost Japan

原動力は、メンバーへの誓い

森さんがSMAPを脱退したのは、1996年5月のことだった。

アイドルが料理をして、コントをする。当時とても斬新な内容で大人気となったSMAPの冠番組『SMAP×SMAP』が放送を開始した直後だった。

突然の脱退宣言は、「みんなに申し訳ない気持ちでいっぱいだった」という。

その時、森さんを新しい道へと送り出してくれた中居正広さん、木村拓哉さん、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの5人に誓ったことが、ずっと彼を支えている。

「日本一になるって約束してSMAPを出てきてるから、まだ日本一になれていない以上は、やっぱり頑張るしかないんですよね」

デビュー2年目に新人王戦を制し、2000年にはオートレーサーの最高ランクとされるS級に昇格した。一時はA級に陥落するもその後S級に復帰。第一線で活躍を続けているが、「"日本一"の夢はまだ叶えられていない。約束を果たしたい」。

そう思い続けているという。

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埼玉県川口市の川口オートレース場で行われたデビュー戦で見事に勝利を飾った森且行さん。「うれしい。日本一になるまで頑張りますので、応援してください」と笑顔で話した。(1997年7月6日撮影)
時事通信社

共通の趣味が多く、森さんの運転する車でよく一緒に出かけていた木村さんの「(SMAPを)辞めたら、怖い存在になってほしい」というメッセージは、心に残っている言葉のひとつだ。

「最後のスマスマだったのかな、拓ちゃんが言ったんですよね。その言葉がずっと引っかかってて。そう言われた以上は、怖い存在でいないとって思いますね。だからこそ諦めらんない」

木村さんから贈られた『怖い存在』という言葉は、「畑が違っていても、目指していくものはお互い、一番。トップだっていうことなんだと思うんです」

森さんはそう受け止めた。

「僕にとってみんなは、『怖い存在』っていうより、本当に『すごい存在』。僕の100倍すごい。みんなの努力はきっとすごいんだろうなってわかる」

進む道は変わっても、仲間の頑張りが一番の原動力になっている。

「新しい地図」の3人との再会で、思いを新たに

SMAP解散後、2017年9月から「新しい地図」として活動する稲垣さん、草なぎさん、香取さんの3人の活躍にも、大きな刺激を受けているという。

2017年11月には、AbemaTVの「72時間ホンネTV」で、森さんに会うために3人が初めてオートレース場を訪れるシーンがあった。

「3人が、僕の仕事場であるレース場に来てくれたのが何より嬉しかったですね」

森さんら4人はインターネット上の多くの視聴者に見守られながら、抱擁して再会を喜んだ。

「(SMAP解散直前の)年末に会っているのに何でですかね...。4人とも泣きそうになりました。すごくいい経験をさせてもらいました」と振り返る。

番組を見ていたファンはSNSで大盛り上がり。「森くん」というワードが、Twitterのトレンド世界1位を獲得した。

ジャニーズ事務所を退所してからTwitter、InstagramなどのSNS発信をはじめたばかりの3人が、Twitterで世界一を獲った。しかも「森くん」の名前で...。

「いやぁ...。日本一にもなれていない男を、世界一にしちゃう彼らの発信力がすごい。3人には感謝ですね」

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2017年9月22日付けの朝日新聞に掲載された、元SMAPの稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんによる新しいファンサイト「新しい地図」の全面広告
時事通信社

「特に3人は、新しい事務所に移って大変だったと思うんですよ。でも今、ネットなどで3人の表情を見ていると、目の輝きが(解散騒動の)当時とは全然違っていて、生き生きしている。やっと、僕も安心しているところです」

騒動が出た当時は、心配していたという森さん。「どこから出てきたかわからないような噂がいっぱいあって、ガセネタを信じてしまうこともあった」という。

不安な思いで見守ったSMAP解散を経て、オートレース場での感動の再会。森さんは、"日本一"にかける思いを新たにした。

夢の実現に向けて、自信は?

メンバーとのたった一つの約束を、森さんは本当に果たすことはできるのだろうか。

「日本一になるには、メンタルがもちろん強くなくちゃいけない。でもその部分は、何となく自信があるんです。SMAP時代にかなり鍛えられたと思う。一番鍵になってくるのは、いいタイヤに巡り会えるかどうかなんですよね」

毎月交換するタイヤには、個体差がある。森さんは、運命の1本との巡り会いを虎視眈々と狙う。

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デビュー戦で見事勝利した森且行さん(赤いユニフォーム)(1997年7月6日撮影)
時事通信社

「もしも、しっかりグリップするような、自分に合ったタイヤに出会えればチャンスはある気がするんですよ。今の僕の実力を冷静に分析した時に、いいタイヤに当たりさえすれば、日本一いけるかも...という自信はあるんです」

オートレーサーとしての夢が叶ったらどうしますか? と尋ねると、「ほんとに、今しか見えなくて。何も考えてないですね」と森さんは笑った。

業界のために、腹をくくった。オートレースが好きだから。

とにかくオートレースを愛してやまない森さん。業界のために自分にできることがあるならば、とオートレースの広報活動にも積極的に協力している。

中古車買取サービス「カープライス」のCM出演も芸能活動ではなく、あくまでオートレーサーとしての活動の一環だという。「だから今日も、レースの時のような格好をしてるんですよ」と改めて強調する一幕も。

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Jun Tsuboike/HuffPost Japan

現在日本には、森さんが「新しい地図」の3人と再会した浜松オートを含めて、5つのオートレース場があるが、固定客の高齢化などで売上は減少傾向にある。

そんな中、2014年の夏には、翌年度末で千葉県・船橋のオート場が廃止されることが決まり、一部のレーサーが署名活動をする動きも起きた。

そうした厳しいオートレースの環境が、森さんの心境の変化を生んだ。

「3、4年前に、腹をくくったんです。僕はオートレースが本当に大好きだし、5人との約束もあるので、業界をなくさないというのが今一番大事だなと思ってるんですね」

「売上をあげないと選手の賞金も下がりますし、潰れちゃうかもしれない」

「基本は、人前に出るのはすごく苦手。でも、地方でのトークショーなどで、お客さんが僕を見て喜んでくれる顔を見ると、だんだんとそういう(リアルの)ふれあいは好きになってきましたね」

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Jun Tsuboike/HuffPost Japan

SMAPをやめて、ひたすら自分の夢のために突っ走ってきた森さん。

「マスコミと接するのは、世の中で一番苦手(笑)」と明かすが、業界の今と未来のためにできることを、照れながらも必死に模索する。

その姿は、それぞれの道で活躍する5人にとっても、きっととても「怖い存在」に違いない。

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Jun Tsuboike/HuffPost Japan