Presented by 明治

「カカオ豆の1割しか取引されない」チョコレート以外もつくれる、サステナブルなカカオ活用法とは?

甘くて美味しいチョコレート。その裏にはカカオ素材の廃棄や森林破壊、児童労働などの社会課題がある。持続可能な生産に向けた、日本企業の取り組みとは?

チョコレートの原料であるカカオ。「豆」としてのイメージが強いが、実は「フルーツ」。しかし現状ではチョコレートをつくるのに、全体の10%ほどにあたる豆部分しか取引されていないという。

一方、カカオ産地には森林減少や児童労働、そしてその背景にある貧困といった社会課題もある。

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REDA&CO via Getty Images

チョコレートにまつわる社会課題として、森林破壊や児童労働などが挙げられる。気候変動や森林破壊などの環境問題に取り組む団体「Mighty Earth」によると、チョコレートの原料となるカカオを栽培するために、主要なカカオ産地である西アフリカの森林が減り続けている。

またシカゴ大学の外郭研究機関「NORC」によると、西アフリカのカカオ農家では、児童労働が一般的におこなわれている。そして、こうした問題の背景には、カカオ農家の根深い貧困があるという。

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Aldo Pavan via Getty Images

さまざまな課題を抱えるチョコレート業界だが、日本企業はどのように対応しているのか?

創業100年を超える老舗メーカーの明治は、サステナブルなカカオを使用した「明治 ザ・チョコレート」をはじめ、カカオ農家の支援を続けてきた。

明治は2006年に、カカオ農家の暮らしを向上させることを目指す「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」をスタート。カカオ産地に足を運び、現地の農家が抱えるさまざまな課題を発見。それらの解決に取り組む、独自の支援活動を続けている。

同社は15年にわたるMCSの活動から、カカオ産地の課題として「栽培技術の向上」と「生活の質の向上」が挙げられると指摘。

前者においては、カカオ栽培に関する勉強会の開催、カカオ栽培に必要な苗木センターの開設、カカオ発酵の技術指導など、生産性や収益性を向上させる取り組みを実施。後者では、井戸の整備や学校備品などの寄贈を通じて、教育支援に取り組んでいる。

また、2020年には「2026年度までにサステナブルカカオ豆の調達比率100%」を目指す数値目標を設定(2022年度に60%達成)。

加えて、「明治 ザ・チョコレート」のカカオ産地(ベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国)それぞれに合わせた、2026 年までの具体的な支援目標を定めて活動している。

4年後までに明治が農家支援をおこなった地域で生産されたカカオ豆のみを調達する算段だ。

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「明治 ザ・チョコレート」のカカオ産地(ベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国)それぞれに合わせた、2026 年までの支援目標と進捗
ハフポスト日本版

そして今年の3月には「ひらけ、カカオ。」をスローガンに、カカオの実をフルーツとして捉え直し、その食品としての価値を持続可能なかたちで広げていくプロジェクトを発表した。

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「ひらけ、カカオ。」のロゴ
明治

現状ではチョコレートをつくるのに、全体の10%ほどにあたる豆部分しか使われていないカカオの実。その果肉や皮など、カカオの実のすべてを余すことなく利用する「ホールカカオ活用」を目指し、研究開発を進めている。

そうしてカカオの付加価値を高めるとともに、プロジェクトで生み出された経済価値の一部をカカオ農家支援活動に還元していくという。

このようにサステナブルな取り組みを推進してきた同社が、カカオの可能性をさらに広げるべく新たに挑戦したのが「カカオ、ひらく。LAB」だ。 

明治は9月 8 日、Z 世代の学生や社会人を中心とした若者を招き、カカオの栄養や食べ方の新たな価値や可能性を模索するイベント「カカオ、ひらく。LAB」を開催。カカオの実をフルーツとして捉え直して持続可能な価値をつくる、さまざまなアイデアが考えられた。

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「カカオ、ひらく。LAB」の様子
明治

イベントでは、カカオの価値拡大に向けた取り組みとして、明治とベトナムとの共同研究により開発されたカカオ新素材「カカオフラバノールエキス」が紹介された。カカオのエキスをパウダー化することで、タブレットやフローズンアイスなどへの加工が可能になる。

また、カカオ豆の栄養をカプセル化して閉じ込めてパンや焼き菓子などにできるカカオ新素材「カカオグラニュール」についても伝えられた。こうしたカカオ新素材の開発により、製品の幅や提供価値が広がる。

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カカオフラバノールエキス配合の飲料。2023 年春の発売を目指し、研究・開発から工場での生産に向けた調整段階に入っている
明治
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カカオグラニュールを活用した製品。同じく、2023 年春の発売を目指して調整段階に入っている
明治

これらのカカオ新素材を活用した製品は、2023 年 1 月フランスのリヨンで開催される食の見本市「SIRHA」へ出展される予定だという。

そして会の後半では、明治の取り組みを参考にしつつ「カカオの新しい“栄養や食べ方”の価値と可能性を持続的に広げていくには」をテーマに、参加者と同社の若手社員によるワークショップがおこなわれた。

参加者からは、「遠い生産者の想いと消費者の声をつなぐ、SNSを活用した“こうかん日記”」や、「カカオの栄養成分を赤ちゃんからお年寄りまで使える石けんで届ける“カカオ石けん”」など、カカオの可能性を広げるさまざまなアイデアが発表された。

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カカオの可能性を広げるアイデアを発表する参加者の学生
明治

こうした現状において、明治のように影響力のある企業が、チョコレートづくりだけに留まらないカカオの活用を目指すなど、持続可能な取り組みを多角的に推進していくことには意義がある。まさに「ひらけ、カカオ。」が意味するように、カカオの価値が見直され、適正な取引と持続可能な調達が実現されることを願う。

 

明治の「ひらけ、カカオ。」の取り組みに関する情報はこちら

 

文:midori ohashi