週休3日制、注目の背景は?給与や労働時間によって「3つのパターン」がある【2022年 上半期回顧】

「週休3日制度」について詳しいリクルートワークス研究所の村田弘美さんに注目の背景やポイントを聞きました️【2022年 上半期回顧】

2022年上半期にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:5月9日)

1週間のうち4日働き、3日休む「週休3日制度」が注目を集めている。

欧米などでは、導入に向けた動きが加速。日本国内でも日立製作所など大手企業が導入することや検討していることを明らかにし、身近な話題にもなってきた。

とはいえ一口に週休3日と言っても、労働時間や給与の考え方が異なる複数のパターンがあり、それぞれにメリットや懸念もある。

これまで定着してきた週休2日制度を前提とした働き方は変わるのか。専門家に聞いた。 

【この記事に書かれていること】

・週休3日制度とは?3つのパターン

注目の背景は?きっかけを作ったアイスランドの実験

「労働時間の管理」と「社内外への周知」がポイントに

・日本でも広がる?今後の行方

 

週休3日制度とは?3つのパターン

 

2019年夏には、日本マイクロソフトが週休3日制度を1カ月限定で実施。2021年6月に政府が閣議決定した「骨太の方針」にも選択的週休3日制度の普及が盛り込まれていた。長時間労働の解消や働き方の自由度を高めてワークライフバランスを整えやすくするといった狙いがある。

週休3日制度について詳しいリクルートワークス研究所グローバルセンター長の村田弘美さんによると、労働時間や給与の考え方によって、大きく分けて3つのパターンがあり、それぞれに目的の違いやメリット・デメリットがあるという。

 

 
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週休3日制度 3つのパターンとは
取材をもとに編集部作成

 

A圧縮労働型:週の労働時間や業務量の総量は変わらない(1日あたりの労働時間が長くなる)。

B労働日数/時間・報酬削減型:週の労働時間や業務量を削減し、それに給与などを対応させる。

C労働日数/時間削減・報酬維持型:労働日数・労働時間を削減し、給与などは変えない。

 

村田さんによると、日本では現在のところ、AやBのパターンを導入するところが多いという。給与も減るBの場合は、副業を認めるケースもある。

労働時間は減るが給与は維持するCパターンは、働き手から見れば理想的に見える。 ヨーロッパではCが多くなっているといい、労働時間を減らしても仕事の質を落とさないような「イノベーション」も進んでいる。日本ではCパターンに踏み切る企業はまだ多くはないようだ。

 

注目の背景は?きっかけを作ったアイスランドの実験

欧米などでは、より具体的に導入に向けた動きが広がっている。

リクルートワークス研究所がまとめた世界のトライアル事例によると、2022年には、スペインで200社以上の企業が実施。スコットランドやアイルランドでもトライアルが始まり、導入の可能性を探っている。

こうした動きの大きなきっかけとなったのが、北欧のアイスランドが実施した大規模な実証実験だ。

アイスランド政府とレイキャビック市議会は2015から2つの大規模なトライアルを実施。国内の労働人口の1%にあたる2500人以上が参加し、労働時間を週40時間から35〜36時間に短縮した。短縮による賃下げは行わなかった。前述の3つのパターンで言うCパターンだ。

イギリスのシンクタンクとアイスランドの研究機関が2021年6月に発表した報告書は、このトライアルについて「圧倒的な成功」をおさめたと評価した。

「多くの職場で、生産性やサービスの品質は維持されたか、向上した」「ストレスや燃え尽き症候群、健康、ワークライフバランスなど、さまざまな指標において労働者のウェルビーイングが劇的に改善した」ーーなどの分析結果が示された。

そもそもこのトライアルが実施されたのは、アイスランドが北欧諸国の中では「労働時間が長い」「生産性が低い」「ワークライフバランスの充実度も低い」ーーといった課題があったためだという。

アイスランドでは、労働者の86%が賃金を下げずに労働時間を短縮しているか、短縮する予定だという。

 

「労働時間の管理」と「社内外への周知」がポイントに

週休3日制度を取り入れる上で、課題はどんな点になるのか。

自身も週休3日を実践しているという村田さんは、経験も踏まえて「労働時間の管理」と「周囲の理解」をあげる。

村田さんが勤務するリクルートでは、Aパターンに近い形で「週休2.8日」を選択することができる。

村田さんの場合は、月曜から木曜は朝から夕方まで働き、金曜日を仕事の「調整日」と位置付けて、可能であれば休むようにしているという。仕事の状況次第で、できる週とできない週もある。

月曜から木曜は1日の労働時間が長めになるため、これまでよりも自己管理が重要になるといい、「忙しいときでも無理をしすぎないことが大事です」と語る。

そして「最も重要」と指摘するのが、社内外への周知だ。休む曜日を固定するなど、周囲にわかりやすい形で伝えると、スムーズに理解してもらえそうだ。

その他、一般的にあがる懸念としては、従業員間のコミュニケーションの機会が減る点や場合によっては代替人材が必要になるといった点もありそうだ。

メリットとしては、役所や病院など休日に行きにくい用事を済ませられたり、趣味や勉強、家族と過ごす時間を確保できたりもする。副業が認められていれば、そのためにあてることもできる。

仕事を見直すきっかけ作りにもなりそうだ。

特にCパターンの場合は、労働時間を減らす一方で給与は変わらない。そのため企業から見れば、労働時間を減らしても、企業として提供するサービスや仕事の質を落とさないための方法をセットで議論する必要がある。

先進事例となったアイスランドでは、トライアルに参加する組織は労働時間を短縮しても提供するサービスの水準を維持するための方策を策定。ミーティングの運営方法を変えたり、場合によっては営業時間の見直しを進めたりするところもあった。 

日本でも広がる?今後の行方

今後、週休3日制度は日本国内でも定着していくだろうか。

リモートワークが広がったことで、制度を取り入れやすい環境は整いつつある。例えばAパターンの1日の労働時間を長くする場合でも、リモートワークで通勤時間が減れば、その分を労働時間にあてやすい。

一方、海外では、トライアルを実施した上で導入を見送るケースもあるという。

現実的に制度を導入できるかは、職種や個人の働き方によっても異なる。「まずはできる環境にある企業、できる人から進めて事例を作っていくことで、広がる可能性があるのではないかと思います」と村田さん。

導入に関心のある企業に対しては「最初のステップとしては、まず全員一律ではなく、できそうな職種や部署を選んでうまく回っていける仕組みを検討し、段階を踏んで制度につなげていくことが大事だと思います」と語った。