シリアに「金日成公園」ができた なぜ北朝鮮建国の父が公園の名前に?

シリア首都のダマスカスの金日成通りに、「金日成公園」ができた。なぜ?
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「北朝鮮建国の父」金正日主席をたたえる公園の落成式で北朝鮮の旗を持つ若い女性 2015年8月31日 シリア首都ダマスカスで撮影(AFP/GETTY IMAGES)

8月31日、シリア首都のダマスカスの金日成通りに、北朝鮮の人々が集まった。北朝鮮の建国の父である故・金正日(キム・イルソン)国家主席をたたえる公園の落成式が行われたのだ。シリア国営のSANA通信によると、シリア政府のファイルーズ・ムッサ氏が北朝鮮大使の前で、北朝鮮のシリア政府へのサポートをたたえるスピーチを行ったという。

シリアのバッシャール・アル=アサド大統領による独裁政権は、周囲国との関係が悪化しており、国民や人権団体から常に、市民への攻撃と人権侵害について非難を浴びている。シリア政府は自国の領土内でのコントロールも失っており、反政府軍やIS(イスラム国)などの武装集団が、国の領土をめぐって争っている。

しかしシリアの政治はこれまで、北朝鮮の支持によって支えられてきた。

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「万寿台の丘」の故金正日(左)と金正恩の銅像の前で一礼する北朝鮮国民 2015年7月27日、北朝鮮平壌

シリアと北朝鮮――この2つの極めて独裁的な国は、これまでに友好的な関係を築いてきた。金正恩(キム・ジョンウン)国家主席は2014年、北朝鮮の国営メディアでアサド大統領を称え、さらに両国間の関係を強めるため、ダマスカスに李洙墉(リ・スヨン)外相を送っている。また2014年のシリアの茶番じみた大統領選挙では、「民主主義」を保つために北朝鮮からオブサーバーが派遣された

ガーディアン紙によると、国連関係者が2010年に漏らした情報では、北朝鮮は各国からの制裁を巧みにくぐり抜けて、核兵器やミサイルの技術を他の国へ、なかでも、とりわけシリアに輸出していたしたという。

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「北朝鮮建国の父」金正日主席をたたえる公園の落成式で北朝鮮の旗を持つ若い女性 2015年8月31日 シリア首都ダマスカスで撮影(AFP/GETTY IMAGES)

北朝鮮とシリアの官僚会議では、お互いの国内政策とプロパガンダを何かしらの方法で肯定することが多い。それは、今回設立された公園についても、例外ではない。

31日の落成式の後、シリアのファイサル・ミクダド外務副大臣は、現在の金正恩国家主席の祖父である金正日をたたえるとともに、「この偉大な建国者を批判することは、極めて愚かしい」と、AFP通信に語った

北朝鮮のチャン・ミョン・ホ駐シリア大使は落成式で、シリア内戦で数十万人が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされているについて、「全てアメリカの陰謀と計略によるもの」と述べた。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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