「ハマスがイスラエルのヘリを撃墜」動画が拡散⇒誤り。実際は「ゲーム」の映像、拡散に注意

ハマスがイスラエルヘリを撃墜したという動画が拡散していますが、誤りです。実際はゲームの映像でした。【ファクトチェック】

兵士がロケットランチャーのようなものでヘリコプターを撃墜する動画がXで出回っている。

動画が添付された投稿には、「ハマスの戦闘員がイスラエルの戦闘ヘリコプターを撃墜」とも記載されている。

しかし、この動画はゲームの映像で、現実に起きたものではない。よって、投稿は「誤り」だ。

ハフポスト日本版はファクトチェックした。

ロケットランチャーのような武器で…

「Hamas fighters shot down Israel war helicopter in Gaza, Palestine」

このような投稿が10月8日、Xに投稿された。

この投稿には、兵士が肩に担いだロケットランチャーのような武器からミサイルを発射し、飛行中のヘリコプターを撃墜する動画が添付されている。

10日正午現在、4600を超える「いいね」が付いており、「ガザで撃墜されるイスラエルの戦闘ヘリ」や「やはりウクライナ横流しのNATO兵器は威力が大きい」と、日本語で引用する人もいた。

Xに出回っている投稿と映像
Xに出回っている投稿と映像
Xから

実際はゲームの映像

しかし、この動画は「ハマスの戦闘員がイスラエルの戦闘機を撃墜した」ものではない。

チャンネル登録者36万人超のアカウントが2023年2月27日、自身のYouTubeに同じ動画をアップしている。

タイトルは、「KA-50 Battle helicopter shot down by FIM-92F Advanced Stinger Missile l St.77 MilSim ARMA3」。

動画の概要欄には次のように記載してあった。

「It’s Just a Military Simulation. Not Real life. Thank you for watch」(ただの軍事シミュレーション。現実ではない。ご視聴ありがとうございました)

「“This video was created using content of Bohemia Interactive a.s.” “Copyright © 2020 Bohemia Interactive a.s. All rights reserved.”」(このビデオはBohemia Interactive a.s.のコンテンツを使用して作成されました)

Bohemia Interactiveとは、チェコのコンピュータゲーム開発会社だ。そして、タイトルにあるARMA3は、同社の代表的なゲームの一つとして知られる。

つまり、拡散している動画は現実のものではなくゲーム映像のため、「ハマスの戦闘員がイスラエルの戦闘機を撃墜した」という投稿は誤りとなる。

ハマスがイスラエルを攻撃。多数の死者

パレスチナ自治区ガサ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは10月7日、イスラエルに対して大量のロケット弾を発射する大規模奇襲攻撃を行った

ロケット弾による攻撃のほか、ハマス戦闘員が爆発物で国境フェンスを破壊してイスラエル側に侵入し、市民や兵士らを射殺した上、人質もとった。

攻撃を受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「我々は戦争状態にある」「敵は前代未聞の代償を支払うことになるだろう」と宣言

イスラエル軍も報復としてガザ地区に激しい空爆を行っており、双方の死者は合わせて約1200人に上っている

◼️ファクトチェック記事のレーティングについて

ハフポスト日本版では、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。

また、これまでハフポスト日本版が実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

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