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30年後も私たちは食べていける?「日本の農業のいま」がわかる5つの事実

たった2人の農家が100人の食を支えている。農業の見方が変わるかもしれない事実を、知っておくべき日本の農業に関するデータと合わせて紹介します。

気候危機や、人口増加により、世界的な食糧危機が懸念されている。

日本の食の多くは、海外から輸入した農作物に頼っている。世界の食糧危機は日本に住む私たちとって、決して他人事ではないのだ。だからこそ、これからはよりいっそう、日本国内の農業に目を向ける必要があるだろう。

では、日本の農業は今どんな状況なのだろうか?これから先、10年後も、30年後も、私たちの食は守られるのだろうか?

「日本の農業のいま」がわかる5つの事実を見てみよう。

① たった2人の農家が100人の食を支えている

Yuki Takada /HuffPost Japan

日本の人口を100人とすると、農家はたった2人しかいない(*1)。

日本だけでなく、先進国は農家の人口割合が少ない傾向にある。農家が少ない分、大規模な農業や、スマート農業が進み、効率的に農業が営まれている。

しかし、日本は中山間部の農地が4割を占め、機械を使った大規模な農業を実施するのが難しいなどの理由で、効率化が進んでいない実態もある (*2) 。少ない農家で食を支えていくためには、作業の省力化や機械化を進め、農家1戸当たりの農地面積を増やす必要があるだろう。

② 農家の約70%は65歳以上の高齢者

Yuki Takada /HuffPost Japan

農業は他の業界と比べてもかなり高齢化が進んでいる。農林水産省が5年ごとに調査している『農林業センサス2020』では、農家の約70%は65歳以上という結果になった(*3)。

今後10年で、多くの農家が高齢のためにリタイアする可能性がある。ただでさえ少ない農業人口が急激に減っていくことが想定される。

政府は、2030年の展望として、農業就業者※は140万人、そのうち49歳以下は37万人と試算している(*4)。2020年時点での49歳以下の農業従事者は約23万人で、急ピッチで増加させていかなければならない。しかし、ここ数年は新たに農業を始める49歳以下の人数は、減少傾向が続いている。

※農業就業者:「農業従事者」に年間150日以上農業に従事した農業経営体の役員(経営主)を含める。

③ 耕作放棄地は増え続け、滋賀県の面積とほぼ同じ

Yuki Takada /HuffPost Japan

農家が減ると、畑や田んぼが放棄されていく。

2020年、農作物の延べ作付面積は399万haとなり、初めて400万haを割った。(*5)政府は2030年度に作付け面積を431万haとする目標を『食料・農業・農村基本計画』の中で掲げているものの、回復の兆しはなく、減少が続いている。

それに伴って、耕作放棄地※は増え続け、2015年時点で滋賀県とほぼ同じ面積となっている。(*6)耕作が放棄されて土地が荒れると、再び農作物の収穫をするまでに改めて土づくりなどをしなければならず、農作物の減少につながる。

※耕作放棄地:以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地。


④ 耕作放棄地の増加による自然災害や獣害の甚大化

耕作放棄地の増加のデメリットは、農作物が減少するだけではない。

特に中山間地域では、農地は土砂崩れを防ぎ、災害が起こった時の影響を小さくする機能がある。しかし、耕作放棄地となると、その機能が失われ、災害時の被害が拡大してしまう恐れがあるのだ。

他にも、耕作放棄地は野生動物のえさ場や隠れ場所となり、鳥獣被害が拡大することもある。農作物の被害が増えることで、農家が意欲をそがれて離農し、さらに耕作放棄地が増える悪循環も発生しているという。

⑤ 日本の食料自給率は過去最低レベル。カロリーベースで37.2%

Yuki Takada /HuffPost Japan

農家が減ると、農作物の生産が減り、食料自給率も下がる。

2020年の日本の食料自給率はカロリーベースで37.2%と、過去最低となった。政府は、2030年の目標を45%としているが、なかなか改善の傾向は見えていない(*4)。

食料自給率が低いということは、その分、輸入に頼っているということだ。2021年、飲食店でフライドポテトの販売が制限されたニュースが話題となった。これはジャガイモの輸入が新型コロナ感染拡大の影響で遅延したためだったが、今後は気候変動や食糧危機の影響によって輸入ができなくなる農作物も出てくるかもしれない。

どんな対策が必要…?JA共済は若者の新規就農者を支援

解決策としては、農業従事者を増やすこと、そして少数の農家でも生産を増やせるように効率化を進めることが挙げられるだろう。国や自治体も、農家を育てるために手広く支援を実施している。

国や自治体のほか、JA共済も若者の新規就農者を支援し、スマート農業の推進をおこなうことで、日本の農業を守ろうとしている。

例えば、JA共済連和歌山の最新鋭の農機具を和歌山県農林大学校に寄贈する活動。これは、農家の高齢化が進み、さらに中山間地域で地理的条件が悪く、農業をするのが大変だった実情を踏まえ、若年層の農家の育成支援をするとともに、農業をしやすい環境づくりを進めるための取り組みだ。

私たちの食を守るため、私たちができること

今回紹介した課題は、日本の農業の一側面だ。改善が進んでいる課題もあれば、さらに根深く難しい課題もある。

難しい問題ではあるが、私たちができることもきっとあるだろう。まずは、国産の野菜を選んだり、農業体験をしてみたり、身近なところから始めてみてもいいかもしれない。

自分たちの「食」を守るためにも、農業の課題を他人ごとと思わず、自分にできることを考えてみてはいかがだろうか。

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*1:JAグループ「JAあぐりタウン」

(グラフィック・高田ゆき/ハフポスト日本版)

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