「人と地球に優しいチョコ探し」に初めて奔走した27年目のバレンタイン、私の記録

“「ズコーン」と頭を打たれた気分になった私。そうだよね、100円の板チョコの「しわ寄せ」が世界の誰かの不幸に繋がっているのかもしれないんだもんなあ…”

自分への“ご褒美”と称してデパ地下で高級生チョコを買う。そんな私のマンネリ化したバレンタインに最近、新たな風が吹き込んできました。

きっかけは、ハフポストのネット番組 #ハフライブ の「SDGsとチョコレート」特集に向けてリサーチをしたこと。すると、出てくるわ出てくるわ「チョコレートの深い闇」…

カカオ農家での児童労働、貧困、フードロス、森林破壊ーー。

驚愕の事実に、私は生まれて初めて「今年は地球と人を想いながらチョコ探しをしよう」と決心したのです。

そこで、素人ながら「これは!」と購入したチョコレートの率直な感想を皆さんにご紹介します。

※バレンタインに関わらず販売されており、日常的な購入が可能なチョコレートの中から、手頃な価格帯のものを選びました。

Kazuhiro Matsubara / Huffpost japan

フェアトレード

人と地球に優しいチョコレートを考えたとき、まず浮かんだのがフェアトレードのチョコレート。

チョコレートの原料であるカカオの生産地の多くが発展途上国。“1円でも安いチョコレートを”という価格競争の背景には、貧困の問題や、教育も受ける機会を奪われて働く子どもたちがいます。

そのため最近では、適正な価格での継続的な取引を通して、発展途上国の生産者を守る“フェアトレード”で調達されたチョコレートが増えてきているのです。

そんなフェアトレードのチョコレートから、私が見つけた2つの商品を紹介します。

■ カルディの板チョコ

左が70%ダーク、右がオレンジピール。商品の右上には「国際フェアトレード認証マーク」が付いています。様々あるフェアトレードの認証マークの中でも最も一般的なもので、児童労働の禁止など人権面はもちろんのこと、森を破壊したり、危険な農薬を使ったりすることがないよう環境面にも基準が設けられています。つまり人にも地球にも優しいということ。
左が70%ダーク、右がオレンジピール。商品の右上には「国際フェアトレード認証マーク」が付いています。様々あるフェアトレードの認証マークの中でも最も一般的なもので、児童労働の禁止など人権面はもちろんのこと、森を破壊したり、危険な農薬を使ったりすることがないよう環境面にも基準が設けられています。つまり人にも地球にも優しいということ。
Huffpost Japan

一枚185円とお求めやすい価格ですが、「国際フェアトレード認証マーク」が付いています。

味は、カカオの濃さが違う3種類とオレンジピール入りの全4種類。ダークチョコレート好きの私は、ダーク70%とオレンジピールを購入しました。

実は、フェアトレードのチョコレートには「ザラザラして硬そう」という勝手なイメージがあって、これまで手を伸ばしてこなかったのですが…

舌触りは滑らか!そしてカカオが、ずっしり濃厚という印象。

オレンジピールについては、チョコレートが濃いからか、果肉が大きい割には少し風味が弱いなというのが素直な感想です。

この商品をカルディと共同開発したのは、カカオ商社の立花商店。開発担当者によると「カルディ様と協力して、原料コストはフェアトレードプレミアムを払いつつ、中間マージンや在庫リスクを徹底的に排除してコスパが圧倒的に高い商品を作った」とのこと。

この値段だったら、確かに毎日のおやつとしても手が届きそうです。

価格:185円(税込)

■ ピープルツリー

左端がミルクチョコ ハート、右2つが板チョコレート。板チョコレートのパッケージには、それぞれの素材をモチーフにしたイラストが描かれていて、食べた後に捨ててしまうのがもったいないほど可愛い!
左端がミルクチョコ ハート、右2つが板チョコレート。板チョコレートのパッケージには、それぞれの素材をモチーフにしたイラストが描かれていて、食べた後に捨ててしまうのがもったいないほど可愛い!
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「フェアトレードチョコレート」といえば、真っ先に名前が挙がったのがピープルツリー。

注目したいのが、パッケージの裏の原材料表示。“黒糖、ココアバター、全粉乳、カカオマス、ヘーゼルナッツ”(ヘーゼルナッツ味)と、とてもシンプルで、乳化剤や植物性油脂なども使用していないことが分かります。そして原材料は全て有機栽培(EUオーガニック含む)で作られているそう。

身体にも優しいチョコが、作り手にも地球にも優しいなんて素敵!

全部で22種類もありますが、今回はベストセラーの「ヘーゼルナッツ」と、植物ミルクを使用した「ココナッツミルク」、ハート型のミルクチョコレートを購入しました。

口溶けが軽く、ヘーゼルナッツやココナッツミルクなど素材の味もしっかり味わえます。

ただお値段は割高です。一般的な板チョコは大体70グラムで100円前後ですが、こちらは50グラムで350円。

「ちょっと高いですね…」とぼやく私に、ピープルツリーの広報担当者から一言。

「こういう風に考えてみてほしいんです。チョコレートの“適正価格”って何でしょう?100円が安すぎるということもあるかもしれません」

「ズコーン」と頭を打たれた気分になった私。そうだよね、100円の板チョコの“しわ寄せ“が世界の誰かの不幸に繋がっているのかもしれないんだもんなあ…。

価格:板チョコ 各種378円(税込)、ミルクチョコ ハート 2980円(税込)

カカオ生産国の子どもたちの教育支援

■ 小枝

小枝
小枝
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続いては、お馴染みの「小枝」(森永製菓)。

実は、2020年から、カカオ農家の支援や森林保護、児童労働の撲滅などに取り組むカカオ原料を100%使用するようになったそうです。

さらに、1個購入するごとに1円がカカオ生産国の子どもたちの教育支援に使われるとのこと。

小枝、こんなに頑張っていたのか…。

味は、ミルクチョコとサクサクとしたアーモンドの相性がバッチリ。軽いのでスナック感覚でつい手が止まらなくなってしまう。

しかし一点、どうしても気になってしまったことがあります。

それは、プラスチックの個包装…。1箱に、各4本入りの計11つの個包装が入っています。(確かに、職場で配れるし、食べ過ぎ防止にも本当に便利なのだけれども…)

環境負荷の低い「バイオマスプラスチックフィルム」が使われているとのことですが、余計なごみが増えるのは避けられません。いつか個包装がない選択肢が増えると嬉しいです。

価格:192円(税込)で購入

食品ロスの削減

■ Re:You(りゆう)

商品にすらならないまま廃棄されているチョコレートのこと、知っていますか?

実は、大量に仕入れられたものの売り物に加工されず賞味期限を迎えてしまうチョコレートがあるんです。(何ともったいない!)

そんな廃棄されるはずだったチョコレートやナッツ、ドライフルーツなどを使用して作られたのが「Re:You」。食品ロス削減通販サイト「ロスゼロ 」で販売されています。

左がルビー、右がダーク
左がルビー、右がダーク
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見た目は、イチゴのドライフルーツやナッツが散りばめられていて、とにかく華やか。「廃棄」というネガティブな印象を覆すためのデザインだそうです。

廃棄のチョコと言えども、実は高級チョコレートメーカーであるバリー・カレボー社から輸入されたもの。食べる前から期待感が高まります。

私が気に入ったのが、ルビーチョコレート味。少し酸味があって甘すぎず、甘いのが苦手な人にもおすすめです。ナッツやドライストロベリーとの組み合わせもばっちり。

2枚で3000円と決してお手頃ではないですが、ボリュームは十分。プレゼントにもおすすめです。

価格:3,000円(税込)

難民支援

■ AARチャリティチョコレート

AARチャリティチョコレート
AARチャリティチョコレート
Kazuhiro Matsubara / Huffpost Japan

最後に紹介するのは「買うだけで難民支援ができる」というチョコレート。特定非営利活動法人「難民を助ける会」が販売するAARチャリティチョコレートです。

1箱あたりの純益約200円は、同団体が世界16ヵ国で行う支援活動に使われるそうです。

優しい色合いの小花が散りばめられたパッケージは、シリア難民の子どもたちが描いたもの。ほっこりとした気持ちになりながらも、頭をよぎるのはコロナ禍で難民が苦境に陥っているというニュース。「この絵を描いた子たちがどうか無事で、いつか平和な母国に戻れますように」と心の中で願います。

チョコレートのパッケージの絵を描くシリア難民の子どもたち
チョコレートのパッケージの絵を描くシリア難民の子どもたち
特定非営利活動法人「難民を助ける会」

味については正直なところ「チャリティチョコレートだから」と甘くみていたのですが(ごめんなさい)、これが実に美味しかったのです。

フレーバーは4種類なのですが、抹茶味は苦味がしっかり効いていて、軽い口溶けです。後から知ったのですが、こちら実は北海道の銘菓「六花亭」とのコラボ商品とのこと。

というわけで、こちらは来年もリピート決定!

そして、2歳になる甥っ子がもう少し大きくなったら、このチョコレートを一緒に食べながら、戦争や難民の話をしてあげようと決めました。

価格:600円(税込)

販売期間:2020年11月1日~2021年3月31日

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チョコレートから見えるいろんな問題。カカオ栽培で自然破壊が進めば、貧困や飢餓にも繋がり、それが社会の不平等を呼び、児童労働や紛争が起きる…少し考えるだけで全ての問題が繋がっていることに気付きます。

今回「人や地球に優しいチョコレート探し」をして気づいたのは、意識さえすれば、意外と身近でも手に入れやすい商品が見つかるということ。そして、やっぱり「楽しさ・美味しさ」は大切ですね。無理して買うのではなく、気に入った商品を購入することで人や地球に貢献するのが、自分にとってもサステナブル(持続可能)だなと感じます。

皆さんも毎日の「チョコ選び」から、社会を良くすること、始めてみませんか。

ハフポスト日本版がお届けするネット配信番組「ハフライブ」。2月15日のテーマは、チョコレートとSDGs。人気お笑いコンビ「チョコレートプラネット」の長田庄平さんとともに、チョコの裏側にある“甘くない真実”を学び、話し合いました。

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