混迷のアフガン、欧州に逃れた車いすバスケ女子チーム主将「タリバン支配下で女性は社会の一員ではない」

政権崩壊で混迷するアフガニスタンの車いすバスケ女子チーム主将ニロファル・バヤトさんが首都カブールからスペインに逃れ、夫とともに現地で新たな生活をスタートさせた。
8月20日にスペインに到着したアフガン車いす女子バスケチーム主将のニロファル・バヤトさん
8月20日にスペインに到着したアフガン車いす女子バスケチーム主将のニロファル・バヤトさん
POOL New via Reuters

政権崩壊で混迷するアフガニスタンの車いすバスケ女子チーム主将ニロファル・バヤトさん(28)がスペインに逃れ、夫とともに北部ビルバオで新たな生活をスタートさせた。

ロイター通信などによると、バヤトさん夫妻は100人以上の難民とともにスペインの軍用機で首都カブールの空港を発ち、8月20日にスペインの首都マドリード郊外に到着。その後、北部の都市ビルバオに落ち着いた。

英BBCによると、バヤトさんは祖国で女性の権利向上を訴える活動もしており、タリバンに命を狙われる危険があったという。カブールの空港周辺では銃撃や襲撃が行われ、自分や夫も殴打されたという。

バヤトさんは、「タリバン支配下で女性は何の価値も持ちません。社会の一員ではないのです。彼らは、この20年間で私たちが手にしたすべての夢と成果を破壊するでしょう」と祖国の将来を心配している。

ニロファル・バヤトさん
ニロファル・バヤトさん
Omar Sobhani via Reuters

バヤトさんが足に障害を負ったのは2歳の時。タリバン政権時代にロケット弾がカブールの自宅を直撃し、脊髄を損傷した。このときに兄弟も亡くし、自身も長期の入院を余儀なくされたという。

「異国の地でゼロから再出発するのは簡単ではないでしょう」と懸念を語ったバヤトさんだが、ビルバオではすでに地元の車いすバスケチームから選手として招待されているという。

東京パラリンピックの開会式でアフガニスタン国旗を掲げて行進する大会ボランティア
東京パラリンピックの開会式でアフガニスタン国旗を掲げて行進する大会ボランティア
picture alliance via Getty Images

東京パラリンピックに、バヤトさんら車いすバスケのアフガン代表は出場しない。同国から出場予定のテコンドーと陸上の選手2人は、オーストラリア軍や弁護士らの支援でアフガニスタンを脱出し、パリ経由で日本への渡航を目指していると報じられている

ただ、8月24日に国立競技場で行われたパラリンピック開会式には間に合わず、「連帯の証しとして」(国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長)、大会ボランティアにより国旗だけが入場した。 

注目記事