井上雄彦さん原作の漫画をアニメ映画化した『THE FIRST SLAM DUNK』(ザ・ファーストスラムダンク)が4月20日、中国で公開され爆発的なスタートを切った。
同作は、前売り券の興行収入が1億1560万元(約22億6000万円)を記録し、つい先日、新海誠監督の『すずめの戸締まり』が記録した数字を上回り、アメリカの作品を含む外国アニメーション映画の前売り興行収入の歴代1位となった。
公開初日は平日にもかかわらず、最初の上映回である深夜0時から大勢が詰めかけたようだ。Record Chinaによると、深夜0時の上映回だけで53万人を動員、初日の興行収入は1億元(約19億4000万円)近くに達し、この日の中国全体の興行収入の80%以上を占める見通しだ。
日本のアニメ映画の世界興行が次のフェーズに
中国では、『SLAM DUNK』(スラムダンク)は90年代にテレビアニメが放送され、大人気となった。それをきっかけに日本アニメブームが起き、さらに同時期にNBAの放送も開始され、バスケットボールブームにも火がついた。
その2つのブームの波に乗り、『SLAM DUNK』は中国で社会現象といえるほどの人気を博していた。30代や40代にとって同作は「青春の思い出そのもの」だと言われる。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』は、中国最大手の国営配給会社「中国電影集団」と2014年に設立されたRoad Picturesが共同で配給を担当している。Road Picturesは、『すずめの戸締まり』や『ONE PIECE FILM RED』も配給しており、中国で日本のアニメ映画を立て続けにヒットに導いている。
『すずめの戸締まり』は、つい先日中国市場での日本映画歴代興行記録1位となり、今も記録を伸ばし続けているが『THE FIRST SLAM DUNK』がその数字を更新する可能性がある。
両作品とも平日の公開初日は1億元(約19億4000万円)弱の数字を記録しており、ほぼ互角の滑り出し。この2作は韓国でも大ヒットを記録しており、『THE FIRST SLAM DUNK』が同国の日本映画の記録を更新したわずか1カ月後に『すずめの戸締まり』が再び記録を塗り替えている。
先日、新海誠監督が「日本のアニメーション映画の世界興行が別のフェーズに入ったと実感」しているとツイート。
『THE FISRT SLAM DUNK』は『すずめの戸締まり』とともに、海外における日本のアニメ映画躍進の象徴的存在と言えるだろう。中国でどこまで数字を伸ばすか、注目だ。