ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、SMILE-UP.（旧ジャニーズ事務所）から独立した形で新たに設立されるエージェント会社の社長候補として、福田淳（ふくだ・あつし）さんの名前が上がっていると報道各社が伝えている。
福田さんは、俳優ののんさんとエージェント契約を結んでいるコンサルティング会社「スピーディ」の社長を務めている。これまで、芸能事務所とタレントの契約関係や、メディアへの圧力などにも問題提起してきたことでも知られる。
スポニチは11月11日、福田さんが9日に、新たに設立するエージェント会社に関する社員集会に出席し、15分ほどあいさつをしたと報じた。
福田淳さんとはどんな人物なのか？ 経歴や過去の発言をまとめた。
タレントエージェントからリゾート施設まで多岐にわたる経営を手がける
同社公式サイトによると、福田さんは経営において「任されてきた企業を全てにおいて黒字化」してきたという。出版事業・タレントエージェント・アートギャラリー運営・リゾート施設展開・無農薬農場開発・スタートアップ投資など、手がけてきた領域は多岐にわたる。
また文化庁、経済産業省、総務省などの委員も歴任してきた。
元SMAPメンバーがテレビに出られない問題にも言及
俳優ののんさんは、「能年玲奈」の名前で芸能事務所「レプロエンタテインメント」で活動してきたが、独立を機に2016年7月に「のん」に改名した。現在は、のんさんの個人事務所「non」と、スピーディがエージェントとしてマネジメント契約を結んでいる形だ。
福田さんが注目を浴びたのは、2019年。ジャニーズ事務所が、退所したSMAPの元メンバー3人をテレビに出演させないよう圧力をかけた疑いが生じ、独占禁止法違反につながる恐れがあると公正取引委員会に注意を受けたと報道された時だった。
福田さんはSNSなどで、このSMAPの元メンバーの事案と、のんさんが当時「CMや広告のオファーはあるのに、ドラマに出演できない」という状況にあったことを重ね合わせ、こう訴えた。
「元SMAPタレントの移籍に関して公取の注意喚起がニュースになっています」
「のんが3年間テレビ局で1つのドラマにも出演が叶わないことは、あまりにも異常ではないでしょうか？」
「エンターテイメント産業も、ひとつの立派な産業であるならば、このような古い体質を変えていかなければなりません。
「素晴らしいクリエーティブを作る人々が、忖度なく、正々堂々と切磋琢磨する中で、世の中の人々を楽しませ、感動させられるそんな産業になっていくことを切に祈ります」
当時のBuzzFeed Japanのインタビューで、福田さんはこう発信した理由について「芸能界に変わってほしい。透明になってほしい。競争原理が働いてほしい」などと述べ、メディアと芸能事務所との癒着関係については、こう問題提起した。
「テレビ局には編成権がある。しかし、芸能プロダクションと長く癒着するうちに、キャスティング権を奪われている懸念がある」
「事務所の力関係を抜きにして、フェアなキャスティングができるようにならないといけないんじゃないでしょうか」
東山紀之さんの兼任には疑問の声があった
新たなエージェント会社をめぐっては、10月2日の会見で設立が発表された。SMILE-UP.の東山紀之さんが社長を務める意向を示していたが、兼任には疑問の声もあがっていた。
後に、東山さんは就任しないことが報じられた。朝日新聞は、東山さんの兼任については、あるキー局幹部の「両方の社長の兼任はまずい。会社が変わっていないということだし、事務所はどこまでやれば逃げ切れるかということしか考えていないのでは」という意見などを伝えていた。