BLOG
2020年02月09日 08時55分 JST | 更新 2020年02月09日 08時55分 JST

プリキュアの“フワ”を好きな僕は、恥ずかしい? 親の僕だって、息子の「好き」を縛ってはいけないんだ

5歳にして息子に刷り込まれた“男らしさ”。でも、「かっこいい」も「かわいい」も好きな息子が「ほんとうのぼく」なんだ。

筆者提供
映画『スター☆トゥインクルプリキュア』のパネルの前でパチリ

唐突だが、僕は日本ハムファイターズが好きだ。ダルビッシュや大谷翔平といったスター選手の活躍した〝北海道日本ハム〟は「好き」を公言できるが、80年代の後楽園球場をホームとした〝日ハム〟は「好き」を公言できなかった。「日ハムが好き」と言うと、大体「なんで?」と返される。「好きだから」に決まっているのに、「なんで?」って。
こんなの、「俺の彼女なんだ」と紹介しているのに、彼女の顔をマジマジと見たあと「なんで?」って返されるぐらい失礼な話である。

何が言いたいかというと、つまり「好き」が「恥ずかしい」場合があるということだ。ウチの5歳児くんも、1年くらい前からその問題にぶち当たっている。

 

「好き」と「恥ずかしい」のはざまで葛藤する息子

筆者提供
息子のお気に入りのぬいぐるみたち

ウチの5歳児くんは他の男児同様、仮面ライダーが大好き。「ぱぱは、どのかめんらいだーがすき?」と1日30回くらい聞かれるし、「おまえをとめられるのはただひとり、おれだ……」とお気に入りのセリフを吐き、「えい! やー!」と1日中、何かと戦っている。そのため、ショッピングモールや住宅展示場で行われるヒーローショーをネットで探し出しては、彼を連れて行っているのだ。

そんななか去年の夏、仮面ライダー・ゼロワンショーに行ったときのこと。5歳児くんはまさに“ヒーロー”であるゼロワンのアクションに酔いしれること、30分。ショーが終わると、次はお待ちかねの握手会タイムだ。

行列に並び、緊張の面持ちのなか、そろそろ自分の番……というとき、息子が「ぱぱ、これはずしてっ! はずしてっ!!」と騒ぎ始めたのだ。

声は明らかに怒っている。「どうしたの、急に!? 具合悪い?」とこちらが慌てると、「ちがう! これ、はずしてっ! はやくっ!」。

彼が指す手首のほうをパッと見ると、そこにはNHKのテレビ番組『チコちゃんに叱られる!』のチコちゃんのキャラクターの腕時計があった。これはショーの前に「ほしい、ほしい」とせがむので、買ってあげたガチャガチャの景品。

欲しいって言うから……と思うも彼の勢いに押され、その腕時計を外したところでちょうど握手の順番に。彼は笑顔を取り戻し、ゼロワンと握手をしたのでした。

さて、彼はなにゆえにゼロワンとの握手を直前にし、チコちゃんを取るよう言ってきたのか? 推測するに、こういうことだろう。そのチコちゃんの腕時計は、ベルト部分がピンク色。つまり彼からすれば「もうすぐ、だいすきなぜろわんとあくしゅだ!」と自身の手を見つめたところ、さっき買ってもらったチコちゃんの腕時計がある。すると「こんなおんなのこいろしたとけいしてたら、ぜろわんにばかにされる」と急に恥ずかしくなり、「ぱぱ、とって!」と騒ぎ出したのだと思う。

彼はその瞬間、「好き」と「恥ずかしい」のはざまで葛藤していたのだ。

そう、彼は仮面ライダーやスーパー戦隊といった「強い」ものが好きな一方で、「かわいい」ものも大好きなのだ。1歳や2歳くらいのまだ赤ちゃんのころなら、女の子、男の子関係なくぬいぐるみが好きだったりするだろうが、不思議なものでだんだんと好みが分かれていくようだ。でも、ウチの子は5歳になってもぬいぐるみのようなかわいいものが大好き。男の子でも女の子でもない、今だ〝天使〟である我が子が親として愛おしい。 

筆者提供
生まれたときからの相棒、〝くまちゃん〟

男らしさ、女らしさの刷り込みは何歳から?

この間、昼ご飯を食べに、マクドナルドに行ったときのことだ。いつものように「ぼく、はっぴーせっと!」と言う彼に、「おもちゃ、どれにする?」と僕。

いつもなら「○○!」と即答するのだが、返事がない。ハッピーセットのおもちゃは“男の子が好きそうなもの”、“女の子が好きそうなもの”、そして“本”に分かれているのだが、どうやら彼はそのとき、〝リカちゃん〟に惹かれ、でも迷っているようだった。

俺がリカちゃんを指差し、「あれ、気になる?」と尋ねると、コクンとうなずき、「でもやっぱ、はずかしい」。「恥ずかしくなんか、ないよ! 仮面ライダーのおもちゃが好きな女の子だっているよ」「でも、はずかしい……」とちゅうちょする息子を横目に、リカちゃんをオーダー。すると、彼は何ともいえない笑顔を浮かべていた。

いざ席に着くと、いつもはハンバーガーにかぶりつく前におもちゃの袋を破るのに、その日にかぎって破ろうとしない。それどころか、トレイの下に隠そうとしているのだ。その日初めて気づいたのだが、男の子が好きそうなおもちゃの袋は青、女の子の好きそうなおもちゃの袋は赤なのだ。

息子が赤い袋のおもちゃを隠しているのに気づいたらしい、隣りのテーブルに座る7,8歳ぐらいの女の子が、冷ややかにこちらを見ていた。「うわ~、まだ小さいのに、もう男らしさ、女らしさがこんなに意識にすりこまれているのか」と少し驚いていると、ウチの子は恥ずかしそうに赤い袋をまだ隠している。

「恥ずかしくないよ!」と大声で何度も言っても、彼にはあまり届かない。彼の「恥ずかしい」という気持ちに寄り添いたい。そう思った僕は、周りに見えないよう息子と袋を開け、こそっとリカちゃん人形を組み立てたのだ。すると息子は安心したのか、嬉々としてリカちゃんで遊び始めた。

そんなウチの5歳児くんの最近のお気に入りが、〝フワ〟。『スター☆トゥインクルプリキュア』に出てくる宇宙妖精が、フワなのだ。ニチアサ(『プリキュア』『仮面ライダー』『スーパー戦隊』と続く、日曜朝の番組編成のこと)を毎週録画しているため、必然的に『スター☆トゥインクルプリキュア』も観ている彼は、そこでフワにハマった。
ある日、玩具店で「大好き、ふわ!」などとランダムに喋る“おしゃべりフワ”なるおもちゃを見つけた息子は、「きゃわいい~~」と悶絶。そんな5歳児くんの姿を見て僕は、少々値段は高かったものの買ってあげることにした。以来、彼は枕元に“おしゃべりフワ”を置いて寝るようになった。

筆者提供
博品館で遊ぶ息子

ある日、こんなことを息子に聞いてみた。

「フワ好きじゃん」

「すきだよ」

「プリキュアも好きじゃん」

「すきだよ」

「保育園のお友達に『ボク、プリキュア見てる』って言わないの?」

「いわないよ」

「なんで?」

「だってはずかしいし、それに……」

「それに何?」

「おんなのこからきらわれちゃうし」

恥ずかしいし、女の子にモテたいと。5歳にして、その胸中は複雑なようだ。

 

今はただただ「好き」に囲まれていて

また別の日のこと、週末に子どもとどこに遊びに行こうとスマホで調べていると、【○○住宅公園でプリキュアショー!】なる文字が。ヒーローショーには何度も行ったが、それは戦隊モノや仮面ライダーばかり。

これはと思い、息子を誘うと「いきたい! いきたい!」と大興奮。それで行ってみたのだが、来ているお友達は、多くが女の子。しかしそんなことを意にかいす様子もない息子は、食い入るようにショーに見ていた。そして途中、プリキュアたちが歌い踊り出すと、息子も振りを合わせて楽しくダンシング。

 

「えっ!? 振り覚えてたの?」。

そして、

「そらにかがやく きらきらぼし きゅあすたー!」

「てんにあまねく みるきーうぇい きゅあみるきー!」

えっ!? 変身のときの口上まで覚えてたの? 

 

マクドナルドでリカちゃん人形をもらい、フワを買い与え、プリキュアショーに連れて行ったことで、息子はきっと「ほんとうのぼく」を見せてくれたのだ。

赤ちゃんのころから「これは男の子のだよ、女の子のだよ」と一切言わずに育ててきて、本当によかった。息子の「好き」や「興味がある」を縛ることは、当たり前だが親の僕だってしてはいけない。

「好き」を貫くには、なかなかの気合いと根性が要る。

でもそれは大人になってからの話で、今はただただ「好き」に囲まれていればいい。僕は、そのお手伝いをちょこっとするだけ。レインボーですら7色しかないんだ。キミの好きな色がそこにないなら、8色目を追い求めればいい。周りの目なんか、気にするな。「すき」と言うものがあるなら、パパと一緒にそれで遊ぼう。

筆者提供
大好きな“フワ”と。

■村橋ゴローの育児連載

第1回 妻はきっと知らない。ボクが家事・育児の“ワンオペ夫“を14年続けられる理由。

第2回 不妊治療の末に授かった赤ちゃん。出ないおっぱい。ボクたちが経験した「産後うつ」

第3回 「この子捨てていい?」――地獄のような「産後うつ」乗り越え、ふたりで涙した夜

第4回 【週5で銭湯】子どもに社会を知ってもらう「湯育」(とういく)のススメ

第5回 結婚のきっかけは「あなたの子どもが産みたい」。借金地獄を救ってくれた妻のために、ボクができること

第6回 男の子がピンクを選んだっていい。4歳の息子が感じた「性別と色」の世界

第7回 「子育てやめます」妻に宛てた一通の手紙。ボクはあの時、育児うつになっていた

第8回 親にとって最高の「ぷじぇれんと」 言い間違いは、子どもが成長している証だ

第9回  42歳おっさんの「孤育て」 平日の昼間、公園にいたらヘンですか?

第10回 「ちゅんちゅんこわい」気弱な息子と動物園に出かけたら……?

第11回 保育園で“バズ“ったら、何が起きる? ワンオペパパが見た、園児が過ごす大人の世界

第12回 お友だちに怪我をさせられて、傷ついた息子の心。我が子をどうやって守るのか?

第13回 小さな彼氏を見るように息子を見る妻。「じゃあオレは?」といじける僕。きっと愛は努力なんだ!

第14回 親が行きたいところに行くのがベスト。 僕がオススメする、子連れお出かけスポット3選

第15回 嫁さん、奥さん、妻…。呼び方を見れば、パートナーから自分がどう思われているかが、見えてくる

第16回 夫亡き後、第2の人生を謳歌するのが幸せなのか? それとも…。トシコ、その愛

a

親も、子どもも、ひとりの人間。

100人いたら100通りの子育てがあり、正解はありません。

初めての子育てで不安。子どもの教育はどうしよう。

つい眉間にしわを寄せながら、慌ただしく世話してしまう。

そんな声もよく聞こえてきます。

親が安心して子育てできて、子どもの時間を大切にする地域や社会にーー。

ハッシュタグ #子どものじかん で、みなさんの声を聞かせてください。