品川駅の広告で思い出した「24時間、戦えますか。」栄養ドリンク「リゲイン」が本当に伝えたかった意図

広告は時代を映す鏡と言われます。栄養ドリンク「リゲイン」は時代をどう捉えてきたのでしょうか?
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1988年に発売された初代「リゲイン」
第一三共ヘルスケア提供

ユーザベースグループのアルファドライブ(東京)がJR品川駅のコンコースに掲載した広告が終了に追い込まれた問題。

「今日の仕事は楽しみですか。」というブランドメッセージだったが、SNSで拡散され「社畜回廊」「ディストピア」などと批判を浴びた。

ユーザベースは10月5日、「配慮に欠く表現となっておりましたことをお詫び申し上げます」と陳謝。4日から始めた掲載を、5日午前で終了したと発表した。

広告は、企業や商品・製品の価値観がもろに出てしまうことがあるため、それをうまく表現するのは簡単なことではない。

特に、昔と比べて価値観が多様化している今だからこそ、その表現には細心の注意が必要だ。

「リゲイン」の時代の捉え方

働くことをテーマにした広告で思い出されるのは、第一三共ヘルスケア(東京)の栄養ドリンク「リゲイン」の「24時間、戦えますか。」

ビジネスパーソンに扮した俳優の時任三郎さんが「♪黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか」と歌い、当時の日本の働く人たちを鼓舞した。

このCMソングはCD60万枚を販売するヒットとなり、「24時間タタカエマスカ」は1989年の流行語大賞「銅賞」を受賞した。

日本経済はバブル真っ只中で、猛烈に働くことがもてはやされた時代。日経平均株価が3万8957円の史上最高値を記録したのは、この年の12月29日だった。

ただ、このキャッチコピーは、実は「24時間、働けますか」という意味ではない。同社の広報によると「昼は仕事に、夜は遊びにと、やる気に満ちあふれ、ポジティブでスタイリッシュなビジネスパーソン」をイメージしたという。

その後、リゲインのCMは、時代の変化を捉えて、メッセージを変えていく。

癒やしブームの1997年には「その疲れに、リゲインを。」、サントリー食品インターナショナルがエナジードリンクとして発売した2014年には「24時間戦うのはしんどい」「3、4時間戦えますか?」と変化させた。現在は、人生100年時代を踏まえ、錠剤の「リゲイン」で「カラダをつくる、明日をつくる」とうたっている。

時代が変われば価値観が変わる。価値観が変われば自ずと表現も変わる。広告は時代を映す鏡だ。第一三共ヘルスケアは、ハフポスト日本版の取材に対し「働く人の世相を映しながらCMや製品を変遷させてきた」と説明している。