原爆ドームと「ストリートビューには映らないもの」

今回の記事では、2011年3月11日、東日本大震災発生直前に、私が研究室のブログに書いた記事「原爆ドームと「ストリートビューには映らないもの」」をご紹介します。この日は、広島の被爆遺構としてよく知られている「原爆ドーム」が、Googleストリートビューで閲覧可能になった日でもありました。
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今週末7月27日(土)、広島国際会議場にて開催される「国際平和シンポジウム」(朝日新聞社主催)に登壇します。このシンポジウムのようすはストリーミング配信される予定です。当日に向けて「被爆体験の伝承」についての意見・質問ツイートをハッシュタグ「#hiroshima0727」で募集中です。ぜひご参加ください。

ヒロシマ・アーカイブ

当日の講演者一覧を以下に転載します。私はパネルディスカッションに参加予定です。

パトリシア・ルイス

英国王立国際問題研究所安全保障研究部長。核の非人道性共同声明に影響を与えた

水本和実

広島市立大学広島平和研究所副所長。専門は国際政治、核軍縮、安全保障

森下洋子

日本を代表するバレリーナ。松山バレエ団理事長・団長。被爆2世で、広島市名誉市民

アンドルー・ゴードン

米ハーバード大学教授(日本史)。「東日本大震災デジタルアーカイブ」を構築

渡邉英徳

首都大学東京准教授。デジタル地図を活用した「ヒロシマ・アーカイブ」を作成

成田龍一

日本女子大学教授。専門は近現代日本史。戦争や被爆体験の文学に詳しい

保田麻友

「被爆体験伝承者」候補者、被爆3世。「とうろう流しを支える市民」メンバー

先日、朝日新聞社東京本社にて、パネリストの事前打ち合わせが行われました。登壇者のうち、私とアンドルー・ゴードン氏はデジタルアーカイブ制作の立場から意見を述べました。そのカウンターとして「複雑な文脈、深い物語を伝えるなど、デジタル技術にはできないことがある」という意見も、他のパネリストから挙げられました。

私は「デジタル対アナログという、よくある構図で議論をしたくない。人とデジタル技術が力を合わせることによって何ができるのか、が重要だと思う」と応えました。シンポジウム当日も、私はこのスタンスでプレゼンテーションとディスカッションに臨みたいと思います。当日は「ヒロシマ・アーカイブ」と、地元の若者たちの貢献について述べる予定です。

さて今回の記事では、2011年3月11日、東日本大震災発生直前に、私が研究室のブログに書いた記事「原爆ドームと「ストリートビューには映らないもの」」をご紹介します。この日は、広島の被爆遺構としてよく知られている「原爆ドーム」が、Googleストリートビューで閲覧可能になった日でもありました。

以下のブログ記事は、私たちの仕事に大きな影響を及ぼした東日本大震災が起きる前に、私が自分の考えを述べたものです。2013年の視点から読み返すと彫りが浅い内容ですが、前述した国際平和シンポジウムにおける「人とデジタル技術が力を合わせることによって何ができるのか」という論点につながると考え、転載します。なお、内容を若干修正しています。

この記事を書いた十数時間後に、東日本大震災が発生しました。その後「東日本大震災アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」などの仕事を経験するなかで、私は「記憶のコミュニティ」形成の重要性についての確信を、さらに深めていきました。この点についてはハフィントンポストの記事や、αシノドスの記事で述べてきましたので、ぜひご覧ください。

次回の記事では「国際平和シンポジウム」の内容について報告し、感想を述べたいと思います。