廃炉費の上乗せで電気料金値上げ、新規会社への売電で値上げ幅縮小の可能性も【争点:エネルギー】

東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発1~4号機の廃炉費用は、私たちの電気料金に上乗せされることになりそうだ…
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Members of the media and Tokyo Electric Power Co. (Tepco) employees, wearing protective suits and masks, visit the No. 4 reactor building, center, and the construction of a storage unit for melted fuel rods, right, at the company's Fukushima Dai-Ichi nuclear power plant in Okuma, Fukushima Prefecture, Japan, on Wednesday, March 6, 2013. Tepco's Fukushima Dai-Ichi plant had three reactor core meltdowns after it was hit by an earthquake and tsunami on March 11, 2011. Photographer: Issei Kato/Pool via Bloomberg
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東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発1~4号機の廃炉費用は、私たちの電気料金に上乗せされることになりそうだ。東電は福島第一原発の廃炉のために9469億円をすでに損失計上し、この分は電気料金に反映されていない。朝日新聞デジタルの報道によると、経済産業省が検討しているのは廃炉作業のためにつくる新たな施設の建設費で、仮に100億円の施設をつくれば、月約8千円の電気料金を支払う家庭で約1.9円の値上げになるという。経産省は原発の廃炉をめぐる会計の見直しを進めており、23日の検討部会で新制度の骨子案を示した。検討部会は8月中に報告をまとめ、年内にも省令を改正する(朝日新聞デジタル「福島第一の廃炉費、電気料金に上乗せへ 経産省方針」より。2013/07/24 11:15)。

経産省はこれまでも、原発の運転開始から40年で廃炉費用を電力会社に積み立てさせているが、今の制度のまま廃炉にすると、積立金の不足分や、原発の資産価値がゼロになる分を、一気に特別損失として処理しなければならない。朝日新聞デジタルの報道では、原発を40年で廃炉にする場合、国内の原発50基のうち8電力会社の34基で、将来の廃炉のために積み立てているお金が予定より不足するという。今年3月の時点では必要な額より約1700億円足りず、今後もふくらんでいく見通しだ。そうなると電気料金ではまかなえない。

骨子案では、原発の運転終了後も10年間は廃炉費用を積み立てられるようになる。廃炉中も使い続ける原子炉格納容器などの設備は資産価値が残っていると認め、全額を損失処理しなくて済むようにした。さらに、資産価値が残っている分や廃炉のためにつくる施設については、後で「減価償却」できるようにし、電気料金への上乗せを認める。

一方で、朝日新聞デジタルの別の記事によると、経産省は現在北海道電力と四国電力が申請している電気料金の値上げ審査では、「新電力」と呼ばれる新規参入の電力会社への電力販売量を増やすことなどで値上げ幅を1%幅強、抑える方針を固めたもよう。これまでに値上げを審査した東京、関西、九州の3電力については、こうした施策はなかった。政府は2016年をめどに電力小売りを完全自由化する方針なので、競争を促す狙いもあるようだ(朝日新聞デジタル「他社へ売電増で値上げ幅圧縮へ 北海道・四国電の料金」より。2013/07/24)。

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北海道電力の泊原子力発電所。右端が3号機(北海道泊村)\n\n撮影日:2012年05月05日 (credit:時事通信社)
東北電力東通原発 (02 of18)
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敷地内に活断層があると指摘された東北電力の東通原子力発電所1号機の原子炉建屋(中央奥の白い建物)。右端の塔は排気筒。左端の茶色の建物は事務本館=2013年06月19日午後、青森県東通村 (credit:時事通信社)
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女川原子力発電所(宮城・女川町)\n\n撮影日:2011年04月12日 (credit:時事通信社)
福島第2原子力発電所(04 of18)
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東京電力福島第2原子力発電所=5日、福島県楢葉町、富岡町(時事通信社チャーター機より)\n撮影日:2013年03月05日 (credit:時事通信社)
福島原発/福島第1原発の4号機(05 of18)
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福島第1原発の4号機=15日午前11時48分、福島県大熊町[代表撮影]\n\n撮影日:2014年01月15日 (credit:時事通信社)
東海第2発電所(06 of18)
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日本原子力発電の東海第2原子力発電所=5日、茨城県東海村(時事通信社チャーター機より)\n撮影日:2013年03月05日 (credit:時事通信社)
新潟県中越沖地震・柏崎刈羽原子力発電所(07 of18)
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東京電力の柏崎刈羽原子力発電所。(左から)5,6,7号機(16日午後、新潟県柏崎市)[時事通信ヘリコプターより]\n撮影日:2007年07月16日 (credit:時事通信社)
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中部電力浜岡原子力発電所(奥)と御前崎市街地=2012年10月03日、静岡県 (credit:時事通信社)
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北陸電力の志賀原子力発電所。左側が2号機(石川・志賀町赤住)\n撮影日:2009年03月12日 (credit:時事通信社)
日本原電敦賀発電所(10 of18)
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日本原子力発電敦賀発電所。左が日本初の軽水炉として1970(昭和45)年に営業運転を開始した1号機。右は2号機(福井・敦賀市明神町\n\n撮影日:2012年03月06日 (credit:時事通信社)
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敷地内の断層が活断層の疑いがあるとして、原子力規制委員会の調査対象となっている関西電力美浜原発(右から1号機、2号機、3号機)=8日午後、福井県美浜町 \n\n撮影日:2013年12月08日 (credit:時事通信社)
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関西電力大飯原発3、4号機の建屋。写真左側では、敷地内断層調査のため試掘溝を掘削する工事が行われている=2013年06月15日午前、福井県おおい町 (credit:時事通信社)
関西電力高浜原子力発電所(13 of18)
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関西電力高浜原発。右手前から1、2号機、左手前から3、4号機の建屋=27日、福井県高浜町\n\n2013年06月27日午前、福井県高浜町 (credit:時事通信社)
島根原発の1号機と2号機 (14 of18)
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中国電力島根原発1号機(手前)と2号機(島根県松江市)\n\n撮影日:2011年11月28日 (credit:時事通信社)
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佐田岬半島の瀬戸内海側にある四国電力伊方原子力発電所。頭が青色の建物が左から1号機、2号機、3号機=2012年11月18日、愛媛県西宇和郡伊方町 (credit:時事通信社)
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九州電力玄海原子力発電所(奥)。左から4号機、3号機(佐賀・東松浦郡玄海町)\n\n撮影日:2011年05月24日 (credit:時事通信社)
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再稼働の前提となる安全審査に絡む川内原発の現地調査で、九州電力(左側)から説明を受ける原子力規制委員会の委員ら=2013年09月20日午前、鹿児島県薩摩川内市[代表撮影]\n\n (credit:時事通信社)
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日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」=2013年6月6日、福井県敦賀市 (credit:時事通信社)