「1時間ちょっとで信頼、びっくりぽん」 トランプ氏と安倍首相の会談に皮肉の声

ドイツのメルケル首相と比べて「リーダーの器」の差を問う声もあります。
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内閣広報室

ドナルド・トランプ次期大統領と会談した安倍晋三首相の「外交力」に対して皮肉の声も出始めている。民進党の野田佳彦幹事長は11月19日、埼玉県朝霞市の会合で、「オバマさんがあと2カ月は米大統領だ。その人が現役であるときに、いきなりトランプさんに会いに行くのは国際的な儀礼に反しているのではないか。たった1時間ちょっと会った中で、信頼が築けると確信したと(安倍氏は)言った。びっくりぽんですね」と発言した。朝日新聞デジタルなどが報じた。

野田氏は「トランプ氏と個人の尊厳や自由、民主主義、法の支配といった基本的な価値を共有できるのか、世界は慎重に見ている。首相や外務省は焦りすぎではないか」とも述べた。

安倍首相は11月17日(日本時間18日)、訪問先のニューヨークで、トランプ氏の自宅があるトランプ・タワーで1時間半ほど話し合った。トランプ氏が大統領選の勝利後に外国の首脳と会談するのは初めてで、就任前の次期大統領と会うのも異例のことだった。外務省によると、ゴルフクラブやゴルフシャツなどを贈り合ったという。安倍首相は会談後、トランプ氏について「正に今、人事でお忙しい時に、時間を割いていただきました」「信頼できる指導者だと確信した」などと記者団に語っている。

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安倍首相のスピード感ある外交姿勢に対して、「世界の指導者の中で、直接、米国に乗り込んだのは、今は安倍首相をおいていない。積極果敢な外交姿勢を多としたい」(自民党の二階俊博幹事長)と評価する声もある

一方、フリージャーナリストの志葉玲氏は、「安倍首相はトランプ氏との会談で世界に恥をさらし、メルケル首相はリーダーとしての格の違いを見せつけた、と言える」と指摘。メルケル首相がトランプ氏の当選後、肌の色や宗教、性別などを問わず、民主主義や自由、法の支配を尊重するという「価値観を共有した上でトランプ氏に協力していきます」とコメントして差別発言を繰り返すトランプ氏にクギを刺した点を挙げ、安倍首相の「軽薄さ」を批判している。

重要な同盟国であるアメリカの次のリーダーと信頼関係を築くことは大事なことだが、トランプ氏は選挙中にイスラム教徒やヒスパニック、女性を侮辱する発言をしたことでも知られている。会談の様子を伝えた首相官邸のウェブサイトをみる限り、「胸襟を開いて」二人が話し合ったことは確かなものの、トランプ氏に対して安倍首相が、どこまで踏み込んだ発言をしたのかは不明だ。