映画で南京大虐殺を学習し、30万人と信じ込む中国人

「河南商報と河南百度が共同で実施した「記憶に関する調査」の結果」を記事にしたものです。それによると、「33歳以下(1980年代以降生まれ)の若者に対する調査の結果、回答者の8割は、「南京大虐殺が発生した時期をはっきりと覚えていない」と答えた」としています。
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『人民網日本語版』が掲載していた「80後・90後の8割、『南京大虐殺の発生時期を知らない』」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

「河南商報と河南百度が共同で実施した「記憶に関する調査」の結果」を記事にしたものです。それによると、「33歳以下(1980年代以降生まれ)の若者に対する調査の結果、回答者の8割は、「南京大虐殺が発生した時期をはっきりと覚えていない」と答えた」としています。

「回答者のほぼ全員が、『南京大虐殺は全民族が受けた深い傷であり、決して忘れてはならない』と考えてい」ます。

そして、「『『南京、南京』や『金陵十三釵』の映画で南京大虐殺のことを知った』と答えた人の割合が52.6%だったのに対し、『教科書で知った』とした人は39.2%」という結果が出ています、

これに対して記事では、「高校の歴史教科書では、南京大虐殺について記述されたページは確かに多くはなく、教科書全体に占める割合はあまりにも少ない。」といった意見などを紹介しています。

他に、「根本的な原因」として「歴史に対する我々の姿勢」も挙げています。「ユダヤ人の受難の歴史」と比較して「彼らは第二次世界大戦中にナチスドイツに殺害された仲間の個人情報、行方、死亡した場所などに関する完璧な統計データを持っている。このような正確で信頼に足る証拠を突きつけられると、ドイツ人は一切反論などできない。」ことを最初に述べています。

「ところが、我々中国人は、「大体30万人」という言い方しかできず、一体どこの誰が犠牲になったのかを知るための正確な統計資料は存在しない。歴史に対峙する姿勢がいい加減であれば、歴史問題において受け身的な態度になり、記憶も曖昧になる。」と中国の問題を提示して終わっています。

2 メディアの影響

この記事で興味を引かれたのが2点で、1点目が映画などのメディアで「南京大虐殺」を知ったという点です。

つまり中国人の「南京大虐殺」のイメージというものは、映画などで強調されている日本軍の中国人虐殺の場面のイメージであり、そうしたことが多大な印象を与えているという話です。

以前中国人が「反日教育」を受けた記憶はないと述べていることを紹介したことがあります(中国に「反日教育」は存在しない(反日デモも言うほど怖くなかった)?)。

つまり中国の「反日教育」とは学校で行われる教育といった狭い範囲で行われるものではなく、普段から新聞(中国紙『環球時報』は日本に対して批判的か?)、テレビなど数々のメディアを通じて行われるものだという話です。

3 「30万人」

2点目は「正確な統計資料」が存在しないことです。つまりこの「30万人」という数字も中国共産党が言い出しただけの話でなり、どこまで根拠があるのかわからないという話です。

しかし、中国では中国共産党が主張していることだけが「真実」なので、これに疑問を呈することはできません。

そのため、この数字を検証しようというだけで問題になってしまうのが中国の現実で(名古屋市長の南京事件否定発言2(中国紙の原因分析を基に))、こうしたタブーに触れるとトンデモナイ目にあってしまいます(「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏が南京大虐殺を否定した理由?)。

共通の教科書などという話が何度か出てきていますが、こうした根拠のない数字を「真実」として譲る気がない中国とどこまで内容のある話し合いができるかということになります。

4 最後に

以前南京事件の発生した年号がわからない日本人を中国の国営放送が問題にしていたことを紹介したことがありますが(よくわからない「日本語」で質問して日本を批判する中国国営放送)、中国の若者も同じだという話です。

そして、映画などのメディアで南京事件を知るということは、フィクションと現実が一緒になってしまう可能性も高く、自分で見たことのないことが如何にも自分自身が体験した「真実」とされてしまうことで、いろいろ怖いことだと思っています。

(※この記事は、2013年12月22日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)