消費増税の再延期、安倍首相が表明 「これまでのお約束とは異なる、新しい判断だ」

安倍晋三首相は1日、官邸で記者会見し、消費税増税を2年半再延期する判断に関し「リーマン・ショック級の事態は発生していないのが事実だ」と述べた。
Open Image Modal
Japan's Prime Minister Shinzo Abe attends a news conference at his official residence in Tokyo, Japan June 1, 2016. REUTERS/Thomas Peter
Thomas Peter / Reuters

安倍晋三首相は6月1日、通常国会の閉幕を受けて首相官邸で記者会見を開き、2017年4月に予定する消費税率の10%への引き上げを19年10月まで2年半延期することを正式に表明した。また延期の是非について「22日公示-7月10日投開票」予定の参院選で国民の審判を仰ぐ考えも示した

NHKニュースは次のように報じた。

安倍総理大臣は「新興国や途上国の経済が落ち込んで、世界経済が大きなリスクに直面しており、こうした認識を伊勢志摩サミットで世界のリーダーたちと共有した。熊本地震の影響も含め、日本経済にとって新たな下振れリスクとなっており、最悪の場合、再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがある」と述べました。そして「世界経済は想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している。リーマンショックのときに匹敵するレベルで、原油などの商品価格が下落し、さらに投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついている」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「現在直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なるが、危機に陥ることを回避するため、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」と述べ、来年4月の消費税率の引き上げを再延期する考えを表明しました。

首相 会見で消費税率引き上げ2年半再延期を表明 | NHKニュースより 2016/06/01 18:45)

参院選の勝敗ラインに関し安倍首相は、「連立与党で改選議席の過半数を目指す」との意向を表明した。今回改選となるのは121議席で、過半数は61議席となる。

会見で安倍首相は、消費増税の再延期について「これまでのお約束とは異なる、新しい判断だ。公約違反ではないかとのご批判があることも真摯に受け止めている」と話し、「アベノミクス加速か、後戻りするのかが参院選の最大の争点だ」と述べた

首相はまた「総合的で大胆な経済対策を今秋に講じる」と語り、2016年度第2次補正予算案を編成し、秋の臨時国会での成立を目指す考えも示した。

少子高齢化対策や介護職員の処遇改善を柱とする1億総活躍社会の実現に向けた対策に関しては「アベノミクスの果実を含めて財源を確保する」と指摘。「赤字国債を財源に、社会保障を充実するような無責任なことはしない」と語った。

消費増税延期、参院選で審判 首相「改選議席で過半目指す」 | ロイターより 2016/06/01 19:21)

首相は、消費増税を延期しても、基礎的財政収支の赤字を2020年度までに解消する目標は堅持すると述べた。

関連記事

軽減税率
ミネラルウォーターは8%。水道水は?(01 of09)
Open Image Modal
ミネラルウォーターは軽減税率の対象で消費税率8%だが、水道水は風呂や洗濯といった生活用水としても使うため、ペットボトルに入れて人の飲用に供される「食品」として販売する場合を除き、軽減税率対象外の10%。 (credit:Yuji Kotani via Getty Images)
みりんは10%、ノンアルコールビールは?(02 of09)
Open Image Modal
酒税法で「酒」に分類されているみりんや料理酒は、消費税率10%となる。アルコール分が1度未満のみりん風調味料は飲食料品となり、税率は8%だ。
同様に、ノンアルコールビールや甘酒は酒類に該当しないため8%となる。
(credit:Flickr / akiraak2)
塩は8%。重曹、食品添加物なら8%。金箔が食品添加物なら?(03 of09)
Open Image Modal
食品添加物は食品に該当するため、食品添加物として販売される重曹の消費税率は8%。同様に、金箔も食品添加物として販売されるのであれば8%となる。 (credit:Ian O\'Leary via Getty Images)
オロナミンCは8%、ユンケル黄帝液は10%、レッドブルは?(04 of09)
Open Image Modal
「医薬品」と「医薬部外品」などに分類される飲み物は軽減税率が適用されない。オロナミンCレッドブルは「清涼飲料水」にあたるため消費税率8%。

これに対して「ユンケル黄帝液」は医薬品にあたるため10%(コンビニで販売されている「ユンケルローヤル・C2」は医薬部外品となり10%)。
(credit:shutterstock)
イチゴ狩り、入園料は10%。持ち帰るおみやげは?(05 of09)
Open Image Modal
軽減税率対象外の「外食」は、いすやテーブルなどの、飲食の設備がある場所での食事サービスの提供と定義された。このため、イチゴ狩りなどは、収穫した果物をその場で飲食させるサービスの提供に当たるとされ、果樹園での入園料は消費税率10%となる。

一方で、収穫した果物を販売する場合は、8%となる。
(credit:ibigfish via Getty Images)
ファストフード、持ち帰るなら8%。店内で食べるなら?(06 of09)
Open Image Modal
外食店では、店内での飲食の消費税率は10%になるのに対し、持ち帰り(テイクアウト)は8%に据え置かれる。ファストフード店も同様の扱いとなるが、店側は飲食料品の販売時に、持ち帰りかどうかを相手に確認するなどの方法で税率を判定することになる。 (credit:Brian Hagiwara via Getty Images)
弁当、コンビニで買って持ち帰るなら8%。店内で食べるなら?(07 of09)
Open Image Modal
コンビニの弁当は、持ち帰りなら消費税率8%だが、店内に設置されたイートインスペースで食べる場合は10%となる。コンビニは大半の商品が持ち帰りであることを前提として営業しているので、全ての顧客に店内飲食か持ち帰りかを質問する必要はなく、例えば、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして意思確認するなどして、税率を判定することになる。 (credit:Martin Hladik via Getty Images)
小中学校の給食は8%、社員食堂は10%、高校の学食は?(08 of09)
Open Image Modal
小中学校など学校給食法で定められた学校の施設や、幼稚園、幼稚部・高等部を含む特別支援学校、高校の夜間課程で提供される給食は、軽減税率の対象となり消費税率8%となる。

一方、生徒側が利用するかどうか自由に決められる学生食堂での飲食料品の提供は、軽減税率の対象外となり消費税率10%となる。企業にある社員食堂も同様に10%。
(credit:Akiko Aoki via Getty Images)
新聞は宅配なら8%、コンビニで買うなら10%、電子版は?(09 of09)
Open Image Modal
軽減税率の適用対象となる「新聞」とは、定期購読契約に基づくものとされる。このため宅配の新聞は消費税率8%のままだが、コンビニで購入する新聞は10%となる。

一方、新聞の電子版は、インターネット等を通じて電子書籍、音楽、ゲーム等をダウンロードさせる「電気通信利用役務の提供」と同様の扱いとなる。このため、電子版の消費税率は10%。
(credit:MIXA via Getty Images)