アントニオ猪木氏「拉致問題解決したら幸せになりますか」 外国人記者は「闘魂注入」をどう感じたか

日本維新の会のアントニオ猪木参院議員は5日、日本外国特派員協会で記者会見し、北朝鮮による日本人拉致問題について、「一日も早くトップ会談ができるような環境づくりを一生懸命やらせてもらう」などと述べ、解決には安倍晋三首相と金正恩第一書記の会談が必要との認識を示した。一方、会見ではおなじみの「闘魂ビンタ」が披露され...
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Naoko Utsumiya

日本維新の会のアントニオ猪木参院議員は5日、日本外国特派員協会で記者会見し、北朝鮮による日本人拉致問題について、「一日も早くトップ会談ができるような環境づくりを一生懸命やらせてもらう」などと述べ、解決には安倍晋三首相と金正恩第一書記の会談が必要との認識を示した。一方、会見ではおなじみの「闘魂ビンタ」が披露された。

猪木氏は拉致問題について「これは二国間の問題。世界を回って訴える話ではない」と国際的な圧力強化への批判的な見解を示した。さらに「チャンネルをしっかり作り、1対1で話をする環境をつくれるような話は出来ている」と安倍首相と金第一書記との直接会談実現に向け、協力する意向を示した。

また、拉致問題の解決に関しては次のように述べた。

「拉致問題が解決したら我々は幸せになりますかね?」と講演で言うと、皆さん「え?」って顔をする。そうすると、今まで凝り固まっていた考え方、色んな視点をちょっと変えることによって、そうするともっと知恵が出てきて、解決をどうしましょうかとなる。
一番の問題は、日本の拉致名簿の中にある数字がどんどん変わり、日本で死んでいる人もいる。そういった名簿を提出して解決しようとしても、北朝鮮側からしたら「そんないい加減なことを言ってくるなよ」となる。

さらに猪木氏は「外交に勝利なしという言葉がある。これは私の思う外交の基本。どこかで落としどころを決めなければ、片方が勝っても負けても不平不満が生まれる」と外交についての持論を展開した。

猪木氏は朝鮮戦争休戦60年を祝う軍事パレードに出席するため、7月25~30日まで北朝鮮を訪問朝日新聞デジタルによると、平壌で北朝鮮ナンバー2の金永南・最高人民会議常任委員長と面会し、「近くて遠い国ではなく、近くて近い国になるように」と伝えられたと記者団に明かしていた。26回目となった今回の訪朝について経緯を問われると「だいぶ前から招待をいただいていた。今回土壇場で選挙に出ることになったが、何があっても招待を受けようと思っていた。その結果、行きが私人、帰りが公人ということになった」と明かした。

今回の会見は日本外国特派員協会が先月21日投開票の参院選で当選した新人議員の何人かに声をかけたところ、猪木氏が快諾し実現した。猪木氏の独自の外交展開などがメンバーから注目されていたという。

おなじみのテーマ曲が流れる中、会見場に姿を現した猪木氏はまず「元気ですか!元気があれば何でもできる」とのかけ声で会見を始め、記者らの笑いを誘った。1989年の参院選初当選後、湾岸危機でイラクを訪問し独自の「外交」を展開したことや人種差別問題など話題は多岐にわたった。憲法改正を巡ってドイツのナチス政権を引き合いに出した麻生太郎副総理の発言を念頭に「私は暴言は吐くけど、失言はしない」と皮肉る一幕もあった。

猪木氏の発言を各国の記者はどう受け止めたのか。

「ブラジルに渡った経験と北朝鮮との関わり方、独自の外交スタイルが興味深い」と話すのは英フリーランス記者のダン・スレーターさん。「人種差別など、論争になる話題についても真摯に答えていたのが印象的だった」と話した。

フランスRTL放送のジョエル・ルジャンドル・小泉さんは猪木氏について「問題の背景を捉え、独自の視点で自身の考えを率直に述べる、とても明晰な政治家」とし、「レスラー・フィロソファー」と評した。また、猪木氏の外交手法については「同じルールに従う他の政治家とは違う猪木氏の取り組み方は興味深い。まず信頼関係を築き、そのための準備や交渉が大事だと訴えていた」と話した。

会見の司会を務めたパンオリエントニュース代表取締役のカルドン・アズハリさんは、直接北朝鮮と対話するべきだという猪木氏の考えに同意するとして「対朝関係の様々な問題について、いいアドバイスが示されたのではないか」と話した。アズハリさんは、「闘魂注入」も体験。会場にバチンと大きな音が響いたが「普通、あの勢いで叩くと体が大きく吹っ飛ぶが、猪木氏の平手打ちは他とは違う。あたる瞬間エネルギーがこもっている感じ」と感想を述べていた。

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