バンカー(投資銀行家)たちが語る「給料160万ドルでも足りない理由」

英国のサイト「eFinancialCareers」に掲載された記事によると、投資銀行家(バンカー)の中には、年収100万英ポンド(約160万ドル、1億6000万円)でも足りないと述べる人たちがおり、それにはもっともな理由があるという。

英国のサイト「eFinancialCareers」に掲載された記事によると、投資銀行家(バンカー)の中には、年収100万英ポンド(約160万ドル、1億6000万円)でも足りないと述べる人たちがおり、それにはもっともな理由があるという。

100万ポンドといえば、投資銀行以外で働くほとんどの者にとっては、使い道の見当もつかない額だ。簡単に言うと、それには心理学的な問題が関係している。心理学者アブラハム・マズローは、「マズローの欲求段階説」を理論化する際、「巨万の富」という階層も加えるべきだったようだ。

「ウォール街の銀行家でも、破産寸前の人は珍しくない。本当に生活に苦しんでいる人たちがいる」と、米調査会社Whitney Partners社の共同設立者ギャリー・ゴールドスタイン氏は、eFinancialCareersのサラ・ブッチャー記者に対して述べている。

金融危機は、銀行家たちがより高い給与を追求したことが一因となったわけだが、高所得の銀行家たち(ブッチャー記者の記事によれば、大半が男性だという)がひそかに抱えるこうした「苦労」は、冷酷な監査機関や株主たちが銀行家の給与に制限を設ける際に、忘れてはならない重要な要素といえそうだ。

巨額でも足りない、という彼らの理由を聞いてみよう。まずは、100万ドルを超える収入も、所得税によって50万ドル前後に一気に減少する。これは中流層の所得にかなり近い額だ。それから、ゴールドマンサックスの元社員が述べているように、残された「わずか」60万ドルの手取り給料で、銀行家たちは「住宅ローンを払い続け、マンハッタンやハンプトンズ(米国北東部のリゾート地)にある家や別荘を維持し、年間学費が4万ドルかかる私立の学校に3人の子供を通わせ、生活費を払わなければならない」のだ。

例えば、貧乏人が通う公立の学校に子供を転校させたり、別荘を手放したりすれば、出費をかなり削減できるのではないだろうか? しかし、ゴールドマンサックス社の元社員で、その後心理療法士になったある人物は、「彼らは常に、お金を次々に出費せざるを得ない社会的圧力を受け続けている」と説明する。

eFinancialCareersの記事が引用している男性の銀行家や元銀行家らの説明によると、結婚相手の選択肢は2つしかないという。1つは、大学時代から付き合っていた、地味だが教養がある女性。2つ目は、美人だがワガママな怠け者で、預金口座を空にしてしまような女性だ(まあ、当たり前の話だ。この2種類のほかに、どんな女性がいるというのだろう?)。

というわけで銀行家たちは、上流階級にふさわしい生活を維持したり、贅沢な妻を満足させなければならないといった精神的なプレッシャーを受けているわけだが、実は、さらに強力な衝動が、子供時代のうちに形成されている者が多い。子供時代に両親との安定した情緒的結びつきを築けなかった者は、過度に競争心が強く、人目を引くのを好むようになる傾向があるのだ。

彼らの心の中には、彼らを冷たい非難の目で監視し続ける両親がいる。強引な方法で顧客にサブプライム証券を購入させることができた時、彼らはやっと、両親にほめてもらえると感じるのだ。eFinancialCareersの記事に引用されている心理療法士によると、このような人たちは、強力なセラピーを受けない限り救われないのだという。

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