【ブラックバイト】しゃぶしゃぶ温野菜FC店元従業員逮捕、大学生殴った疑い

訴状で、男子学生は4カ月間、休みなしでの勤務を強要され、店長や従業員から度々暴行や暴言を受けていたなどと主張している。
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大手飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」のフランチャイズ(FC)店で、アルバイトの男子大学生(21)の顔を殴った疑いで、千葉県警船橋東署は11月28日、先輩格の元従業員、冨山良次容疑者(53)を暴行容疑で逮捕した。産経ニュースなどが報じた。

共同通信によると、逮捕容疑は、2015年8月8日午後、船橋市の店でアルバイト勤務中だった男子学生の左足を蹴ったなどの疑い。

この件をめぐって、男子学生は労働組合「ブラックバイトユニオン」に被害を相談し、運営会社「DWEJapan」(千葉県成田市)との団体交渉を経て、2016年6月に運営会社に対して慰謝料などを求めて千葉地裁に提訴し、県警に告訴状も提出していた。

同ユニオンによると、男子学生は2014年5月から同店でアルバイトをしていた。訴状で、男子学生は2015年4月から8月の4カ月間、休みなしでの勤務を強要され、容疑者やその妻の店長から度々暴行や暴言を受けていたほか、店舗の損失を補てんするという理由での「自腹営業」も強制されていたと主張している。

同ユニオンでは、ブラックバイトの被害に遭っている学生らからの緊急相談を受け付けるため、11月29日に電話相談を実施するとしている。ユニオン事務局長の板倉昇平さんは「学生が一人でアルバイト先と対峙するのは非常に難しい。ぜひ気軽に相談して」と話している。

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ブラック企業大賞2015 ノミネート企業
セブン-イレブン・ジャパン(01 of05)
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セブン-イレブン・ジャパン(本社東京都千代田区、鈴木敏文代表取締役会長兼CEO、井阪隆一代表取締役社長兼COO)は、日本国内に1万6,319店(2015年度)を展開、国内チェーン全店で4兆円超を売り上げる日本最大手のコンビニエンスストアチェーンである。\n2013年8月、同社のフランチャイズに加盟する店主4人が、販売期限が近い弁当などを値下げして売る「見切り販売」の権利を同社から妨害されたとして損害賠償を請求していた裁判で、東京高裁は妨害の事実を認め、セブンイレブン側に計1140万円の支払いを命令。14年10月に最高裁が本部、加盟店双方の上告を棄却したことで判決確定した。セブン本部による見切り販売妨害については09年に公正取引委員会が、独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」に当たると認定し排除命令を出していた。\n「見切り販売」に代表されるセブン本部の不当な経営圧迫に対し、加盟店主らは09年に「コンビニ加盟店ユニオン」を結成して団体交渉を要求。同社は「加盟店主は労働者ではない」と主張し団交拒否してきたが、14年3月には岡山県労働委員会が加盟店主らの労働組合法上の労働者性を認め、救済命令を出している。\n昨今、学生アルバイトを正社員並みに、しかも学生生活に支障きたすほどの低待遇で使役する「ブラックバイト」が社会問題化しており、コンビニバイトはその代表的な業種である。コンビニ本部各社はこうした問題の責任は個々の加盟店店主らにあるとして自らの責任を否定してきたが、業界にブラックバイトが蔓延るのは、本部が加盟店主らから過酷な搾取を行い、そのしわ寄せが学生アルバイトに及んだ結果であるとも言える。こうした構造はコンビニ各社で共通するものだが、セブンイレブンは業界の圧倒的強者であるほか、日本にコンビニフランチャイズを定着させた先駆者でもあり、業界内における責任も役割も大きく、そして、前記事件がコンビニ業界の構造を示す象徴的な事件であるといえることからノミネートした。\n(ブラック企業大賞 公式サイトより)
(credit:June 30, 2015 Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images)
暁産業(02 of05)
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暁産業(荒木伸男代表取締役社長)は消防自動車、消防用設備などの販売と保守点検を行う福井県福井市の企業である。同社ホームページによれば会社設立は1951年、従業員数は男性33名、女性11名の44名。\n 2010年12月、同社の保守点検部門で働いていた当時19歳の男性社員が、自宅で首をつり亡くなった。男性は高校在学中だった同年2月に同社でアルバイトとして働き始め、卒業後の4月に正社員として入社。 だが入社後は、直属の上司(リーダー)から「辞めればいい」「死んでしまえばいい」「相手するだけ時間の無駄」「もう直らないのなら、この世から消えてしまえ」などの暴言を執拗に投げつけられ、11月下旬には鬱状態に陥っていたと見られている。これらの暴言を含め、男性はリーダーからの指導内容を克明にメモに取るよう命じられており、この記録を証拠に福井労働基準監督署は12年7月、男性の自殺原因は上司からのパワハラであると認定した。\n その後、男性の遺族は暁産業と上司らを相手取り、福井地裁に約1億1,100万円の損害賠償を求め提訴。会社側は全面的に否認していたが、同地裁は2014年11月28日、「典型的なパワーハラスメント」であるとして、会社と直属の上司に約7,200万円の支払いを命じた(15年9月16日に双方の控訴を高裁が棄却し、判決確定)。\n 暁産業は今回のノミネート企業中、事業規模からいえば最も小さい会社だが、パワハラ内容の陰湿性に加え未成年の労働者を自殺に追い込んだことの異常性、さらに悪質な違法行為の多くは無名の中小企業で起きていることも考慮し、ノミネートすることにした。\n(ブラック企業大賞 公式サイトより)
(credit:暁産業 公式サイトより)
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(credit:フジオフードシステム 公式サイトより)
エービーシー・マート(04 of05)
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エービーシー・マートは、「ABCマート」名の店舗を全国で約800店を運営し、靴の専門店である。\nABCマートは、会社と労働者間で合意する36協定で定めた残業時間(79時間)以上の月97〜112時間を残業させたとして、労働基準法違反の疑いで、今年7月、書類送検された。\n今年4月、厚生労働省がブラック企業対策として東京と大阪に「過重労働撲滅特別対策班」(通称 かとく)を設置して以来、はじめて書類送検されたケースである。\n同社は、労働局から繰り返し是正指導されていたが、改善が見られなかったという。\n7月2日発表のプレスリリースでは、再発防止のために労務管理システムなどで「全店舗でこのような問題が生じない体制を確立して」いると発表している。\n各紙報道によると、現場は恒常的に人手不足。従業員を減らす一方、働く人には長時間労働をしいているという。なお、ABCマートは最高利益を16年連続で更新している。\n厚労省がブラック企業対策に乗り出して以来、初の書類送検事案であり、36協定違反という極めて基本的な法規範に対する違法行為であることから、ノミネートした。\n(ブラック企業大賞 公式サイトより)
(credit:Aug.26, 2014. Photographer: Akio Kon/Bloomberg via Getty Images)
明光ネットワークジャパン(明光義塾)(05 of05)
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明光ネットワークジャパンは、個別指導塾最大手・明光義塾を運営する企業であり、この10数年で塾・予備校産業の大きな部分を占めるようになった個別指導塾業界を牽引してきたパイオニアである。明光義塾は全国で教室数2137教室、生徒数13万6890人を数える(うち同社の直営教室は222教室、フランチャイズ教室は1915教室。2015年8月時点)。\n 個別指導塾では、講師アルバイトに対して、授業以外の業務に賃金が違法に払われない「コマ給」問題が蔓延しており、「ブラックバイト」の象徴となっている。明光ネットワークジャパンに対しても、ブラックバイトユニオン・個別指導塾ユニオンが、同社およびフランチャイズ運営会社の労働条件改善を求め、団体交渉を進めている。\n 2015年10月には、同社直営の宮城県内の教室に勤務する20代の学生講師アルバイトの申告にもとづき、賃金未払い(労基法24条違反)で仙台労働基準監督署から是正勧告が出された。同社では、授業に対する「コマ給」と、授業外業務に対して1日30分間分の手当が支払われていたが、授業の準備と生徒の見送り、報告書の記入、片付けなどで1時間を超える未払い労働が恒常的にあったという。同学生は「生徒のための仕事なのに賃金が払われず、納得いかなかった」と語っている。\n また全国の明光義塾のフランチャイズ教室でも、今年8月には茨城、10月には埼玉、東京、大阪で、労基署の是正勧告が出されている。\n 明光ネットワークジャパンが運営する明光義塾は個別指導塾最大手であり、かつ、子どもに対する教育を行うことを業とするものであって、より高い遵法意識が求められるにもかかわらず、全国各地で労働局から是正勧告が出されていることから、ノミネートした。\n(ブラック企業大賞 公式サイトより)
(credit:明光ネットワークジャパン 公式サイトより)