アメリカのホワイトハウスは1月17日、内部告発サイト「ウィキリークス」におよそ75万ページの機密文書を漏洩した罪で禁錮35年の実刑判決を受けたトランスジェンダーのチェルシー・マニング元上等兵に恩赦を与え減刑した。マニング元上等兵は5月17日に釈放される見込み。

ニューヨークタイムズによると、オバマ大統領は任期満了を20日に控え、受刑者64人に特赦を与えたほか、209人の減刑を決め、マニング上等兵はそのうちの1人となった。

マニング元上等兵は、陸軍で情報分析官としてイラクで勤務し、2010年にウィキリークスへ機密文書を漏洩させていることを告白した。漏洩させた情報の中には、アメリカ軍のヘリコプターが民間人やロイター通信の記者を攻撃した動画も含まれる。

【閲覧注意：下の動画には、一部ショッキングな映像が含まれます】

マニング上等兵は2010年から服役し、2013年、彼女にはスパイ活動防止法その他に違反したとして懲役35年の判決が下された。彼女を反逆者と見る人たちがいる一方で、内部告発をした英雄とみなす人も数多く存在する。

この件が発表される前に、司法省内の情報筋が、オバマ大統領の恩赦のリストにマニング元上等兵の減刑が載っていることをNBCニュースに伝えた。

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国家安全保障局（NSA）の機密情報を漏洩した元局員のエドワード・スノーデン氏は11日、マニング元上等兵への恩赦を求めるツイートをしていた。

大統領、ホワイトハウスを出る際に恩赦を与えてくれないでしょうか。お願いします。 チェルシー・マニングを釈放してください。彼女の人生を救うことができるのはあなただけです。

マニング元上等兵は2016年11月、刑期の短縮を求めていた。

「私は自分の有罪判決について恩赦をお願いしているわけではないのです」と、彼女はニューヨークタイムズに掲載された声明の中で記した。「軍法会議での有罪判決で、さまざまな私の記録が永久に残ることは理解しています。私が唯一求めている救済は、6年間拘束された軍事刑務所からの釈放です。私にはアメリカの国益を損ねるつもりはななく、すべての軍人の名誉を傷つける意図はありませんでした」

ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏は、ウィキリークスのツイートの中で、もしマニング元上等兵が釈放されたら、自分はアメリカへの送還に同意するつもりだと発表した。

明らかに司法省の違憲行為ではあるが、オバマ大統領がマニングに寛大な措置を与えれば、アサンジはアメリカの身柄引き渡し要求に応じるだろう

オバマ政権は内部告発者を敵視してきたことで長く批判されてきたが、今回の減刑は方針転換したことを意味する。またマニング元上等兵にとって長く、時として非常に厳しかった道のりも終わることになる。

「大統領が正しいことをし、チェルシー・マニングに対する減刑をするということで、安堵し、感謝しています」と、アメリカ自由人権協会LGBTプロジェクトの弁護士、チェース・ストランジオ氏は述べた。「今回の措置は、文字通りチェルシーの命を救うものになります。そして世界をより良い場所にするために身を捧げ、多くの人たちのために戦いを挑んだ女性チェルシー・マニングが釈放されると知って皆とても幸せです」

チェルシー・マニングを応援するロンドンのデモ

マニング元上等兵は9月に、性適合手術を求めてハンガーストライキ（断食ストライキ）を行い、LGBTQコミュニティの英雄となった。マニング元上等兵は出生時は男性だったが、現在は自分を女性と自認している。マニング元上等兵の手術を軍が認めたため、ストライキは終わった。

マニング元上等兵は2017年になってすでに2回自殺を試みており、独房に監禁されている。

「人生で一度もチャンスに恵まれず、とても頭がいいのに、あることで感情的にとても苦しみ、一度判断を誤ったあと、その報いを受けた人間、それが彼なんです」と、マニングの叔母デボラ・マニングさんはNBCニュースに語った。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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