「カイガラムシ色素」が騒動に:有名ブランドヨーグルト

Dannon社は、同社のヨーグルト製品の一部において、鮮やかな赤色を出すために、果物のほかにコチニール色素(カルミン酸色素)を使っている。中南米原産の昆虫コチニールカイガラムシ(エンジムシ)を砕いてつくる色素だ。

Dannon社は、同社のヨーグルト製品の一部において、鮮やかな赤色を出すために、果物のほかにコチニール色素(カルミン酸色素)を使っている。中南米原産の昆虫コチニールカイガラムシ(エンジムシ)を砕いてつくる色素だ。

消費者団体「Center for Science in the Public Interest(CSPI、公益における科学センター)」は、それを批判している。CSPIは、昆虫からつくられた成分を摂取していることを、多くの消費者が気付いていないと主張している。

コチニール色素は、ベジタリアンや食事制限をしている消費者にとって問題なのではないかと、CSPIは主張する。それに、アレルギーが問題になる消費者がいる可能性もある[呼吸困難を含めたアナフィラキシーショックが起きた事例がある]。

会社のサイトを見ると、Dannon社は「Fruit on the Bottom」シリーズのストロベリー味、チェリー味、ボイゼンベリー味、およびラズベリー味のほか、いくつかの製品でコチニール色素を使っている。

米食品医薬品局(FDA)は、コチニール色素は天然の着色料だとして、厳しい認証から除外している

Dannon社の広報担当シニアディレクターであるマイケル・J・ニューワース氏は、Dannon社は業界の標準的な基準以上の表示をしていると述べた。同氏によると、業界基準では、コチニール色素のような着色料は「天然色素」と掲載しているが、Dannon社はコチニール色素と明示している。「摂取を望まない人は、表示を見て避けることができる」というのだ。

2012年3月、スターバックスは、「ストロベリー&クリーム・フラペチーノ」やストロベリー味のスムージーにコチニールカイガラムシのエキスを使っていることを批判された。これを受けてスターバックスは、この成分の利用を停止し、トマトベースの天然色素であるリコペンに切り替えた。

[コチニール色素は、日本でもカマボコやハム、清涼飲料水などに幅広く使われている。日本では表示義務があるが、米国では表示義務がない]

以下のギャラリーでは、「チョコレートボールの光沢を出すための虫の分泌物」や「人間の毛髪やアヒルの羽からつくられるアミノ酸」など、「知らずに食べている、思いがけない食品添加物」を紹介している。

[Rachel Tepper(English) 日本語版:緒方亮、合原弘子/ガリレオ]

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Gross Ingredients In Processed Foods
カストリウム(海狸香)(01 of09)
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ビーバーの会陰(生殖器と肛門のあいだ)にある分泌腺から抽出される香料。\nストロベリー味やラズベリー味の風味を付けるために使われる可能性がある。\n\n[ビーバーはオス、メスともに肛門の近くに一対の香嚢を持っており、香嚢の内部には黄褐色の強い臭気を持つクリーム状の分泌物が含まれている。 この分泌物を乾燥させて粉末状にしたものが海狸香。主に香水用素材として利用されてきた] (credit:Flickr: Paul Stevenson)
硫酸アンモニウム(硫安)(02 of09)
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代表的な窒素肥料のひとつだが、サブウェイのロールパン(PDF)など一部のパンにも品質改良剤として入っている。 (credit:Flickr: woodleywonderworks)
L-システイン(03 of09)
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人間の毛髪やアヒルの羽からつくられるアミノ酸\n\n[システインは、医薬品や、髪のパーマ剤等に用いられるが、最も主要な用途は香料の製造。例えば糖と反応させると肉の香りを持つ成分が生成する。また、パンを焼くときの添加剤としても使われる(生地がやわらかくなり、製造にかかる時間が短縮される)。タバコにも添加されている] (credit:Flickr: Fields of View)
二酸化ケイ素(04 of09)
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「ウェンディーズ」のチリや「タコベル」のミートフィリングなど、ファストフード店のさまざまなメニューに入っている。\n\n[二酸化ケイ素(シリカ)はろか剤のほか、吸湿・乾燥材としても使用され、とくにふりかけなどの粉形食品には湿気って“ダマ”になるのを防ぐ目的で添加されることがある。食品添加物として利用される非結晶性のシリカは、「無水ケイ酸」とも呼ばれ不溶性で、体内で消化吸収されず排出されるため身体に害はないとされる。ただし、厚生労働省による使用制限には、「母乳代替食品及び離乳食に使用してはならない」とされている] (credit:Flickr: Matthias Rhomberg)
酸化チタン(05 of09)
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鉱山で採掘される金属元素チタンの酸化物\n\n日焼け止めなどに使われるが、「Men\'s Health」によると、スキムミルクやコーヒークリーム、ドレッシングなどの色を白くするためにも使われている。\n\n[酸化チタンは、白色の塗料、絵具、釉薬、化合繊用途などの顔料として使われる。また、人体への影響が小さいと考えられているため、食品や医薬品、化粧品に利用されている] (credit:Flickr: osseous)
アゾジカーボンアミド(06 of09)
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「TIME」誌のHealthlandによると、ヨガマットや靴底などのプラスティックに添加されるほか、ハンバーガーのパン(PDF)に品質改良材として含まれている。 (credit:Flickr: qtschlepper)
シェラック(07 of09)
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タイ原産の虫の分泌物。\n\nみんなが好きな、ゼリービーンズなどの光沢のあるお菓子で、コーティングに使われている\n\n[シェラックは、インド、タイなどの東南アジア、南アジアで養殖されるラックカイガラムシの分泌物。医薬品の錠剤、チョコレートボールなどの食品のコーティング材でもある] (credit:Flickr: Katili)
骨炭(こったん)(08 of09)
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炭化した牛の骨\n\n[骨炭は、牛の骨などを乾留して得られる粉末。吸着力が大きく,製糖工場などで糖液の脱色,精糖に使用されるほか,黒色顔料としても利用される] (credit:Flickr: rockindave1)
セルロース(09 of09)
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『Wall Street Journal』紙(WSJ)によると、セルロースは木材パルプなどからつくられる植物繊維だが、シュレッドチーズ、サラダのドレッシング、チョコレートミルクなどにも含まれている。\n\n[セルロースの誘導体「カルボキシメチルセルロース」(carboxymethylcellulose, CMC、別名:カルメロース)は、アイスクリームなどで増粘剤および乳化安定剤として使用されている ] (credit:Flickr: jamieanne)