無断で受精卵移植 生まれた子は「親子関係ない」と夫が提訴

不妊治療を手がけるクリニックの男性院長が、凍結保存された別居中の夫婦の受精卵について、夫の承諾を得ず妻に移植していた。
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Stomach of pregnant woman
Jupiterimages via Getty Images

不妊治療を手がける奈良市の婦人科クリニックの男性院長が2014年、凍結保存された別居中の夫婦の受精卵について、夫の承諾を得ず妻に移植していたことが、共同通信などの報道で1月4日に明らかになった。外国籍の男性(45)は、生まれた長女と親子関係にないことの確認を求めて奈良家裁に提訴しており、さらに男性は、クリニックに損害賠償を求めて提訴する方針という。

男性は日本人女性(45)と04年に結婚し、09年ごろから不妊治療を開始。13年から別居状態だったが、女性は別居前に保存していた複数の受精卵を14年に移植し、15年4月に長女を出産した。2人は昨年10月に離婚した。

無断で受精卵移植と提訴 男性「親子関係ない」、奈良家裁 - 共同通信 47NEWSより 2017/01/04 16:32)

院長側は毎日新聞の取材に無断移植したことを認め、「軽率だった」と話した。長女は戸籍上、今も夫の娘になっているという。

夫婦は2010年に体外受精が成功し、長男が生まれた。その後、別居していた。

毎日新聞は「日本産科婦人科学会(日産婦)には移植ごとに夫婦の同意を求める倫理規定があり、院長の行為はこの内規に抵触する恐れがある」と報じた。

男性は、2016年12月、奈良家裁に「同意のない受精卵の移植で出産した子供との法律上の親子関係は認められない」と提訴。一方、女性は「親子関係を否定する法律はない」として争う姿勢を示している

◆体外受精とは

コトバンクによると、体外受精とは、不妊治療の一つ。採卵した卵子と精子をシャーレの中で受精させて子宮に戻す。日本では2006年に約3万2千人の女性に実施された。顕微鏡下で受精させる顕微授精も広い意味で体外受精に含まれ、06年に約3万4千人が受けた。妻の排卵期に合わせるタイミング療法などで妊娠しない場合に体外受精を試みることが多い。

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体外受精を選んだセレブ
ヒュー・ジャックマンとデボラ=リー・ファーネス(01 of06)
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俳優のヒュー・ジャックマンと妻で女優のデボラ=リー・ファーネスは、体外受精を2度試したが、いずれも流産に終わった。ジャックマンは、2013年に雑誌「グッド・ハウスキーピング」のインタビューで、その時の気持ちをこう語っている。\n\n「体外受精をして妊娠した後も、毎日毎日不安な気持ちで待ち続けなきゃいけませんでした。それに彼女は、妊娠するまでにとても大変な経験をしてきたから、その後に流産した時は、大きな失望だったよ。ほんとうにつらい時期だった。特に、女性の方がずっと大変だと思う」\n\n二人の出身地オーストラリアでは、養子探しと体外受精を同時にするのが禁止されている。そのため二人はアメリカで養子を探し、2000年に生まれた男の子と、2005年に生まれた女の子を家族として迎えた。\n
セリーヌ・ディオン(02 of06)
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セリーヌ・ディオンと亡き夫レネ・アンジェリルは、体外受精を7回受け、2001年に男の子を一人、2010年双子の男の子を出産した。長男は、ディオンが33歳の時に一度の体外受精で生まれた。しかし、42歳だった二度目の出産は、一度目よりずっと大変だった。流産と度重なる不妊治療に耐えてついに三つ子を授かったが、妊娠中に一人亡くなった。\n\n体外受精が失敗する度に、長男も悲しい思いをした、とディオンは2013年にデイリー・メール紙に語っている\n\n「もうすでに、子供を一人授かったじゃない、と自分に言い聞かせなければなりませんでした。自分の人生や、自分自身、そして幸福の全てを、妊娠に託したくなかったから。息子のレネ・チャールズに『あなたに弟か妹ができるといいんだけれど』と話し、妊娠しなかったのがわかるたびに『上手くいかなかったの。もう一度試すわね』と言いました」
サラ・ジェシカ・パーカー(03 of06)
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女優のサラ・ジェシカ・パーカーは、2002年に第一子を出産した後、2009年に代理母で双子の娘を授かった。双子に病室で初めて会った時の体験は、今まで一度も味わったことがないようなものだったと、彼女はヴォーグ誌に述べている\n\n「出産をせずに子供たちと出会うのは、まるで停止したアニメを見ているみたいでした。妊娠も含めた他の全てのものが一瞬にして消え去り、世界が止まったかのようでした。どう説明したらいいかわからないけれど、とにかくただ嬉しくて興奮しました」
ニコール・キッドマン(04 of06)
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ニコール・キッドマンは、現在の夫キース・アーバンとの間に二人の子供がいる(前夫トム・クルーズとの間には二人の養子を迎えた)。2008年に長女を出産し、2011年には代理母出産で次女を授かったキッドマンは、オーストラリアの雑誌「Who」の2008年のインタビューで、こう語っている。\n\n「子宮外妊娠と流産を経験し、不妊治療を受けました。妊娠するために、ありとあらゆる方法を試し、挑戦と失敗を繰り返しました。同じ経験をした女性なら、この気が滅入りそうな気持ちがわかると思います。だから妊娠したとわかった日曜日、『ほんと?信じれない!』と思いました。成功率はとても低かったから。奇跡でした」\n
クロエ・カーダシアン(05 of06)
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2013年、当時28歳でNBA選手のラマー・オドムと結婚してたタレントのクロエ・カーダシアンは、テレビのリアリティ番組で、排卵ができない体であること、子宮内膜の厚さが妊娠に耐えるのに十分でないことを明らかにした。そして、不妊との闘いや、結婚生活、体外受精について率直に語った。\n\nしかし人生はどうなるかわからない。3年後オドムと別れたカーダシアンは、不妊治療が上手くいかなかったことを喜んでいた。2016年3月に放送されたバラエティトーク番組で、彼女は次のように述べている。\n\n「その時は最悪!って思ってました。何が何でも赤ちゃんが欲しかったから。多分、赤ちゃんいれば、状況を改善するって考えてたのね。でも今では、うまくいかなくて良かったと思っています。私はまだ27歳だったし、ただ状況を改善するために、赤ちゃんが欲しかったから」\n\n将来は子供が欲しいとカーダシアンは思っているそうだ。
クリスシー・テイゲン(06 of06)
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2016年4月に娘を出産した、モデルのクリスシー・テイゲンと夫で歌手のジョン・レジェンドも、体外受精を選択した。妊娠後、テイゲンは治療の過程を公の場で話したが、その中で着床前に赤ちゃんの性別を選択したことに触れたため、批判を受けた。\n\nしかしテイゲンは、冷静に批判に対応している。彼女は「『女の子を作るために体外受精をした』とか『女の子を選び、男の子になる可能性があった受精卵を全て捨てた』という誤解があったみたい」とツイートし、事実はそうではないことを説明した。残りの受精卵は将来のために保存していることを明らかにし、こんなユーモアあふれるツイートをしている。\n\n「ベーコン好きで、魔法が使えて、いつでも靴が見つかるように身長2メートルある女の子を選びました」

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