イプシロン打ち上げ中止、原因は「0.07秒のズレ」 リハーサルでも見落とし

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「イプシロン」の打ち上げが、直前になって中止されたのは、ロケットに搭載されたコンピュータの情報が、地上の管制設備に届くまでに、0.07秒のズレが生じたことが原因だった。
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時事通信社

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「イプシロン」の打ち上げが直前になって中止されたのは、ロケットに搭載されたコンピュータの情報が地上の管制設備に届くまでに、0.07秒のズレが生じたことが原因だった。下村博文文部科学相が8月30日、会見で明らかにした。打ち上げ予定は9月としている。

イプシロンは打ち上げ前に自らAI(人工知能)で点検項目をチェックし、異常があった場合に動作を中止する機能を搭載している。27日の打ち上げ直前に、ロケットの姿勢が正常ではないと判断、打ち上げが中止された。しかし実際には姿勢の異常は見られず、なぜAIが姿勢異常と判断したのかが調査されていた。

文科省によると、発射約20秒前に搭載コンピューターが起動し、姿勢データを地上側に送る。地上コンピューターは決められた時間にデータを判断するが、判断時点でデータが届いていなかったため「異常」と判定。データが送られてきたのはその0.07秒後だった。

(時事ドットコム「打ち上げ「9月の早い時期」=下村文科相、イプシロン延期で」より 2013/08/30)

このズレは、リハーサル時にも生じていたが、見落とされていた。

JAXAの森田泰弘プロジェクトマネージャは、「ずれが起きていたことに思いが至らず、見落としていたことは大きな反省点だ」と述べました。

(NHKニュース「打ち上げ中止の原因 リハーサルで見落とす」より 2013/08/29)

イプシロンは新開発の固体燃料小型ロケット。打ち上げにかかる費用は、従来機の半額以下となるおよそ30億円で、コストパフォーマンスに優れる。衛星の打ち上げ受注など、「世界で売れるロケット」を目指している。イプシロンの打ち上げは、今回の中止の以前にも、ロケットと地上設備をつなぐ通信装置の配線ミスが見つかり、22日から27日に延期されていた。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、新型固体燃料ロケット「イプシロン」の点検をする地上装置に配線の誤りが見つかり、22日に内之浦宇宙空間観測所(肝付町)で予定していた打ち上げを27日に延期すると発表した。

(373news.com「イプシロン27日に延期 地上装置配線にミス」より 2013/08/09)

イプシロン打ち上げに再挑戦
イプシロン打ち上げへ会見 (01 of17)
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宇宙航空研究開発機構の新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機の打ち上げについて、記者会見で説明する開発責任者の森田泰弘教授=21日午後、東京都千代田区 \n\n撮影日: 2013/05/21 (credit:時事通信社)
公開されたスプリントA (02 of17)
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8月22日にイプシロンロケット1号機で打ち上げられる予定の惑星分光観測衛星「スプリントA」=8日午後、相模原市の宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 \n\n撮影日: 2013/06/08 (credit:時事通信社)
公開されたイプシロン (03 of17)
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報道陣に公開された、新型固体燃料ロケット・イプシロン1号機=20日午後、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 \n\n撮影日: 2013/08/20 (credit:時事通信社)
内之浦宇宙空間観測所の「イプシロン」(04 of17)
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公開された新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機の機体=20日午後、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 (credit:時事通信社)
イプシロン1号機 (05 of17)
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報道陣に公開された、新型固体燃料ロケット・イプシロン1号機=20日、鹿児島県肝付町 (credit:時事通信社)
撮影に応じる森田教授 (06 of17)
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記者会見で、新型固体燃料ロケット・イプシロン1号機の模型とともに撮影に応じる森田泰弘・宇宙航空研究開発機構教授=20日午後、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 (credit:時事通信社)
イプシロン・会見する森田教授 (07 of17)
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新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機の打ち上げを翌日に控え、記者会見する開発責任者の森田泰弘宇宙航空研究開発機構教授=26日午後、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 (credit:時事通信社)
新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機(08 of17)
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新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機=20日午前、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 (credit:時事通信社)
イプシロン1号機 (09 of17)
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報道陣に公開された、新型固体燃料ロケット・イプシロン1号機=20日、鹿児島県肝付町 \n\n撮影日: 2013/08/20 (credit:時事通信社)
イプシロン公開に集まった報道陣(10 of17)
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新型固体燃料ロケット・イプシロン1号機の取材で集まった報道陣=20日午前、鹿児島県肝付町 \n\n撮影日: 2013/08/20\n (credit:時事通信社)
打ち上げが中止されたイプシロン(11 of17)
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打ち上げが中止され、発射台に残ったままの新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機=27日午後2時18分、鹿児島県肝付町 \n\n撮影日: 2013/08/27 (credit:時事通信社)
イプシロンの打ち上げ中止に肩を落とす見学者 (12 of17)
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イプシロンの打ち上げが中止され、宮原一般見学場で肩を落とす人たち=27日午後、鹿児島県肝付町 \n\n撮影日: 2013/08/27 (credit:時事通信社)
対応に追われる宇宙機構の担当者(13 of17)
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新型ロケット「イプシロン」1号機の打ち上げが中止され、報道陣への対応に追われる宇宙航空研究開発機構の担当者(左手前)=27日午後、鹿児島県肝付町 \n\n撮影日: 2013/08/27 (credit:時事通信社)
会見する森田教授 (14 of17)
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イプシロン1号機の打ち上げが中止となり、記者会見する開発責任者の森田泰弘教授(右端)=27日午後、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 \n\n撮影日: 2013/08/27 (credit:時事通信社)
山本一太宇宙政策担当相(15 of17)
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新型固体燃料ロケット・イプシロン1号機の打ち上げ中止を受けて記者会見する、山本一太宇宙政策担当相(右)。左は、宇宙航空研究開発機構の奥村直樹理事長=27日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 \n\n撮影日: 2013/08/27 (credit:時事通信社)
説明する森田教授 (16 of17)
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打ち上げに再挑戦する新型ロケット「イプシロン」について、修正箇所を説明する開発責任者の森田泰弘宇宙機構教授=11日午後、鹿児島県肝付町\n\n撮影日: 2013/09/11 (credit:時事通信社)
リハーサルが行われたイプシロン (17 of17)
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発射前のカウントダウン作業を確認するリハーサルで公開された新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機の機体=8日午前、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 \n\n撮影日: 2013/09/08 (credit:時事通信社)