立ち上げの売上数量は過去最高を記録したiPhone 6s / 6s Plusだけど

iPhone 6sとiPhone 6s Plusの事前予約の申し込み数と最初の週末3日間の売上数量はいずれも過去最高を記録したようです。

アップルが、今回は恒例の長蛇の列をつくらせない方針だったために、一部の国を除くと静かなスタートとなりましたが、アップルの発表によれば、iPhone 6sとiPhone 6s Plusの事前予約の申し込み数と最初の週末3日間の売上数量はいずれも過去最高を記録したようです。昨年はiPhone 6/6 Plusの中国での販売が遅れたためにカウントされておらず、今回ははいっているのでそれはそうでしょうという感じでしょうか。

アップルのシェアがもっとも高い日本では、主要家電量販店に限ると、発売直後の販売実績は昨年のiPhone 6/6 Plusに比べて16%減とさらに静かなスタートになったようですが、おそらくもうしばらくして落ち着けば、iPhone 6/6 Plusの売上を超えてくるのではないでしょうか。

ちなみに、アップル関してはいつも確度の高い情報を伝えてくれるブログAYMCOが歴代の製品もあわせて最初の週末3日間の販売数量の推移のグラフを載せていましたのでご紹介しておきます。

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静かなスタートとはいえ、プレミアム価格ゾーンのスマートフォンではいよいよiPhoneの独走態勢にはいったのではないでしょうか。いや日本はそもそもがそうだったので、だからどうなのという感じですが。

ただ世界市場で見れば、主流のアンドロイドのスマホは、サムスンと中国勢の激しい鍔迫り合いの状態に入っており、販売数量を伸ばそうとすればするほど、とうぜんのように価格競争が起こってきます。

そういった競合の変化もあって、マーケティングの視点で見ると、アップルをめぐる焦点はライバルとの力関係、あるいはiPhoneでどのような新体験を生み出すかではなく、アップル自身の事業構造をどうマネージするのかに移ってきているのではないでしょうか。

年々iPhoneへの依存度は高まり、2015年4~6月期決算ではアップルの売上の64%強をiPhoneが占める状態です。スマートフォンは先進国ではすでに成熟期にさしかかってきているなかで、年間売上高が18兆円を超えながら、6割以上をひとつの事業の売上に依存しているというのは、事業ポートフォリオとして決して健全とはいえませんね。

焦点は、もはやスマートフォンではなく、アップルがどんな新しい道を模索するのかに移ってきたのではないでしょうか。

(2015年10月2日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)