「お嫁さんに行く時も一緒に」小5が育てるウズラ3羽、スーパーの卵からふ化

「ウズラは私の大切な家族の一員になりました」
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愛知県江南市の小学5年生の女の子に新しい「家族」ができました。スーパーで買った卵からふ化させたウズラ3羽です。

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めすのウズラ「ミカン」を手にのせる倉見未鈴さん=愛知県江南市の自宅

倉見未鈴さんが学校から帰宅し、手のひらにのせたのはめすのウズラ「ミカン」です。体をなでたり、家の中を散歩させたり。やさしいまなざしで見つめます。鳥かごには卵が1個ありました。学校に行っている間に産んだようです。

「卵は生後40日ごろから産むようになりました。立ったまま体をふくらませて一生懸命産み、ヒューッてなくんですよ」

ミカンは去年6月に生まれました。ペットボトルのふたほどの大きさから、今年1月には体高十数センチまで成長。観察日記をつけて、ふんなどのそうじやえさやりの世話も欠かしません。

お母さんの恵さんから「スーパーのウズラ卵がかえることがある」と聞いたことが、ふ化に取り組んだきっかけです。インターネットやウズラの生産者から聞いた話を参考に、去年5月から12月までに計80個のウズラ卵を使って挑戦しました。

ふ化のポイントは温度と湿度です。倉見さんは、卵を電気あんかと毛布を入れた発泡スチロールの箱の中で温めました。卵と中の子がくっつかないように転がし、卵に光をあてて中の状態を調べました。うまくいけば、2週間ほどでひなが生まれます。

1回目の挑戦で1羽生まれましたが、5日間で死にました。泣きながら庭の土をほってうめました。長生きしてほしいと再びチャレンジして、ミカンが誕生。12月には「ユズ」と「レモン」もふ化しました。

「はじめは本当に生まれるんだと、びっくりしました。私が頭をふいたタオルが大好きで、お風呂上がりはいつもよってきます。なついてかわいいです」

倉見さんは、インコを飼い、傷ついたコウモリを保護したこともある生きもの好きです。ウズラの飼育では、生まれる瞬間や亡くなったひなも目の当たりにして、命の大切さも感じました。夢は看護師ですが、ペットショップの店員にもあこがれます。

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スーパーで買ったウズラの卵を、発泡スチロールの箱に入れた毛布などで温めた(倉見さん提供)

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温めた卵を暗い場所で持ち、ライトをあてる。卵が明るくなるとひなが育っておらず(写真上)、暗いとふ化する可能性があるという(写真下)=倉見さん提供

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去年12月に生まれたときのユズとレモン。名前は、倉見さんが好きな柑橘系の果物から名付けた

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先生に提出しているウズラの観察日記と、卵を温めているときに日々記録した温度と湿度の管理ノート=猪野元健撮影

ウズラはキジ科の鳥。体長は20センチほどになります。野生のウズラは数が減り、2012年に環境省の絶滅危惧種に指定されました。狩猟も禁止になりました。

家畜としてのウズラの飼育は愛知県が全国1位。ウズラ卵の生産約70%をしめます。ウズラの研究をしている県農業総合試験場によると、スーパーのウズラ卵がふ化するのはめずらしいそうです。生産日本1位の愛知県豊橋市の生産者も「100個に1個もかえらないのでは」と話します。

食用の卵はふつう、めすだけで産んだ「無精卵」で、ひなはかえりません。卵を出荷するウズラはめすだけで飼われますが、何らかの理由でおすがまじって交尾すると、ひながかえる「有精卵」が出荷される可能性があるそうです。ニワトリも同じですが、体が大きくておすかめすかの区別がしやすいため、ウズラより有精卵が混じる可能性は低いといいます。

有精卵を出荷しない理由のひとつは、夏などあたたかい時期に、卵の中でひなが育つ可能性が排除できないからだそうです。

倉見さんの取り組みは、地元のテレビ局が報じて話題になりました。倉見さんが心配しているのは、遊び半分でウズラの卵をふ化させて、責任を持って育てない人が出てこないかということです。国内唯一のうずら卵専門の農協「豊橋養鶉農業協同組合」によると、飼育下では寿命は長くて10年近くあるそうです。

「ウズラは私の大切な家族の一員になりました。お嫁さんに行くときにも一緒につれて行きたい」。ずっと大切に育てると決意しています。

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家にあった材料も利用して作った「家」でユズとレモンの世話をする倉見さん=猪野元健撮影

*朝日小学生新聞2月5日に掲載した記事に加筆し、写真を追加しました。朝日小学生新聞については「ジュニア朝日」のウェブサイト(http://www.asagaku.com/)へ

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世界の「変な生き物」30選
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(credit:Flickr/Wikimedia)
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サイガ\n\nかつて「オオハナカモシカ」と呼ばれたほど鼻の大きい奇妙な顔の偶蹄目ウシ科の哺乳類。カフカスからキルギスを経てモンゴルに至る草原に生息する。大きな鼻は砂塵を除去する働きがあると言われている。 (credit:WikiMedia:)
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ツチブタ\n\n原始的な有蹄類である管歯目に属する唯一の動物。名前は「ブタ」だが、ブタとは何の関係もない。長い舌をつかってアリやシロアリをなめとるがアリクイとも近縁ではない。 (credit:Flickr:tsukunepapa)
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ミナミコアリクイ\n\n南米に生息するアリクイの一種。主にアリやシロアリ、ハチなどを、40cm程もある細長い舌でからめ取るようにして食べる彼らは危険を察知すると,後肢で立ち上がり,前肢を大きく広げて威嚇する。 (credit:Wikimedia)
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オカピ\n\n当初はシマウマの仲間だと考えられていたが、後にキリンの仲間であることが判明。アフリカの奥地に生息する。 (credit:Flickr:MrGuilt)
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バビルサ\n\nほおを突き抜けて上方にのびる特異なキバをもつ原始的なイノシシの1種。インドネシアなどに生息。 (credit:WikiMedia:)
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フクロモモンガ\n\nニューギニア島やオーストラリアに生息する有袋類。モモンガのように皮膜を使って飛行するが、カンガルーの仲間だ。 (credit:Flickr:mariposavet)
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ブチクスクス\n\nオーストラリアなどに生息する有袋類の一種。ジャングルの樹上で生活している。 (credit:WikiMedia:)
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ヒメアルマジロ\n\n手のひらに乗るほど小さく、体重も100g程しかない。南米アルゼンチンの乾いた砂漠地帯にしか住んでおらず、一生の殆どを地中で過ごすという。 (credit:WikiMedia:)
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ハダカデバネズミ\n\nアフリカに生息するネズミの仲間で、一生を地中で暮らす。28歳の長寿の記録があるが、なぜ長寿なのかは謎に包まれている。 (credit:WikiMedia:)
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アイアイ\n\n「お猿さんだよ〜♪」の童謡で有名だが、実際にはその姿はかなり怖い。夜行性の原始的なサルで、生息地のマダガスカルでは、死や不幸の前兆や悪魔の使いと信じられている。 (credit:WikiMedia:)
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ハシビロコウ\n\nアフリカに生息するペリカンの仲間。巨大なくちばしを持ち、獲物を狙うときは数時間にわたってほとんど動かないのが特徴だ。 (credit:Flickr:koji1106)
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ナナイロフウキンチョウ\n\nスズメ目フウキンチョウ科の鳥。中南米に生息している。 (credit:WikiMedia:)
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アカメアマガエル\n\nコスタリカなどの中央アメリカのジャングルに生息する。真っ赤な目を持つようになった理由は、一瞬でも敵にショックを与えて食べるのをためらわせるためだ、というのが専門家の間での通説だ。 (credit:WikiMedia:)
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ホライモリ\n\n南ヨーロッパの鍾乳洞内の水中に生息。目は完全に退化している。 (credit:WikiMedia:)
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エダハヘラオヤモリ\n\nマダガスカル東部に生息するヤモリ。木の枝に後肢だけでぶら下がり、じっとして木の葉に擬態する。現地では悪魔の使いと見なされて忌み嫌われている。 (credit:WikiMedia:)
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ハナカマキリ\n\nカラフルな花びらに擬態することで知られるカマキリの一種。東南アジアに生息する。 (credit:WikiMedia:)
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コノハムシ\n\n東南アジアのジャングルなどに生息。木の葉そっくりの形をしている。 (credit:WikiMedia:)
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バラノトゲツノゼミ\n\n中米のコスタリカなどに生息。トゲのない枝に群れて、じっとして動かない。植物のトゲになりきる。 (credit:WikiMedia:)
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ヨツメウオ\n\n中南米に生息。目の上半分を水面上に出して泳ぐことが特徴。 (credit:WikiMedia:)
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デメニギス\n\n深海魚の1種。透明な頭部の中に緑色の眼球が鎮座している。 (credit:WikiMedia:)
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ミツクリザメ\n\n日本では相模湾や駿河湾などの水深1200メートルほどの深海に生息しており、口先がヘラのように長く突き出ているのが特徴。欧米では「ゴブリン・シャーク」の異名で知られている (credit:安藤健二)
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エクレアナマコ\n\nお菓子のエクレアそっくりの姿から、その名前がついた。 (credit:Flickr:francois.michonneau)
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アオミノウミウシ\n\n熱帯の海に分布する体長2~3cmの浮遊性のウミウシ。海面に浮いて生活する。 (credit:Flickr:lostandcold)
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オオグチボヤ\n\nまるで大笑いしているかのような大きな開口部を持った深海性のホヤの仲間。口のように見えるのは、「入水孔」と呼ばれる部分で、ここをパクンと閉じることで、プランクトンを海水ごととりこんで捕食する。 (credit:Getty Images)
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オオクラゲダコ\n\n深海に生息するタコの一種。アニメ映画「ダンボ」のゾウのように耳を動かして泳ぐため、英語では「ダンボ・オクトパス」と呼ばれている。 (credit:WikiMedia:)
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ヒョウモンダコ\n\n鮮やかな外見から想像がつくかもしれないが、猛毒で知られているタコ。唾液にフグと同じ神経毒のテトロドトキシンを含んでいる。ダイビング中に出会っても絶対に触ってはいけない。 (credit:WikiMedia:)
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ユビアシクラゲ\n\n水深1000m前後の深海に生息。カサの直径は70〜80cmと大型で、指のような太い口腕を持つ。 (credit:Flickr:NOAA Photo Library)
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オキノテヅルモヅル\n\n水深1000メートルくらいまでの海底に棲むクモヒトデの仲間。 (credit:WikiMedia:)
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ダイオウグソクムシ\n\n体重1キログラムを上回る海生甲殻類。「深海の掃除屋」と呼ばれ、海底に沈んできた大型魚類やクジラなどの死骸を食べるという。 (credit:Flickr:TAK.)
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スベスベマンジュウガニ\n\n美味しそうな名前とは裏腹に有毒ガニであり食べられない (credit:Wikimedia)