オバマケア代替案、トランプ大統領と共和党は消費者を欺いたまま議会通過を目指す

共和党首脳はあきらめていない。
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WASHINGTON, DC - MAY 1: President Donald Trump speaks to the Independent Community Bankers Association in the Kennedy Garden of the White House in Washington, DC on Monday, May 01, 2017. (Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)
The Washington Post via Getty Images

トランプ政権は医療保険制度改革(オバマケア)の代替案をめぐって、議会での可決を改めて要求しており、今週中か早ければ5月3日には下院の採決を実施させるつもりだと、複数の報道で伝えられている。

この代替案(アメリカン・ヘルス・ケア・アクト / AHCA)では医療費負担適正化法(アフォーダブル・ケア・アクト / ACA)の撤廃を目的としているものの、下院での採択が延期になって以来、内容の変更はほとんど見られない。

さらには、この代替案に対する共和党の不確かであきらかに虚偽の説明も、前回からほとんど変わっていない。

そういった発言のほとんどは、トランプ氏の発言をそのまま鵜呑みにしたものだ。自身による一連のツイートや、4月30日の「フェイス・ザ・ネイション」でのインタビューでトランプ氏は、大統領選に出馬したときの公約となんら変わりのない約束を口にした。共和党の代替案では、オバマケアの撤廃により保険料や自己負担額を減らしつつ、既往歴のある人も引き続き加入できると掲げている。

代替案は完成間近だ。保険料と自己負担額はもっと安くなり、それと同時に既往歴のある人も保護されるぞ!

しかし、これは医療保障制度改革の代替法案の内容とは異なる。

代替案で一部の人が恩恵を受けるのは確かだ。特に若者や健康な人々、裕福な人々にとってはその通りで、こういった人たちは自分で保険料を賄い、割りに合わない保険料を払わされているのだが、これはACAによる保障を受けていないか、保障額が低いためだ。

だが、この代替案は多くのアメリカ人にとって極めて深刻な問題をもたらすことになる。保険料や自己負担額どちらかの値上げ、もしくは両方の値上げ、あるいは健康保険を失う恐れがある。そして富裕層が大幅な税控除を受けられる一方で、一番大きな影響を受けるのは貧困層や持病を抱える人々だ。

トランプ氏がこうした懸念をすべて理解しているのか疑問だ。「フェイス・ザ・ネイション」のインタビューで、司会のジョン・ディカーソン氏はトランプ氏に対し、「代替案ですべての人々が、どのように恩恵を受けるのか」と質問を続けたが、トランプ氏は質問に対して、答えをはぐらかし続けた。

トランプ氏は持病がある人についての説明を2分間で2回も変えた。持病がある人も保護されると言い(実際は保護されない)、さらに各州への援助は打ち切られると言った。

共和党の代替案が実現する内容について、虚偽の約束を掲げている共和党員はトランプ氏だけではない。マイク・ペンス副大統領や、ポール・ライアン下院議長も、ここ数日間でトランプ氏と似たような主張をした。ペンス氏はNBCの「ミート・ザ・プレス」で、ライアン氏は定例記者会見でそれぞれのコメントを発表した。

タイミングが一致したのは偶然ではない。ペンス氏とライアン氏は、支持者らとともに、AHCAの承認に向けた下院での票集めに力を入れている。さしあたっての課題は、AHCAが健康保険制度と自らの選挙区に与える影響を懸念する共和党穏健派を説得することだ。

深刻な医療的問題を抱える人々を排除することなく、より安価で分かりやすい健康保険を提供するという約束は、こういった議員たちを安心させるためのものだ。

しかしこの約束は、共和党の提案が実際に引き起こすと思われる事態と矛盾している。

共和党案は医療コストを貧困層、病気の人々、高齢者に転嫁する

共和党議員らは、いわゆる「個人加入保険市場」、つまり雇用主を通じてではなく、自分自身で保険に加入する人々向けの市場を大きく変革しようとする一連の改革案を提唱している

具体的にこの法案は、所得が低く高額な保険費用のかかる被保険者の経済援助を減らす一方、保険会社に対しては年齢によって異なる保険料を設定する自由が新たに認められ、これにより保険会社は高齢の顧客に対し、若い顧客と比べて5倍もの保険料を請求することが可能となる。代替案では、現在の法律では認められていない、補償内容の不十分な契約プランも販売可能となる。

また、共和党が先週提出した修正案のおかげで、各州はこの法律の最も重要な規制事項――既往症(持病)のある加入者に割高の保険料を請求してはならないという規制や、メンタルヘルス、出産看護、処方薬など、「必須」とされる一連の補償項目に対する給付金の支払いをすべての契約プランに義務付けることなど――を撤廃できるかもしれない。

「この点を考慮すれば、新法案は当初の法案よりも改悪されたと言えるでしょう」と、シンクタンク「アーバンインスティテュート」のリンダ・ブラムバーグ上級研究員は、ハフポストUS版の取材に答えた。「この代替案は現行の消費者保護を続けたいとする州を新たに保護するものではなく、むしろ時計を巻き戻してアフォーダブル・ケア・アクト制定以前に戻ろうとする州に、新たな選択肢を持たせるものです」

市場ごとにこうした変更があると、人・場所によって影響が異なってくる。結果として若く裕福で健康な人には保険金はより安くなるが、病気でお金のない高齢者の保険金は高くなる。この時点で、多くの人たちが適切な額の保険金を受けられていない。

共和党議員は法案の他の条項で、高額の保険加入者のために保険業者に補償するか、または既往症がある人々、そしてより深刻な病状にある人には別のプログラムを用意すると主張している。

トランプ氏は「フェイス・ザ・ネイション」のインタビューで、「病歴をカバーしないという人もいるが、我々は十分にカバーできている」と発言した。

しかし多くの専門家が指摘したように、これらのプログラムは十分に保険加入者を保護できるものではない。一方でライアン氏など、共和党首脳も同じ意見を主張しつづけている。

共和党の代替案は、数百万人が加入しているメディケイドを吹き飛ばしてしまう。

この変化が個々の市場にもたらすことはただ1つ、「アメリカの医療保険制度がどうなるか」ということだ。代替案によると、10年以上の期間をかけて医療費を8390億ドル(約94兆円)も削減するという。

この改正をアピールするには、何もしないことだ。またこの削減で最も影響が出るのは保険適用だ。議会予算局によると、この10年でメディケイド(低所得者向け公的医療制度)に加入している人は1400万人減少している。

覚えておこう。AHCAは貧困層のためのメディケイドを削減し、適用範囲を狭めている。

メイディケイドの削減は、おそらくアメリカ史上最も大きな公益の損失となるだろう。そして薬物治療からがん治療まで、メディケイドに頼る数百万人の人にも、広範囲にわたる影響を及ぼすことになる。

世論調査によると、代替案には一貫して反対している人が大多数だ。こうした反対派――そして共和党議員がタウンホームミーティングで直面する反対の声――の数が、AHCAが下院を通過できなかった理由を明白に説明している。

しかし共和党首脳はあきらめていない。最近の発言によれば、代替案について事実を捻じ曲げることもいとわない。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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