モントリオールでピットブルの飼育が禁止に なぜ?

なぜピットブルだけ?

カナダ・モントリオール市で9月27日、ピットブル犬を新たに飼うことを禁止にする条例案が可決した。また、これまで飼っていても、専門家が「危険」と判断した場合は安楽死させられるという。カナダの公共放送CBCなどが報じた。

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条例は10月3日から施行され、ピットブルを新たに飼育することや、譲渡することが禁止される。現在飼育している人にも、次のような内容が求められる。

  • スタッフォードシャー・ブル・テリアやアメリカン・ピット・ブル・テリアなど数種類の犬、及び、それらの種類の混合種の犬などを飼育する場合は、市の特別な許可を得る必要がある。
  • ピッドブルを飼育する場合、飼い主が条例を遵守しなければ安楽死させる。
  • ピットブル以外でも、他人や動物を噛んだ犬はリスクがあると診断され、72時間以内に専門家に危険な犬かどうかの判断を得なければならない。
  • 専門家が危険と判断した犬は、安楽死させる。
  • ピッドブルとリスクのある犬を公衆の面前に連れ出す場合は、口輪をはめなくてはならない。
  • ドッグパークにこれらの犬を連れて行く場合も、口輪をはめなくてはならない。
  • 2019年12月31日までに、モントリオール内のすべての犬は去勢または卵巣摘出し、かつ、マイクロチップを埋め込まなくてはならない。
  • ピッドブルの飼い主が死亡した場合、同じ住所に住んでいる家族に飼育を委ねることができる。

■条例がつくられたきっかけは?

この条例案のきっかけになったのは、6月にモントリオール市内に住む55歳の女性が、近くの家の囲いから抜け出してきたピットブルに襲われ死亡した事件だった。その数日後には、市の郊外で女性がピットブルに襲われ、太ももを咬まれる事件も起きていた。

これらの事件を受け、同市のデニ・コデーレ市長は「ピットブル、または市民にとって危険と思われる種類の犬を、新たに飼うことを禁止する市条例を制定する」と発表。条例制定に至った。

北海道のピッドブル専門業者「ノースブリーケンネルズ」のホームページによると、

  • アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
  • スタッフォードシャー・ブル・テリア
  • アメリカン・ピット・ブル・テリア

が「ピット・ブル」と呼ばれている。コトバンクによるとアメリカン・ピット・ブル・テリアは、アメリカ原産の大型犬。闘犬用品種の交配によって作出された品種だという。

なお、イギリスではピッド・ブルは土佐犬などとともに飼育が禁止されている

■反対の声

品種の指定はピットブル系のみということもあり、条例を批判する声があがっている。条例案に反対していたモントリオール動物虐待防止協会(SPCA)は9月28日、可決した条例案は違法だとして、市に対して訴訟を起こすと発表した

SPCAは「ピットブル系の犬の定義が不正確」「危険だとする確かな根拠が存在しない」などと指摘。「実際には危険ではない犬の飼い主たちに追加の義務や懲罰を貸すことは差別だ」と批判している。

条例制定を受け、モントリオール市内の保護施設にいる犬は10月3日以降、安楽死させられることになる。SPCAは保護施設にいるピッドブルを、市外の施設に移すとしている。

モントリオールの獣医のなかには、「私は専門的、道徳的、倫理的に、これらの健康な動物たちを安楽死させるために存在しているのではありません」と反対する人もあらわれた

条例批判の動きは市や国を超えて広がり、カナダでは15万人、ニューヨークでは6万人の条例反対の署名が集まった。歌手のシンディー・ローパーさんは29日、次のようにFacebookに投稿した

「モントリオールには本当にがっかりした。素晴らしいピットブルたちがたくさんいる。不公平だ。悪いのは犬ではない。誰がしつけをしたかだ。間違ったしつけを禁止すべき」