遺伝子ダイエットに、次世代「家の鍵」 日本のベンチャーが見せた問題解決力に未来を見た

日本にはベンチャーが育たない――よく言われるこうしたセリフを言うならば、今の日本のベンチャーが取り組んでいる内容を知ってからでも遅くない。スタートアップ企業が集まる祭典「TechCrunch Tokyo 2014」では、今、売り出し中のベンチャー企業がプレゼンテーションで競った。目を引いた製品、サービスを紹介する。
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TechCrunch

日本にはベンチャーが育たない――よく言われるこうしたセリフを口にするならば、今の日本のベンチャーが取り組んでいる内容を知ってからでも遅くない。11月18日から2日間に渡って開催された、スタートアップ企業が集まる祭典「TechCrunch Tokyo 2014」では、今、売り出し中のベンチャー企業がプレゼンテーションで競った。目を引いた製品、サービスを紹介する。

■スマホが鍵になれば、世界は変わる

普及すれば、多くの人の生活を変えるだろう、という希望を感じさせてくれたのが、「家の鍵」をスマホ対応に進化させるデバイス「Akerun」だ。使い方は箱型の機械を家のドアに貼り付け、あとはスマホとペアリングさせるだけ。スマホを持ってドアに近づくと、自動的に鍵が開き、離れるとオートロックが掛かる仕組みだ。日本の住宅の9割以上の鍵の形式に対応し、賃貸住宅などでも買ってきてすぐ使えるという。

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これだけだとただの「スマホ対応ドア」というだけの話なのだが、Akerunはそれだけではない。インターネットから「誰に」「いつまで」鍵を開ける権利を与えるかを管理できるという。これにより、家族や友人に時間限定で鍵を渡したり、店舗でタイムカードの代わりに使ったり、不動産の内見に客だけで行ける仕組みを作ったり、活用されていない不動産を貸しスペースにしたりと、様々な分野で応用が効くというのだ。

すでに不動産情報のHOME'Sと、鍵管理システムのデモアプリを開発したという。

鍵という物理的なモノに制約されている、今の「当たり前」が変われば、大きな可能性が生まれる、そう感じさせてくれた。発売時期は未定。

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■遺伝子検査でその人に合ったダイエットを

自分に合わないダイエットにさようなら――スマホを使ったサービスでもう一つ、印象的だったのが、遺伝子検査によって、個人に合ったダイエットをスマホ経由で提供する「FiNC」というサービスだ。

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ユーザーが、食事や体重をスマホアプリ経由で報告すると、栄養士やトレーナーなど専門家から1時間以内にアドバイスが返信されるという。こうしたサービスは継続できるかが問題となるが、報告するたびにポイントが貯まり、サービス期間の終了後にAmazonギフト券と交換できる仕組みを設け、モチベーションを維持させるという。

ジムトレーナーも経験している創業者の溝口勇児氏は「ジムにはせいぜい週に2時間しか行かない。1週間、168時間のうち166時間しか管理できないが、スマホによって管理ができるようになった」と話す。

すでにサービスが開始されており、2カ月で98000円から。利用者は平均で6キロ減量しているという。

■遊んでいるスペースを活かすアイディアはこれだ

帆船、夜の映画館、古民家、お化け屋敷、会社の使われていない会議室、はたまた実家の空き部屋まで、ありとあらゆる「遊んでいるスペース」を商品化してしまおう、という野心的なサービスが「スペースマーケット」だ。

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これまでの貸しスペースは、専門の業者が会議室やイベント会場を貸し出しているケースが多い。このサービスでは、平日昼間の結婚式や、閉館後の映画館など、時間帯で細切れにすることで、スペースを売買できるのが特徴だ。

平日昼間の結婚式会場を安く借りてイベントを開いたり、映画館を説明会に使ったり、もしくは実家の開いている部屋を安く貸し出すなど借り主の選択肢が広がり、貸主も任意の時間だけ貸すことができるので、資産の有効活用につながる。スペースマーケット側は、レンタル料の2〜4割を貸主から徴収するビジネスモデル。今後は扱う施設を増やしていくという。

空き部屋をホテルとして貸し出すサービスとしては、アメリカの「AirBnB」が流行しているが、スペースマーケットはそれの「イベント会場」版といったところだ。

■基板を家庭用プリンタで印刷。3Dプリンタにはできない技

このコンテストで優勝し、100万円の賞金を獲得したのが、東京大学から生まれたベンチャー企業「AgIC」だ。

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同社は電子基板を家庭用インクジェットプリンタで印刷するセットを提供。電子機器の新製品開発では、試作品となる基板を何度も業者に発注して制作していたが、この仕組みを導入すれば、家庭用プリンタで基板をプリントでき、開発スピードとコストを圧縮できるという。

一般消費者が直接、目に触れる機会のない企業だが、3Dプリンタに世の中の注目が集まるなか、「3Dプリンタで解決できない問題」に目を向けた点が独創的だった。創業者の清水信哉氏は東大工学部を卒業後、世界有数のコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て起業した26歳。

「プリンタで印刷できる技術に特許はある。でも、そこを強みにするより、基板のデータをネット上で共有して、だれでもそこから学べるような環境を作って強みにしたい」と望みは大きい。

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