新型深海潜水艇を使用して、海底に眠るタイタニック号を3Dスキャン 2018年5月に実施予定

調査に参加するためのチケットの価格は...
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シアトルに拠点を置くOceanGate Inc.は、世界で最も有名な沈没船のタイタニック号を調査するため、有人探査を行う予定だと今週発表した。歴史学者の推定によれば、1912年4月の沈没以降、タイタニック号を訪れた人の数は200人にも満たないとされており、エベレスト登頂者や宇宙に行ったことがある人の数の方が多いくらいだ。

2018年5月に予定されているこの調査は、2005年に別のチームがタイタニック号を訪れて以来初の調査となる。前回の調査が行われた頃や、ジェームズ・キャメロン監督が映画『タイタニック』のために沈没船の様子を撮影した1995年当時に比べると、ナビゲーションや画像に関する技術はかなり進化した。

OceanGateの共同ファウンダーでCEOのStockton Rushは、同社のパートナーとなる企業や研究機関と共に、沈没船の腐敗の進行具合を記録し、これまでは不可能だった海底に眠る遺物の高画質3D画像を撮影しようとしていると話す。

「歴史上の出来事を記録すること自体に、まずは大きな意義があります」とRushは言う。「ただ、ちょっとオタクっぽい話として、深海における金属の腐食速度といった点を調べるのも重要なことです。

第二次大戦中の燃料や武器が深海にはたくさん眠っているため、潮の流れ、酸素の含有量、バクテリア、使われている素材の性質などがどのように関係し合っているのかを理解することで、1944年頃に沈んだ船体が崩壊した際に、燃料が海に流出するかどうかといったことが把握できるようになります」。

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OceanGateが開発した深海潜水艇Cyclops 2のレンダリング画像。

非営利研究法人Woods Hole Oceanographic InstitutionのThe Advanced Imaging and Visualization Laboratory (AIVL)の専門家も何人か、OceanGateの潜水艇に乗って7週間におよぶ調査に参加する予定だ。

彼らは、沈没船の画像を様々な形式で保存するため、3Dスキャンや音波探知機、写真測量法といった技術面で、OceanGateのチームを手助けすることになる。最終的にOceanGateは、観測用のROV(遠隔操作できる無人潜水機)をタイタニックの船内に送り出し、陸上の市民や研究者に対して、ライブ動画やVRコンテンツを配信していきたいと考えている。

OceanGateは来年春の探査に向けて、主にカーボンファイバーとチタニウムからできた、新しい潜水艇Cyclops 2を開発した。5人乗りのこの潜水艇には、パイロット兼ミッションリーダーや、海洋生物学者・海洋考古学者といった各分野の専門家に加え、お金を払って調査に参加する一般市民も乗り込むことになる。

なお、調査に参加するためのチケットの価格は10万5129ドルに設定されている。この金額は、タイタニック号の処女航海当時、Vanderviltスイートに宿泊するためのファーストクラスのチケット料として設定されていた4350ドルをインフレ調整したものだ。2018年春の調査に向けて募集していた54人の枠は既に埋まったとRushは話しており、OceanGateは500万ドル以上の収益を上げたことになる。

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Cyclops 2の船体に使われているカーボンファイバー。

今回の調査を可能にするために、OceanGateが開発しなければならなかった技術や、行わなければならなかったテストは数多くあるものの、特に私企業として、深海での水圧に耐えられる船体を作ることにもっとも手間がかかったとRushは話す。最終的に同社は、カーボンファイバーフィラメントを使用し、6000psiの水圧に耐えられる船体を開発した。

「カーボンファイバーを使った船体づくりは不可能と言われていましたが、私たちはある特別な方法を編み出しました」とRushは語る。さらに安全性の確保のため、Cyclops 2には音響式センサーが搭載されている。このセンサーが船体の問題に繋がりかねない特定の音色を感知し、事前に乗組員に危険を知らせることで、必要に応じてミッションを中止できるようになっているのだ。

何百万ポンドという水圧に耐えるための構造上の安全対策に加え、この深海でのミッションには他にも様々なハイテク技術が駆使されている。例えば、タイタニック号はカナダのニューファンドランド島にあるセント・ジョンズ(St. John’s)という町から380海里離れた沖に沈んでいるため、OceanGateは大型船を配備し、そこからCyclops 2を送りださなければならず、乗組員が船と陸上を行き来する際に使う航空機の種類についても検討しなければならない。

また、ミッションは海が最も穏やかな時期に計画されているものの、潜水艇が調査コースを外れないようにOceanGateは天候や潮の流れに常に気を配らなければならない。

ようやく潜水艦を深海に送り込めたとしても「沈没船の周りの水流は、道中とはまた異なるため、ナビゲーションがミッションのカギとなるでしょう」とRushは言う。OceanGateは今年の11月にCyclops 2のテストを予定している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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