世界ブランド化への動きが急になってきた飲料・食品メーカー

このところ飲料や食品メーカーの海外展開が積極的になってきています。国内市場が成熟し、成長の焦点が海外に移ってきているからでしょう。
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このところ飲料や食品メーカーの海外展開が積極的になってきています。国内市場が成熟し、成長の焦点が海外に移ってきているからでしょう。

この25日に、バーボン好きな方には「ジム・ビーム」や「メーカーズ・マーク」でお馴染みの米ウイスキー最大手のビーム社が臨時株主総会を開き、サントリーによる買収提案の受け入れを賛成多数で決めたといいます。約1兆6500億円の大型買収で、これでサントリーは世界第10位から世界第三位の蒸留酒メーカーとなります。

サントリーは、ワイン事業でフランスのワイナリーを積極的に買収してきた歴史があります。さらに、このところは、2009年にフランスの飲料大手、オランジーナを約3000億円で買収したり、英製薬大手グラクソ・スミスクラインの二つの飲料ブランド事業を約2100億円で買収するといった海外企業買収が目立っていました。今回はさらに突出した大型買収となります。ソフトバンクのスプリント買収が1兆8000億円だったので、それに匹敵する大きな事案です。

ビーム社について、またこの買収については米国の投資顧問会社で活躍されている広瀬隆雄さんがコメントされているので参考になると思います。

ビーム社の買収については、大前研一さんが日経BPで、そもそもビーム社のバーボンは三流ブランド、いくら世界第三位の蒸留酒メーカーになったとしても、バーボンという世界ではマイナーなウィスキーの会社を手に入れる意味がない、どうせお金を貸したい銀行に乗せられたのだろうと痛烈に批判されていますがどうなんでしょうね。

従来とは違った商品は開発できても、マーケティングの競争力としての市場資源の販路を開拓することは労力、なによりも時間を要するので、そのあたりを大前研一さんは過小評価しているのではないかという見方もできます。

飲料メーカーによる海外企業の買収は、サントリーだけの動きではありません。キリンもアサヒも企業買収を進めてきており、さらに商社もからんだもっと大きな流れが海外に向かってきているという話も聞こえてきています。

飲料メーカーだけでなく、さらにグリコがポッキーの世界ブランド化をめざした動きをおこなっています。インドネシアで量販店をフォローする「赤ヘル部隊」は、そのスタイルが面白いだけでなく、いかに販路を確保することがマーケティングの重要な焦点になるかを象徴しているといえそうです。またグリコはポッキーの世界ブランド化だけでなく、インドネシアで現地法人のWINGS社との合弁会社をつくり、冷菓事業の展開も始めるようです。

こういった飲料メーカーや食品メーカー買収によって、海外市場を広げていく動きは、英国やフランスのメーカーと比べるとやや出遅れ感がありますが、今後に期待したいところです。

日本の国際収支は、大きな構造変化が起こってきています。貿易収支は赤字でも、所得収支の黒字で補ってきていることが示すように、もはや日本は貿易立国ではなく、所得収支で稼ぐ資本立国へ移行してきています。つまり現実は、債券の利子収入や海外に投資することによって、そこから得る配当などを得る国にすでになってきており、こういった企業の海外展開は今後とも続くはずです。いやさらに積極的になってくるのではないでしょうか。それに成熟した市場でのグルーバル展開、世界ブランド化を狙うというは、マーケティング力の競争となり、いかにも先進国型の第三の道なのかと感じます。

(2014年3月27日「大西宏のマーケティング・エッセンス」より転載)