巨人Yahoo!ニュースが動く 信頼性と品質高める道筋

Yahoo!ニュースに記事などを提供しているメディア各社を対象に今後の方針などを発表する、「Yahoo!ニュースパートナーズカンファレンス2016」が開催された。

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18日午後Yahoo!ニュースに記事などを提供しているメディア各社(パートナー)を対象に今後の方針などを発表する、「Yahoo!ニュースパートナーズカンファレンス2016」が開催された。

冒頭で挨拶したヤフー株式会社執行役員メディアカンパニー長宮沢弦氏は、メディアサービスの基本方針を明確にするため、「Yahoo!JAPANメディアステートメント」を定めたことを明らかにした。具体的には、信頼性と品質、多様性の尊重、豊かな情報流通の3つを大切にしていくと述べた。又、これらの課題を解決していく上で、外部有識者の意見も参考にするという。

又、宮沢氏は、良質で強いメディア作りを進め、成果をパートナーに還元して共存共栄の関係を築きたいとした。そのためにPVだけではない収益還元の仕方を考えていくと述べた。

メディアビジネス戦略面では、昨年5月トップページのリニューアルとタイムライン化から利用者数、広告収益は増加していることを明らかにした。

次に登壇した、片岡裕メディアカンパニーニュース事業本部本部長兼ニュースユニットユニットマネージャーによると、Yahoo!ニュースは、月間128億PVに達し、パートナー数は226社328媒体、毎日4000本もの記事が提供されている。PCとスマホのPV比率は4対6で、PCは横ばい、スマホは増えているという。意外とPCで見られている印象だが、オフィスなどで見られているのかもしれない。

ニュースアプリのDAU(Daily Active Users:1日にサービスを利用したユーザー数)は234%(2016年1月、対前年同月比)と好調で、やはりスマホでニュースを見るユーザーは着実に増えていることが裏付けられた。

又、動画ニュースの再生数は月間1億再生回数、と伸びており、ウェブニュースにおいて動画のニーズが高まっている傾向がはっきりした。"Yahoo!ニュース特集"も月間100万再生回数になり、より深いニュースの分析や新しい視点の特集記事などへのニーズの高まりを感じる。

そうした中、片岡氏は、ヤフーニュースの目指すものとして、社会や個人の課題を解決することと、その為に人々に行動を起こしてもらうことを挙げた。これはまさに当Japan In-depthの理念と共通する。既存のメディアにはこうした理念が欠けている。Yahoo!ニュースは、ユーザーが関連リンクを読みに行ったり、SNSでシェアしたり、テーマをフォローしたり、コメントを投稿したり、意識調査に参加したりして、その結果、何か行動を起こすことを期待しているという。これを"インタラクション"と表現していた。

そうした理念を実現すためには、良質なコンテンツが大切であることは明白だ。その結果として収益が拡大し、それをパートナーに還元することをヤフーは狙っている。その上で、片岡氏は3つの強化方針として、閲覧機会拡大、配信分析サポート、収益拡大を上げた。

閲覧を増やすために、号外・定時プッシュに加え、パーソナライズプッシュ、例えばユーザーの住む地域のニュースを選んでその地域の人に配信すると閲覧数が伸びるという。今後、テクノロジーの進化に伴い、ユーザー1人1人の興味の対象に沿ったニュース配信が実現していくだろう。

さて、ヤフーが目指す、収益拡大策とパートナーへの還元策として、片岡氏は「課題解決バリュープログラム」を4月にスタートさせることを発表した。これまでのPVに連動した情報提供料に加え、良質な記事を提供するパートナーには、新たな情報提供料を4月から支払うという。ただ、その「新たな情報提供料」は、Yahoo!ニュースの編集部が選出した記事に独自の方式で加算する、とだけ説明されただけで、記事を評価する定量的な基準は示されなかった。

今回カンファレンスで発表された内容は、パートナー側からの「情報提供に見合った還元が少ない」、との声に答えた形だ。一方で、Yahoo!ニュースは、「Yahoo!ニュース個人」や「Yahoo!ニュース特集」など、パートナー各社からのニュースだけに頼らない新たな路線を着々と進めている。今年2月には米・バイラルメディアの雄、BuzzFeed日本版もローンチさせた。

既存メディアはYahoo!ニュースの影響力を無視できないが、かといってただ情報提供にとどまっていてはこれまでのような収益を挙げられないばかりか、媒体としての価値も下がっていくだろう。

SNSで誰もが瞬時に情報を発信したり、入手したりできる時代になった今、各メディアは、コンテンツ(記事)の内容をより魅力的なものに変えると同時に、それらの読まれ方をどうするか、真剣に考えねばならないだろう。

トップ画像:片岡裕氏(メディアカンパニーニュース事業本部本部長兼ニュースユニットユニットマネージャー)©︎安倍宏行