佐々木勇気五段とは?藤井聡太四段を破ったジュネーブ生まれの若き実力派棋士

史上最年少で中学生プロ棋士の藤井聡太四段(14)が7月2日、「第30期竜王戦」決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段(22)に敗れ、デビュー戦以来初の黒星を喫した。公式戦の連勝記録は「29」でストップした。
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Kei Yoshikawa/HuffPost Japan

史上最年少プロ棋士の藤井聡太四段(14)が7月2日、「第30期竜王戦」決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段(22)に敗れ、デビュー戦以来初めて公式戦で黒星を喫した。公式戦の連勝記録は「29」でストップした。

先手の佐々木五段「相掛かり」で仕掛ける

2日の対局は東京・将棋会館で午前10時に開始。先手の佐々木五段は序盤から「相掛かり」の戦型で仕掛けた。両者は互いに「歩」を交換。佐々木五段は定跡にない手も指し、入念に藤井対策を練ってきたことを伺わせた。

昼食休憩を経て、対局は中盤戦に突入。佐々木五段は飛車を敵陣近くに進め、形成は「佐々木優勢」に。藤井四段は長考しながら指す場面が増え、苦戦気味に思われた。

ところが、夕食休憩に入る直前に佐々木五段が指した「▲5八玉」で盤上に動揺が走った。激しいぶつかり合いが想定される7筋〜9筋から「玉」を遠ざけた格好だが、この「受け身の一手」で両者の差が詰まったと思われ、藤井四段の逆転もまだあり得ると見られていた。

だが、夕食後の終盤戦を、佐々木五段は駒得を生かしつつ丁寧に指し進めた。藤井四段は効果的な攻めができず劣勢は決定的に。最終盤もそのまま佐々木五段がリードを維持。午後9時31分、ついに藤井四段が投了を宣言。対局開始からおよそ11時間30分の激闘だった。

藤井四段「完敗です」佐々木五段「意地を見せたいと思った」

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対局終了後の佐々木五段と藤井四段

対局終了後、藤井四段と佐々木五段が報道陣の囲み取材に応じた。

藤井四段は「機敏に仕掛けられてそのまま押し切られてしまいました。完敗でした。連勝はいつかは止まるものなので、仕方がないと思いますが、本局は勝負どころがなく敗れてしまい残念でした」と悔しがった。その上で「(タイトル戦は)まだまだ遠い。また一局一局、真剣に頑張っていきたいです」と、今後の対局に意気込みを見せた。

佐々木五段は、「竜王戦の(トーナメント)表ができてから藤井さんの対策をかなりしてきたので、努力が実って良かったです」と明かした。その上で「プレッシャーは感じたが、私たちの世代の意地を見せたいと思ったので、壁になれて良かったです」と述べ、藤井四段のことを「簡単に(形勢が)悪くならず、後手番でもついてくる。どんな形でも指しこなせる強さがあると思います」とたたえた。

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対局終了後の藤井四段

藤井四段は6月26日の対局で、歴代の公式戦連勝記録を30年ぶりに更新し「29連勝」を達成。どこまで記録を伸ばすか注目が集まっていた。

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ジュネーブ生まれの若手実力棋士 佐々木勇気五段とは

藤井四段の連勝を止めた佐々木五段は、1994年スイス・ジュネーブ生まれ。後に埼玉県三郷市で育つ。2004年、小学校4年のときに「小学生名人戦」で優勝。渡辺明竜王以来の快挙を果たした。

2004年9月にプロ棋士養成機関「奨励会」入会。中学2年だった2008年4月、当時の最年少記録「13歳8カ月」で奨励会三段となった。この最年少記録は2015年、藤井四段が「13歳2カ月」に塗り替えた

2010年、史上6番目の早さとなる「16歳1カ月」で四段となりプロデビュー。これまでの勝率は約6割8分という若き俊英だ。八大タイトルの一つ「棋王戦」の挑戦者決定戦に勝ち進んだ経験もあり、渡辺竜王、佐藤天彦名人、羽生善治三冠を破ったことも。2016年5月には「第23回岡崎将棋まつり」(愛知県岡崎市)の対局で、プロ入り前の藤井四段に勝利している。

佐々木五段は攻めの鋭さに定評があり、「勇気流」と呼ばれる横歩取りの新戦法も考案。佐々木五段の師匠、石田和雄九段(70)は対局前に産経ニュースの取材に対し、「攻めの点では(藤井四段より)勇気の方が上」と語った。

鋭い眼光、端正な顔立ちでも話題に

藤井四段が29連勝した6月26日の対局終了後、対局室には佐々木五段の姿があった。鋭い眼差しで藤井四段を見つめる異彩を放っていた佐々木五段。その姿はTwitterで「鋭い眼光だ」「目力すげぇ…」と話題に。一方で「イケメン棋士」という呼び声もあり、端正な顔立ちもあって、佐々木五段の人気が高まっているようだ。

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藤井四段の感想戦を見つめる佐々木五段(左)=2017年6月26日


ちなみに、この日の対局直前は…


佐々木五段、この日の「勝負めし」は?

この日佐々木五段は昼食に、将棋会館近くの食事処「みろく庵」の「肉豆腐定食+餅を追加」(1050円)を注文。暑さをものともせず、熱々のメニューで藤井四段との力勝負を乗り切る姿勢を見せた。

また夕食では、同じく「みろく庵」の「ミニとんかつ定食」を注文。ボリュームある揚げ物メニューで、勝利を引き寄せた。

【UPDATE】(2017/07/02 22:30)

対局後の藤井四段と佐々木五段のコメントを追記しました。

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