安保法案、全国の地方議会から意見書相次ぐ あなたの街は「賛成」?「反対」?

安全保障関連法案をめぐり、全国の300を超える地方議会から廃案や撤廃などを含めた「反対」の意見書や、「慎重な審議」を求める意見書が出ている。あなたの住む街はどうだろう?
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安倍内閣が進める安全保障関連法案をめぐり、全国の300を超える地方議会から廃案や撤廃を含めた「反対」の意見書や、「慎重な審議」を求める意見書が出ている。7月9日付朝日新聞デジタルの記事によると、安保法案や集団的自衛権の行使容認について「反対」を示す意見書を提出した議会が144、「慎重な審議」を求める議会が181だった一方、「賛成」は6議会しかなかったという。その後、9日に「賛成」の議会が2つ増え、8議会となった。

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GeoFuse / HuffPost Japan

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意見書」は地方自治法第99条で、地方公共団体の公益に関することについて「国会または関係行政庁に提出することができる」と規定されている。法的拘束力はないが、住民の代表である議会の総意として尊重されなければならないとされている。

■賛成意見にはどんなものがある?

安保法案に「賛成」する意見書を提出した6つの市区町村議会は、豊島区、八王子市、三鷹市、調布市、町田市、日野市の東京都の6つの議会。7月9日には長崎県議会秋田県議会の県議会レベルでも可決された。10日には山口県議会でも可決する見込みだ。

秋田県議会では、「今の国会での成立を図るよう求める意見書を出してほしい」という県民からの請願を議会の総務企画委員会が審査。請願には「切れ目のない平和安全法制を整えることにより、『わが国の平和と安全』および『国際社会の平和と安全』をより一層確保できるようになる」という内容が盛り込まれていた

安倍首相の地元、山口県議会で意見書案を提出した自民党の島田教明県議は「集団的自衛権行使には極めて厳しい要件があり、解釈改憲ではなく立憲主義を犯すものでもない」と述べた

■反対意見にはどんなものがある?

「反対」との考えをを示した意見書は、武蔵野市議会鎌倉市議会などだった。南相馬市議会は6月2日、「歴代の自民党政権が憲法上できないとしてきたことをあっさり踏み越え、アジアと世界に不戦を誓った憲法9条を立法によって破壊し、戦後日本の国のあり方を根底から覆すものと言わざるを得ない」として廃案を強く要請する意見書を可決した

県議会では岩手県議会が7月8日、全国で初めて反対の意見書を可決した。意見書は「国民の多くは、政府の説明が不十分であるとしている」としたうえで、政府方針が「立憲主義」に反すると指摘立憲主義とは、憲法によって支配者の恣意(しい)的な権力を制限しようとする思想および制度だが、意見書は「これまで憲法上、集団的自衛権の行使は許さないとしてきた歴代の政府見解を、一内閣において変更することは、立憲主義に反する」という内容だった。

以下に、主な地方議会が賛成・反対・慎重審議の、どの意見書を可決したかを紹介する。(2015年7月9日現在)

【賛成とする意見書を採択した地方議会】

■県議会

  • 秋田県
  • 長崎県

■市区町村議会

  • 東京都:豊島区、三鷹市、町田市、調布市、日野市、八王子市

【反対とする意見書を採択した地方議会】

■県議会

  • 岩手県

■市区町村議会

  • 北海道:旭川市、黒松内町、森町
  • 青森県:外ケ浜町、佐井村、新郷村、平内町、鰺ケ沢町
  • 岩手県:一関市、一戸町、奥州市、宮古市、軽米町、大槌町、滝沢市、二戸市、北上市、陸前高田市
  • 宮城県:美里町
  • 秋田県:羽後町、小坂町
  • 山形県:山形市、南陽市、尾花沢市
  • 福島県:喜多方市、桑折町、古殿町、石川町、川俣町、天栄村、南会津町、南相馬市、浪江町
  • 茨城県:美浦村
  • 埼玉県:宮代町、長瀞町
  • 千葉県:御宿町
  • 東京都:国立市、小金井市、武蔵野市
  • 神奈川県:鎌倉市、中井町、葉山市
  • 新潟県:加茂市、関川村、五泉市、湯沢町
  • 長野県:安曇野市、王滝村、下條村、喬木村、御代田町、高山村、佐久穂町、坂城町、山形村、上松町、信濃町、須坂市、大桑村、大鹿村、辰野町、中川村、南箕輪村、南木曽町、飯綱町、飯山市、飯島町、豊丘村、箕輪町、木曽町、木島平村
  • 愛知県:扶桑町
  • 三重県:東員町
  • 滋賀県:甲良町
  • 京都府:宇治市、向日市
  • 兵庫県:新温泉町
  • 奈良県:三郷町、川西町、大淀町
  • 鳥取県:湯梨浜町、日南町
  • 広島県:三次市、庄原市、世羅町
  • 徳島県:那賀町
  • 高知県:芸西村、香南市、四万十町、大月町、大豊町、田野町、土佐市、馬路村、本山町
  • 福岡県:嘉麻市、苅田町、粕屋町
  • 佐賀県:大町町、大分県:中津市
  • 宮崎県:川南町、門川町
  • 沖縄県:西原町、大宜味村、那覇市、南風原町、北谷町、北中城村、名護市

【慎重な審議を求めるとする意見書を採択した地方議会】

■県議会

  • 三重
  • 鳥取
  • 長野

■市区町村議会

  • 北海道:せたな町、小樽市、帯広市、日高町、名寄市
  • 岩手県:花巻市、久慈市、野田村
  • 宮城県:栗原市、蔵王町、村田町、大崎市、登米市、名取市、涌谷町
  • 山形県:河北町、真室川町、西川町、天童市
  • 福島県:伊達市、会津坂下町、会津若松市、金山町、須賀川市、浅川町、只見町、飯舘村
  • 栃木県:下野市
  • 埼玉県:さいたま市、伊奈町、横瀬町、滑川市、鴻巣市、上尾市、鳩山町、富士見市、北本市、本庄市、草加市
  • 東京都:小平市、千代田区、品川区
  • 神奈川県:相模原市、平塚市
  • 新潟県:胎内市、柏崎市
  • 福井県:越前市
  • 山梨県:甲府市、韮崎市、北杜市
  • 長野県:阿南町、伊那市、栄村、下諏訪町、宮田村、軽井沢町、小諸市、小川村、松川村、松本市、諏訪市、生坂村、千曲市、大町市、中野市、佐久市、朝日村、長和町、東御市、南牧村、白馬村、富士見町
  • 岐阜県:海津市、郡上市、高山市、多治見市、美濃加茂市、本巣市、輪之内町
  • 静岡県:焼津市、富士市
  • 愛知県:稲沢市、岩倉市、犬山市、春日井市、大口町、知多市、碧南市、豊明市
  • 三重県:いなべ市、伊勢市、紀北町、亀山市、桑名市、菰野町、多気町、大台町、朝日町、鳥羽市、鈴鹿市
  • 滋賀県:守山市、多賀町、豊郷町、野洲市
  • 京都府:京田辺市、精華町、大山崎町、八幡市、木津川市
  • 兵庫県:加西市、尼崎市、豊岡市
  • 奈良県:三宅町
  • 和歌山県:かつらぎ町、橋本市、串本町、日高町
  • 鳥取県:境港市、琴浦町
  • 岡山県:赤磐市、奈義町、和気町
  • 広島県:竹原市
  • 徳島県:牟岐町
  • 高知県:土佐町、南国市
  • 福岡県:うきは市、みやこ町、宇美町、吉富町、志免町、大刀洗町、筑前町、中間市
  • 宮崎県:えびの市、高原町、小林市
  • 鹿児島県:南さつま市

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【UPDATE】

・2015/7/10 10:16

慎重な議論を求める地方議会に長野県佐久市を追加。草加市の所属を変更。首都圏府県地図を修正。

・2015/7/13 10:49

反対の意見書を提出した地方議会から東京都狛江市を削除(集団的自衛権行使の意見書が提出されていたが3月時点だったため)

集団的自衛権、憲法解釈の推移
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