青木理氏「週刊ポスト」の「断韓」特集受け「排外主義的な特集に出版社がすがりついている」

テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、テレビで韓国に関するニュースが増えている「理由」についても危機感を示した。
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青木理氏
時事通信社

9月2日発売の週刊誌「週刊ポスト」が「韓国なんて要らない」などと題する特集を掲載し、小学館と関わりのある作家らから「差別扇動」などと批判を受けた問題

発行元の小学館はハフポスト日本版の取材に対し「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」などと回答している

この問題について、9月3日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)が取り上げた際、コメンテーターとして出演していたジャーナリストの青木理(あおき・おさむ)氏が、「排外主義的な特集をするとそれなりに売れるというようなところにある種すがりついている」というような兆候が出版社の中にあると指摘した。

また、韓国についてのニュースに注目が集まる背景に、「韓国が混乱しているということを、ある種のエンターテインメント」としてとらえる感覚が日本社会の中にあるのではないかと指摘し、危機感を示した。

 

■「『韓国を叩いておけばうけるでしょ』というような風潮」

青木氏は、2018年に性的少数者に対する差別的な論文を掲載したとして批判を受け、休刊となった月刊誌「新潮45」(新潮社)について言及した後、こう続けた。

「雑誌が全般的に売れなくなってくる中で、こういう排外主義だったりとか、ある種『ネトウヨ(ネット右翼)』的な特集をするとそれなりに売れるというようなところに、ある種すがりついているっていうような兆候が各出版社にあるんですよ」

「ちょっと派手にうてば売れるだろうみたいなところがあって、これが雑誌業界のほんと悲しいところなんだけど、現実としてそういうのがある」

ただ、これは出版業界だけではなく、テレビ業界の問題でもあると指摘した。

「ただ、テレビもそうですよね。テレビなんかでも最近、『韓国を叩いておけばうけるでしょ』っていうような風潮がものすごい強まって、昔日本(メディア)の方が多様性があって、韓国のメディアの方が反日一色だったんだけど、韓国のメディアの方がむしろ今回、文在寅政権に対する疑問の声が出ている」

「(日本で)挙句の果てには、ヘイトクライムを誘発するような発言をテレビで言う人たちが出てくる。雑誌が平気で特集を組む。あるいは隣国を本当に単に差別しているような本がベストセラーになる。我々もメディアの片隅に生きている人間として、ほんと深刻に考えないといけないと思いますよ」

8月には、TBS系の「ゴゴスマ」で、出演者の韓国に関する発言で批判を受け、番組が謝罪をする事案もあった。

 

■「韓国の混乱はある種のエンターテインメント」ととらえる風潮? 

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G20大阪サミットで握手する安倍晋三首相(右)と韓国の文在寅大統領=2019年06月28日
時事通信社

元共同通信記者の青木氏は、日本人は国際ニュースにあまり関心がないと感じてきたといい、韓国のニュースにこれだけ注目が集まっていること自体には「うれしい」部分もあるとしつつ、テレビで韓国に関する報道が多くなっていることの「理由」への危機感を示した。

「(韓国が)混乱するのは、ちょっとある種うれしい、というような気持ちが、今の日本のある種内向きな気持ちが逆に出てきていると、こういう形の興味の持ち方になるのかなという気が。僕は心配です」

「韓国と対立して、韓国が混乱しているということを、ある種のエンターテインメントというかニュースを楽しむ、みたいな感じが日本の中にあるとすると。興味を持つことはいいんですよ、知ることはいいことなんだけれども、あんまり健全じゃない面も一部にあるのかなという気はします」