おまえらが公道で自動運転実験する時のポイントをまとめたよ

自動運転について調べたことのある方は、自動運転Levelいくつ、みたいな表記を目にしたことがあるかもしれません。
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・・・ということで、2016年4月7日、公道での自動運転実証実験に関する警察庁の公式見解が表明されました。内容的には積極的な実証実験を最大限後押しするような配慮がなされたと言え、公道実験で先行する米国カリフォルニア州と比較しても随分トライしやすい環境になったと考えられます。

そういうわけで、野心的なIT起業家達がこれから公道での自動運転実証実験をバンバン行っていくのでしょうから、「やるぜ!」というみなさんのためにガイドラインのポイントを整理しておこうと思います。

主な出典

改めまして、お世話になっております。

ガリバーの直人です。

主な出典こちらになります。

本記事を書いているのは末端のいち会社員ですので、その内容を100%鵜呑みにするのでなく、実践に際しては改めて原典をご確認いただけますようお願い致します。

基本的には、自動走行システムは交通事故削減、渋滞の緩和等に寄与することから推進の方向。

「日本再興戦略」改定2015において、「完全自動走行の早期の実現を目指す」との政府方針が表明されています。

b)更なる規制改革事項等の実現
⑥完全自動走行を見据えた環境整備の推進
・ 我が国の経済成長を牽引する近未来技術の自動走行システムについては、「官民 ITS 構想・ロードマップ 2015」における自動走行システム、いわゆる「レベル4(完全自動走行)」までの技術開発を目指し、適切に実証実験を実施し、その効果を検証していくことが必要である。


・ このため、今後の技術開発の進展に併せた世界初の社会システムや制度を構築するため、特区等においてレベル4を見据えた安全性に関するデータ収集等に必要な公道実証実験を積極的かつ安全に行うための環境を整備するとともに、自動走行に関する国際的な基準作りに積極的に取り組む。
・ さらに、完全自動走行に係る国際条約改正の議論に取り組むとともに、道路交通法等を含め、事故時の責任関係のほか、運転者の義務等の在り方についても、公道実証実験により得られたデータも踏まえつつ、我が国として引き続き十分な検討を進め、完全自動走行の早期実現を目指す。

※文字数の都合から少しカットしてますので、原典ご確認ください。「日本再興戦略 2015 における自動走行等に係る記述

自動運転について調べたことのある方は、自動運転Levelいくつ、みたいな表記を目にしたことがあるかもしれません。これは米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の段階的指標なのですが、日本版の定義と責任の所在を確認しておきましょう。

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レベル2からレベル3に移る段階で、責任関係が「ドライバー責任」から「システム責任」に変わっています。この点が官民ITS構想2015から大きく踏み込んだ点で、それまでは曖昧だった責任の所在がはっきりしてきました。

この点が明記された背景には、2016年2月にNHTSAがGoogleの自動運転車に対してシステムを運転者と認める見解を示したことが後押しとしてあったのかもしれません。

※この見解に対する考察は Wireless Wire News の記事が非常に詳しいです。

公道実験は可能 (条件あり)。実用化に際してはLevel3以上は法改正が必要 (現状NG)。

関係する法規は道路交通法、加えて昭和39年に批准したジュネーブ条約も考慮する必要がある。ジュネーブ条約より制限の厳しいウィーン条約に関して日本は批准していないため気にしなくてよさそう。

「法改正」の部分ですが、道路交通法では「運転者」を「当該車両等の運転をする者」と記述しており、自動運転車の「運転者」がシステムであるのなら第70条安全運転の義務、第71条運転者の順守事項には抵触しないように見えます (私は法律家ではないので、くれぐれも真に受けないでください) (「運転者がシステムであるのなら」とさらっと書きましたが様々な議論が絶賛議論中のようです) (ちなみに英国では「Driverless Car プロジェクト」という呼称で議論されているらしく、暗黙的に「Driver=生きている人間」というニュアンスがあるようにも感じます)。

一方、ジュネーブ条約については8条1項「運転者がいなければならない」、8条5項「運転者は常に車両を適正に操縦」、10条「運転者は常に車両の速度を制御」などに抵触すると言われており、改定案が議論されているとのことです。

この議論については、日本も2016年3月から国際連合欧州経済委員会 (UNECE) 道路交通安全作業協議会 (WP1) の正式メンバーとなりディスカッションを行っているとのことです。

関係筋によると、WP1 第72回セッションの結果として、「車両のコントロールが可能な能力を有し、それが可能な状況にいればその者が車輌内にいるかどうかを問わず、現行条約の下で実験が可能」という報告がされ、了解されたとのこと (この辺のどっかにエビデンスあると思うんですが見つけられませんでした)。

■市場化等期待時期 官民ITSロードマップ2016

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まあ、いずれにせよ、Level3, 4いずれも市場投入時期(あくまで期待)が2020年になっておりますので、そこまでに調整していくのでしょう。

■市場化等期待時期 官民ITSロードマップ2015

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ちなみに、2015年版ではこんな感じになっておりまして、欧州等と比較した場合のアグレッシブ度合いが浮き彫りになるとともに進捗についてもなんとなくの温度感をうかがい知ることができます。

ざっくりまとめます。

まじでやる場合はくれぐれも原典をご確認ください。

現行法上、Level3,4の公道実証実験は可能

・車両が道路運送車両の保安基準に適合していること。

・運転者となる人間が、運転席に搭乗して常に周囲を関しし、緊急時には必要な操作を行うこと。

・道路交通法をはじめとする関係法令を順守すること。

実施主体の基本的責務

・実験が交通の安全と円滑の確保に支障を及ぼす可能性があり得ることを認識し、十分な安全確保措置を講ずるべき。

※「しなければならない」ではなく「べき」であるのがポイント

※基本責務がここまでシンプルなのは正直意外でした。

テストドライバーの要件

・運転者としての義務を負い、交通事故等が発生した場合は運転者としての責任を負う。

・常に周囲を監視し、必要な場合は安全措置を取る。

関係機関に対する事前連絡

・実施主体は、その内容に応じて必要な助言等を受けるため、管轄する警察、道路管理者、地方運輸局に対し、計画を事前に連絡するべき。

※これも「べき」なのがすごい。ただ、勝手をやって後々規制が強化されると全体の損害になるので、関係各所にはちゃんと相談するようにしましょう!

終わりに

以上です。

くれぐれも言っておきますけど、実施に際しては専門家の助言を仰ぐとともに関係各所への連絡や関連法規の原典確認をよろしくお願い致します!!!

ただ、ガイドラインが整ったこと、規制強化ではなく実証実験の推進にフォーカスしていることなど、ビジネスに携わる側としては非常にポジティブな内容だと感じています。

それでは、よろしくお願い致します!