【道路交通法】自転車の飲酒運転で100万円以下の罰金も 忘れられがちなポイントとは

今年6月から、危険行為を繰り返す自転車運転者に「安全運転講習」が義務化されるのをご存知だろうか? そこで、自転車走行上の規則・ルールをわかりやすくまとめてみた。
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自転車の「法改正」簡単解説 飲酒運転で100万円以下の罰金も!

今年6月から、危険行為を繰り返す自転車運転者に「安全運転講習」が義務化されるのをご存知だろうか? そもそもルールを守って安全運転をしていれば問題ないのだが、実際に自転車走行におけるルールを正確に把握している人は非常に少ない。中には、自転車は自動車と同様に「車両」であるという認識がない人も多いはずだ。そこで、今回は意外に知られていない自転車走行上の規則・ルールをわかりやすくまとめてみた。

■自転車は「軽車両」 歩道ではなく“車道”通行が原則

自転車は道路交通法上では「軽車両」に位置づけられている。そのため、歩道と車道の区分があるところでは、自動車と同様に「車道」を通行するのが原則だ。

違反した場合は、「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」が科せられる。そして、車道を走行する場合は左側通行しなくてはいけない。右側を通行すれば、対面する自動車や自転車と衝突する恐れがあり、非常に危険だからだ。だが、実際は車道の右側を走行する自転車はいまだに多く、事故発生の一因となっている。

一方、歩道のない道路には、車道を白の実線などで区切った「路側帯」を設けている場合がある。このケースでは、「歩行者用路側帯」を除いて、自転車は路側帯を走行することが可能。ただ、以前は道路右側の路側帯の走行も可能だったが、2013年12月施行の改正道路交通法で、「左側」の路側帯しか走行できなくなっている。違反をした場合は、やはり「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」。歩行者の通行の妨げになる場合は、路側帯さえも走行できないルールだ。

例外的に、自転車が歩道を走行できる場合もある。それは、(1)歩道に「自転車歩道通行可」の道路標識がある場合、(2)子どもや高齢者などが運転している場合、(3)車道または交通の状況からみて、やむを得ない場合の3パターン。ただし、歩道はあくまでも歩行者優先であり、自転車は歩道上の車道寄りをすぐに停止できる速度で走ることが必要。歩行者の妨げとなる場合は一時停止しなくてはいけない。違反の場合は、「2万円以下の罰金または科料(※)」が科せられる。

※科料…1000円以上1万円未満

■ルール上は、飲酒運転やライト無灯火も意外に厳しい

このほか、軽車両である自転車には、以下のような安全運転のルールが定められている。飲酒運転の禁止や夜間のライトの点灯など、自動車と同様な規則があることも良くわかるだろう。

(1)飲酒運転はしない(酒酔い状態で運転した場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金)

(2)二人乗りはしない(違反した場合は2万円以下の罰金または科料)。ただし、幼児を乗せる場合は例外的に認められている。

(3)道路は並んで走らない(違反した場合は2万円以下の罰金または科料)。ただし、「並進可」の標識のある場所では、2台まで並進可能。

(4)夜間は必ずライトを点灯する(夜間の無灯火運転の場合、5万円以下の罰金)

(5)信号を正しく守る(信号無視は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)

(6)一時停止と安全確認をしっかり行う(一時不停止は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)

そして、近年問題になっているのが、スマホや携帯電話を操作しながら、ヘッドフォンなどで音楽を聴きながらなどの「ながら運転」だ。自動車と同様に一瞬でも前方から目をそらしたすきに事故を起こすこともあるため、絶対にこうした運転は避けよう。(文:高見和也)

まとめ

・自転車は道路交通法上で「軽車両」の扱い。車道走行が原則で歩道は例外

・車道、路側帯ともに左側通行が義務化

・携帯電話の操作、音楽を聴きながらの「ながら運転」は危険

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