日亜化学、中村修二教授の訪問を丁重に辞退「貴重な時間を弊社に費やすことなく...」

世紀の大発明「青色発光ダイオード」(青色LED)をめぐって、骨肉の裁判闘争をした二者の関係改善はならなかった
|
Open Image Modal
University of California, Santa Barbara professor Shuji Nakamura, Physics Nobel Prize laureate in 2014, poses during a photo session after the award ceremony of the Order of Culture at the Imperial Palace in Tokyo on November 3, 2014. Hiroshi Amano and Shuji Nakamura, two of the three winners of the 2014 Nobel Prize in Physics, and five other were awarded the Order of Culture for this year. AFP PHOTO / KAZUHIRO NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
KAZUHIRO NOGI via Getty Images

世紀の大発明「青色発光ダイオード」(青色LED)をめぐって、骨肉の裁判闘争をした二者の関係改善は進まなかった。

青色LEDの開発者で、ノーベル物理学賞受賞が決まったカリフォルニア大学の中村修二教授は11月3日の会見で、発明の対価をめぐり裁判で争った元勤務先の日亜化学工業(徳島県阿南市)について「過去は忘れて仲直りしたい」と小川英治社長と面会する意向を示したが、日亜化学は4日「貴重な時間を弊社へのあいさつなどに費やすことなどなく」などと文書でコメントし、丁重に断った。

中村教授は11月3日、文化勲章を受章したことを受けて会見で次のように話していた。

中村さんはノーベル賞受賞を契機に「青色LED開発は日亜の貢献が大きく、製品を社会に浸透させたのは日亜の小川英治社長の力だった」と考え直し、関係を改善したいと思うようになったという。中村さんは「人生は短い。けんかしたまま死にたくない。共同研究など将来のことを話したい」と述べた。

【ノーベル賞】中村教授、日亜化学に仲直りを呼び掛け 「けんかしたまま死にたくない…」 徳島大に賞金半分を寄付へ - 産経ニュース 2014/11/03 19:13)

これに対して、日亜化学は以下のようなコメントを出したと報じられている。

「弊社歴代社長と弊社に対する深い感謝を公の場で述べておられ、それで十分と存じております。中村教授が貴重な時間を弊社へのあいさつなどに費やすことなく、研究に打ち込まれ、物理学に大きく貢献する成果を生みだされるよう、お祈りしております

日亜化学 「中村氏からの感謝で十分」 NHKニュース 2014/11/04 15:46)

中村教授は日亜化学に勤めていた1990年代に青色LEDの効率的な製法を開発した。1999年に中村さんが退社して渡米した後、発明の対価をめぐって日亜化学と裁判闘争に発展。2005年に約8億円で和解したが、その後も両者の関係は修復していなかった。

【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

関連記事

日本人のノーベル賞受賞者
湯川秀樹さん(1949年・物理学賞)(01 of17)
Open Image Modal
中間子の存在の予想で受賞。\n\n自宅の庭でくつろぐ湯川秀樹京大名誉教授とスミ夫人(京都市左京区の自宅、撮影日:1977年01月22日) (credit:時事通信社)
朝永振一郎さん(1965年・物理学賞)(02 of17)
Open Image Modal
量子電気力学分野での基礎的研究でノーベル物理学賞授賞。受賞式後、記者会見で金メダルを見せる(右から)朝永振一郎博士、領子夫人、藤岡由夫埼玉大学長(東京・港区のスウェーデン大使館、撮影日:1965年12月10日) (credit:時事通信社)
川端康成さん(1968年・文学賞)(03 of17)
Open Image Modal
『伊豆の踊子』『雪国』など、日本人の心情の本質を描いた繊細な表現による叙述の卓越さが認められ、受賞。\n\nノーベル賞受賞の喜びに顔をほころばす川端康成氏(神奈川・鎌倉市の自宅、撮影日:1968年10月17日) (credit:時事通信社)
江崎玲於奈さん(1973年・物理学賞)(04 of17)
Open Image Modal
半導体におけるトンネル効果の実験的発見\n\n1973年ノーベル物理学賞受賞 (駐日スウェーデン大使館で行われたノーベル賞受賞祝賀会に出席。東京・六本木のスウェーデン大使館、撮影日:2008年11月26日) (credit:時事通信社)
佐藤栄作元首相(1974年・平和賞)(05 of17)
Open Image Modal
非核三原則の提唱で受賞。\n\n三木武夫首相(右)にノーベル平和賞のメダルと賞状を披露する佐藤栄作元首相(東京・首相官邸、撮影日:1974年12月27日) (credit:時事通信社)
福井謙一さん(1981年・化学賞)(06 of17)
Open Image Modal
化学反応過程の理論的研究\n\nノーベル化学賞受賞の喜びを語る福井謙一京大教授(左)と友栄夫人(京都市左京区の自宅で、撮影日:1981年10月19日) (credit:時事通信社)
利根川進さん(1987年・医学・生理学賞)(07 of17)
Open Image Modal
多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明\n\nノーベル医学・生理学賞の受賞が決まり、マサチューセッツ工科大学での祝賀会で真由美夫人(右)と乾杯する利根川進教授(アメリカ、撮影日:1987年10月12日) (credit:時事通信社)
大江健三郎さん(1994年・文学賞)(08 of17)
Open Image Modal
『個人的な体験』『万延元年のフットボール』など、詩的な言語を用いて現実と神話の混交する世界を創造し、窮地にある現代人の姿を、見る者を当惑させるような絵図に描いた功績。\n\n1994年度ノーベル文学賞受賞 (駐日スウェーデン大使館で行われたノーベル賞受賞祝賀会に出席。東京・六本木のスウェーデン大使館、撮影日:2008年11月26日) (credit:時事通信社)
白川英樹さん(2000年・化学賞)(09 of17)
Open Image Modal
導電性高分子の発見と発展\n\n講演する白川英樹博士・筑波大名誉教授(東京都世田谷区の東京都市大学、撮影日:2013年12月18日) (credit:時事通信社)
野依良治さん(2001年・化学賞)(10 of17)
Open Image Modal
キラル触媒による不斉反応の研究で、2001年に化学賞を受賞。\n\n分子模型を前に、研究について記念講演を行うノーベル化学賞受賞の野依良治名古屋大学大学院教授(名古屋市西区のウェスティンナゴヤキャッスル、撮影日:2001年12月26日) (credit:時事通信社)
田中耕一さん(2002年・化学賞)(11 of17)
Open Image Modal
生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発\n\n島津製作所フェロー 2002年ノーベル化学賞受賞者 (京都市中京区の島津製作所本社、撮影日:2010年10月06日) (credit:時事通信社)
小柴昌俊さん(2002年・物理学賞)(12 of17)
Open Image Modal
天体物理学、特に宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献で受賞。\n\n講演会で参加者の質問に答えるノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊東京大学名誉教授(東京・文京区の東大、撮影日:2007年02月17日) (credit:時事通信社)
益川敏英さん(2008年・物理学賞)(13 of17)
Open Image Modal
小林・益川理論とCP対称性の破れの起源の発見による素粒子物理学への貢献\n\nヒッグス粒子とみられる新粒子発見の発表を受け、感想を語るノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(名古屋市千種区の名古屋大、撮影日:2012年07月04日) (credit:時事通信社)
小林誠さん(2008年・物理学賞)(14 of17)
Open Image Modal
小林・益川理論とCP対称性の破れの起源の発見による素粒子物理学への貢献\n\nヒッグス粒子提唱者のノーベル物理学賞決定を受け、記者会見する高エネルギー加速器研究機構の小林誠特別栄誉教授(茨城県つくば市の同機構、撮影日:2013年10月08日) (credit:時事通信社)
下村脩さん(2008年・化学賞)(15 of17)
Open Image Modal
緑色蛍光タンパク質 (GFP) の発見と生命科学への貢献。\n\nノーベル賞授賞式への出発前に、妻明美さん(左)と言葉を交わす化学賞の下村脩・元米ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員(スウェーデン・ストックホルム市内のホテル、撮影日:2008年12月10日) (credit:時事通信社)
鈴木章さんと根岸英一さん(2010年・化学賞)(16 of17)
Open Image Modal
クロスカップリングの開発。\n\n北海道大学触媒化学研究センターの特別招聘(しょうへい)教授の称号記を授与され、握手するノーベル化学賞を受賞した同大学名誉教授の鈴木章さん(左)と米パデュー大学特別教授の根岸英一さん(北海道札幌市、撮影日:2010年12月23日) (credit:時事通信社)
山中伸弥さん(2012年・医学・生理学賞)(17 of17)
Open Image Modal
iPS細胞の作製\n\n京都大学教授、医学者 2012年度ノーベル医学・生理学賞受賞 2012年度文化勲章受章 (春の園遊会で。東京・元赤坂の赤坂御苑、撮影日:2013年04月18日) (credit:時事通信社)