アメリカ・カリフォルニア州は、低所得の家庭にソーラーパネルを無料で提供する取り組みを進めている。費用を負担するのは温室効果ガスを排出する企業だ。
サンフランシスコ・クロニクル紙によると、ソーラーパネルの設置にかかる1470万ドル(約18億円)の費用は、キャップ&トレード(排出量取引制度)で企業がカリフォルニア州に払ったお金だ。
カリフォルニア州のキャップ&トレードは、石油精製所や発電所といった企業に、温室効果ガスを1トン排出するごとにクレジットを購入するよう義務付けている。このクレジットを使って無料ソーラーパネルの設置活動をしているのが、クリーンエネルギーを促進するNPO「グリッド・オルタナティヴズ」だ。
グリッド・オルタナティヴズはこのプログラムを通して、2016年末までに、1600世帯を超える家々にソーラーパネルを設置することを計画している。
「ソーラーパネルを設置した家庭は電気代が節約でき、その分を食べ物や衣類、医療費に充てることができます」と、グリッド・オルタナティヴズの広報担当者ジュリアン・フォーリー氏は、サンフランシスコ・クロニクル紙に話している。
たとえば、体に障害があるロイ・リベラさんの収入は固定されているが、ソーラーパネル設置することで、最初の1年間でおよそ818ドル(約10万円)の電気代が節約できる見込みだ。
ソーラーパネルは、設置費用が高いことが低所得層への普及の妨げになっている。サンフランシスコ・クロニクル紙によれば、設置には1世帯1万5000ドル(約186万円)以上かかる。
ソーラーパネルの普及が収入に影響されることは、アメリカのシンクタンク「センター・フォー・アメリカン・プログレス」が昨年発表したデータからも分かる。データによると、ニューヨーク州、メリーランド州、マサチューセッツ州の3州に設置されているソーラーパネルのうち、平均所得が3万9999ドル(約500万円)以下の地区にあるものは3.5%にも満たなかった。一方、メリーランド州の全パネルの54%以上は、平均所得が9万ドル(約1110万円)以上の地区に設置されているという。
カリフォルニア州のプログラムは、ソーラーパネルを設置するのが難しい低所得層と環境の双方にメリットのある取り組みだ。
デジタルメディア「Vice」のシニアエディター、ブライアン・マーチャント氏によれば、温室効果ガスを排出する企業のお金を使って、恵まれない家庭を支援する方法は、大衆の支持を得やすいという。
「評論家たちも指摘していますが、ランド・ポール(共和党所属の政治家)のような筋金入りの保守派でさえも、環境汚染に関わる企業に税を課し、それを貧しい人々がクリーンエネルギーを使う政策にまわすことを非難するのは難しいですから」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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