ジェンダー研究を禁止したハンガリー、対立した大学がウィーンに大部分移転へ

期限だった12月1日までにハンガリー政府と合意に達しませんでした
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中央ヨーロッパ大学
SOPA Images via Getty Images

ノーベル賞受賞者17人を輩出しているハンガリーの名門私立大学院大学・中央ヨーロッパ大学(CEU)は、12月1日、ハンガリー政府との合意に達せず、講座の大部分を新設するウィーンキャンパスに移転することが決まった

CEUをめぐっては、2017年にハンガリー政府が、外国大学の登録に関する規定を厳格化したことで、政府と大学で対立が起きていた。また、2018年にはジェンダー研究をする学科を廃止する法制度を導入。

こうした教育関連改正法案などによる規制は、保守系で「欧州のドナルド・トランプ」と呼ばれる ヴィクトール ・オルバン政権が行っているもの。アメリカでも単位が認定され、リベラルな学風のCEUを標的にしていると言われている

著名な投資家ジョージ・ソロス氏が設立

CEUは、ハンガリー系アメリカ人の著名な投資家であるジョージ・ソロス氏が設立した大学。出身者にはノーベル賞受賞者を含む多くの著名な学者が名を連ねている。

ドイツ紙ディー・ツァイトによると、CEUは1991年、共産主義の崩壊により設立され、崩壊後の旧東ブロック社会を支援する役割も担い、現在は世界100カ国から集まった約1800人の学生が学んでいる。

CEUのマイケル・イグナティエフ学長は、これまでアメリカで単位認定されるための講座を継続できるようハンガリー政府に訴えてきた。

だが、10月25日には会見で「不幸なことに、ハンガリー政府がこうした要望を受け入れられる解決策を示そうとしない。そのため我々はこの決定を余儀なくされた」とウィーンへの移転方針を発表していた。

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ウィーン移転方針を発表したCEUの会見
CEU公式サイトより

この合意は、12月1日が協議の期限となっており、解決を見ないまま時間切れとなった。

フィナンシャルタイムズによると、リビウ・マテイ副学長は、ウィーンのキャンパス開設について「教授や学生、職員など数千人単位の移動になる。我々は移転を強要され、多大な費用がかかる」と話している。

ジェンダー研究は「税金の無駄」として排除

フォックスニュースによると、ハンガリー政府はジェンダー研究について「入学率が低く、税金の無駄」と表現。「サイエンスではなくイデオロギー」として学位の授与を禁止した。

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ヴィクトール ・オルバン首相
NurPhoto via Getty Images

8月にはオルバンの首席補佐官が「ハンガリー政府は、人間が男か女に生まれるという明確な見解を示している。ハンガリー国家は公的資金をこうした分野の教育に費やすことを望んでいない」と話していた

教育への規制は、2010年5月から続くオルバン政権への批判につながり、2017年4月には退陣を求める8万人規模のデモも起きている

CEUの締め付けへつながったハンガリー政府のこうした教育関連改正法案は、EUの学術の自由や教育の権利に反している疑いが散見され、欧州委員会から警告書が送られている