ヒアリとは? 大阪港でも発見、国内初の女王アリだった。猛毒で死亡例も【UPDATE】

環境省は7月4日、大阪市住之江区の大阪南港で、強い毒を持つ「ヒアリ」を発見したと強い毒を持つ「ヒアリ」を発見したと発表した。
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A macro shot of red imported fire ants eating peanut butter shot by a macro lens
Patarapoom Tungchanta via Getty Images

環境省は7月4日、大阪市住之江区の大阪南港で、強い毒を持つ「ヒアリ」を発見したと発表した

国内での発見は、兵庫県尼崎市、神戸市、愛知県弥富市に続き4件目。今回は、国内初の女王アリとみられる個体も見つかった。環境省ではヒアリが港周辺で繁殖している可能性があるとみて、詳細な調査を進めている。

大阪南港では、別の特定外来生物のアカカミアリが見つかったため、6月30日に周辺を駆除していた。その後、7月3日にコンクリートの割れ目などからヒアリとみられる死骸約50体を回収した。そのうちの1体は形状などから女王アリとみられ、分析を進めている。女王アリの体長は約1センチ。働きアリの2.5〜6ミリに比べて大型なのが特徴だ。

ヒアリは繁殖力が強く、女王アリは1日に2000~3000個の卵を産むことで知られている。

(UPDATE)環境省は4日、「ヒアリの女王アリであることを確認」と発表した。(2017/07/05 14:23)

■ヒアリによる「アナフィラキシーショック」とは?

ヒアリは南米原産の赤褐色のアリで、日本での定着は確認されていなかった。6月9日に兵庫県尼崎市で見つかったのを皮切りに、神戸港、名古屋港で働きアリが確認されていた。

毎日新聞によると、ヒアリは地面に高さ15~50センチほどの巣(アリ塚)を作り、雑食性で何度も刺す強い攻撃性を備えている。刺されると、有毒物質のアルカロイドの作用で激しい痛みやかゆみ、発熱などを引き起こす。

人によってはアレルギー性のショック症状「アナフィラキシーショック」で呼吸困難や意識不明に陥ることもある。ハチに刺されてアレルギー症状を起こしたことがある人は要注意だ。

ACAAI(アメリカ アレルギー・ぜん息・免疫学会)によると、アナフィラキシーショックは小児の0.4%〜0.8%および成人の3%で起こると推定されている。アメリカ合衆国ではハチやヒアリなどの昆虫によるアナフィラキシーの結果で、毎年では少なくとも90〜100人が死亡しているという。

この死亡者のうちヒアリが、どれくらいの割合を占めるのかは不明。1976年のアメリカの科学雑誌に載ったヒアリについての論文には、「アメリカ合衆国で年間に40人以上が亡くなっていると推定される」と書かれている

■国内でのヒアリの確認状況

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環境省の発表と、Google Mapを元に筆者が作成

(1)6月9日 兵庫県尼崎市

5月20日、中国・広州市の港から神戸港(ポートアイランド)に運ばれたコンテナが、同港に陸揚げされ25日まで保管された。翌26日、尼崎市でコンテナ内の積み荷を取り出す際、内部でヒアリの集団が見つかったという。コンテナは神戸市内に移され、消毒。6月9日にヒアリと確認された。

(2)6月18日 兵庫県神戸市

ヒアリが確認されていたコンテナが保管されていたポートアイランドのコンテナヤードを調べたところ、舗装面の亀裂などで約100匹のヒアリを見つかった。緊急防除を実施済みだという。

(3)6月30日 愛知県弥富市

愛知県弥富市にある名古屋港の鍋田ふ頭のコンテナ置き場で、外来種と見られるアリ7匹が見つかった。その場で殺虫剤で処分するとともに、港の管理会社が29日に環境省にこのうち2匹の鑑定を依頼。30日に環境省は、いずれもヒアリと確認したと発表した。

(4)7月3日 大阪府大阪市

大阪南港で、ヒアリとみられる死骸約50体を回収。周辺の緊急調査を実施している。

■関連スライドショー(世界の有毒生物)

(※開かない場合は、こちらへ)

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