福岡県に住む男性カップルが、婚姻届を提出。「同性パートナーは、都会だけじゃなく身近にもいます」

受理されなければ、裁判所に提訴する予定だ
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福岡県に住む男性カップルが7月5日、福岡市内の区役所に婚姻届を提出した。

提出したのは、福岡市に住むまさひろさんとこうすけさんのカップルだ。

日本では同性同士の結婚が認められていないので、ふたりが提出した婚姻届は不受理になる可能性が高い。

まさひろさんとこうすけさんは提出後に記者会見を開き、なぜ婚姻届を提出したのかを語った。

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記者会見するこうすけさん(中央左)とまさひろさん(中央右)。
弁護団提供

■ 1人が亡くなったら、残された方はどうなるのか……不安が押し寄せた

まさひろさんとこうすけさんは2017年の春に出会い、同年6月には一緒に住み始めた。

一緒に生活できるだけで幸せと感じていたこうすけさんが、結婚を真剣に考えるようになったきっかけは、父親ががんと診断されたことだった。

「片方が亡くなったら、残される1人はどうなるんだろうと考え、不安が押し寄せてきました」と、こうすけさんは話す。

2018年3月にはこうすけさんと家を購入した。しかしその頃、結婚できない同性カップルがどれだけ不安定な立場に置かれているかを痛感する出来事があった。

50年近く同居していた大阪府の同性カップルの一人が亡くなった後、残されたパートナーが、相手の親族に火葬の立会いを拒否された上、約束していた財産を相続できなかったというニュースが報道されていたのだ。

さらにそのすぐ後に、闘病中だったこうすけさんの父親が亡くなった。相続の手続きを見聞きする中で、「相続の場面で大切なのは、法律上の親族かどうかということだけということを理解した」とこうすけさんは話す。

こうすけさんは色々調べて、まさひろさんを生命保険の受取人にし、自動車保険の配偶者限定特約にも加入した。

しかし、異性カップルであれば経験しなくていいような、多くの苦労が必要だったと振り返る。

「プライバシーに立ち入った質問にも丁寧に答え、手続き担当者が協力的な人なのかどうかに一喜一憂し、複雑な手続きに頭を悩ませ、法律上の家族よりもずっと少ない選択肢の中から物事を選び取ってこなくてはなりませんでした」

「自分たちが『家族』であることを証明して、『家族』として扱ってもらう。法律上の婚姻ができる人達なら紙一枚で乗り越えられることが、私達にとってはいつもとても高い壁でした」

■ 差別や嫌がらせを受けるかもしれない。それでも顔を出して、取材を受けた理由

婚姻届を提出し、顔を出して取材を受けるべきか、二人は悩んだという。自分たちがメディアで取り上げられれば、差別や嫌がらせを受けるかもしれない。

しかし、それでも取材を受けた理由を、まさひろさんは次のように説明する。

「顔を出して丁寧に気持ちを伝えることで、私達のような同性同士のパートナーは大都会にだけいるのではなくもっと身近にいるということや、みなさんと同じように温かい家庭を築きたいと思ったり、家族の将来を心配したりしながらごく普通に生活をしているということを、実感してもらえるといいなと思って取材を受けることにしました」

さらに、自分たちの姿を見て、LGBTQの人たちが、身近にいるものだと知ってほしいと語った。

「家族でテレビを見ていてLGBTがとりあげられた時に、大人が『気持ち悪い』とか、『身近にいなくてよかったね』と言った時や、誰もそれを否定しなかった時、心の中で『もしかしたら自分は、同性を好きかもしれ ない』と感じている子ども達は、深く傷ついていると思います」

「LGBTはそこにいるということ。 あなたのその発言を当事者が聞いているかもしれないこと。 私達が家族としての普通の生活を求めている姿をみて、たくさんの人達にそうしたことを考えてもらうことが、私達の希望です」

■受理されなければ、国を訴える

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2019年2月14日、同性婚を求める訴訟に向かう原告たち(東京地裁前)

同性同士の結婚の実現を求めて、2019年2月14日に13組のカップルが国を訴えた。現在、北海道、東京、名古屋、大阪で裁判が続行中だ。

まさひろさんとこうすけさんも、ふたりで提出した婚姻届が不受理になった場合は福岡地方裁判所に提訴し、同性婚の実現を求めていく予定だという。