自撮り機能強化で急成長するGoPro 「利用者がますます自己表現」創業者が語る

アクションカメラという新たなビジネスを開拓したGoProの創業者兼最高経営責任者(CEO)のニコラス・ウッドマン氏(40)が11月10日、ハフポスト日本版の単独インタビューに応じた。
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Kosuke Takahashi

かつて日本企業の独壇場だったビデオカメラ市場で、急成長を続けるアメリカ企業がある。スノーボードやスキー、サーフィンをしながら、身につけて撮影する「アクションカメラ」のGoProだ。

GoProは今では、風船やドローン、宇宙飛行士の服にまで取り付けられ、様々な状況で使われるようになってきている。

このアクションカメラという新たなビジネスを開拓したGoProの創業者兼最高経営責任者(CEO)のニコラス・ウッドマン氏(40)が11月10日、ハフポスト日本版の単独インタビューに応じた。

アメリカで、GoProのような新興企業が出てくる背景については、「アメリカにはリスクを許容する文化がある」と述べ、失敗しても許される社会のメリットを訴えた。

■「これまで無かった市場を開拓」

――ビデオカメラと言えば、昔は、日本企業の牙城の製品でした。しかし、GoProの小さなカメラが世界を席巻しています。若い人はそれを頭に載せてスノボやマラソンなどをして、ワンタッチで簡単にYouTubeにアップロードしています。発想一つで伝統的な企業に勝ってきた印象があります。

GoProのカメラはもともと、サーファーが手首に付けて写真撮影するために使われていました。録画できる自社製品が出た時も、初期のものは、他者を撮るためのものでした。この点では、他のカメラメーカーと同じでした。

ただ、GoProと従来のカメラの違いは、それまでは他人を撮るということがメインだったのが、自分を撮ることが可能になったということです。自分が子どもと遊んでいたり、スキーをしていたり、旅行をしたり、ピアノを弾いていたりする姿を自分で撮る。このセルフ・キャプチャー(自己撮影)が、他社と違うところだと思います。自分が自身を撮影するという、これまでに無かった市場を開拓できたと思います。

例えば、それ以前は、休み中に出掛けて撮影するにしても、周りの誰かに「撮ってください」とお願いすることが多かったのですが、GoProがその問題を解決しました。

――自撮りの市場に傾斜していった理由は。

GoProはもちろん自分だけではなく、他者も撮影できます。両方できるということで、より大きなマーケットに進出できました。

私自身も3人の男の子の父親ですが、これまでのカメラではなかなか親が一緒に写れませんでした。GoProですと、家族で一緒に写ることができます。家族にとって一番いい方法だと思っています。

また、人々がソーシャルメディアで今、シェアしているのは、個人的な体験です。人々は自分自身を表現しています。他人に興味や熱意をますます示しているのです。

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■「失敗からは学ぶことが多い」

――御社のように、なぜアメリカでは起業が活発で、成功する企業が出てくるのでしょうか。日本と何が違うのでしょうか。

私は日本のビジネス文化についてはよく知らないので、日本との比較は難しいですが、アメリカでは、とにかくリスクを許容する文化があります。失敗しても大丈夫という文化です。リスクや失敗からは学ぶことが多いので、逆に奨励されていることもあります。ですので、新しいことに挑戦するといったことが、不安がそれほどないままで実行できます。

リスクにとらわれないで挑戦するので、逆に成功した時にはものすごく大きな成功になります。シリコンバレーのテクノロジー企業なども、過去のパターンに押し込められずに成功していると思います。

私自身も最初のビジネスで失敗しました。400万ドル(約4億9000万円)もの投資家のマネーを失いました。1999年から2001年に手掛けた、オンラインソーシャルゲームのビジネスでした。

投資家らは、私に「そこから何を学んだのですか」「次のビジネスにどう生かせますか」と聞いてきました。ビジネス自体は素晴らしかった。どんどんお金をつぎ込み、商品もできたのですが、その頃、ITバブルが崩壊して、広告宣伝までできる投資資金が集まりませんでした。

学んだことは2点でした。私の持っているアイデアは素晴らしかったこと。そして、2つ目としては、人のお金でやるよりも、やはり自分のお金で着実に事業を成長させていきたいということでした。ですので、GoProの時には、自分で親からお金を借りたりして自分のできる範囲でゆっくりブランドやビジネスを立ち上げ、儲かる形で初めから実践できました。

――風船やドローン、ヘルメット、サーフィンボード、腕といった体の一部といった、様々なものにGoProはカメラを装着し、撮影してきました。今後、装着してみたいと思っているものはありますか。

GoProは、1つの特定の使い方というよりも、いろいろな幅広い場所で使われてきました。小さいデバイスですが、人生の瞬間をとらえるモジュールと呼んでいます。スキーヤーだったら胸に付けたり、サファーだったらサーフボードに付けたり、宇宙飛行士だったら宇宙遊泳中に使ったりしています。外科医だったら自分の技術を共有するために頭に付けたりします。母親や父親だったら、子どもに注いでいる愛情や喜びを撮影することができます。このようにいろいろな場面で使われていますが、全部同じGoProです。これからもいろいろな形で続けていけたらと思います。

画質の良さも売り物です。テレビや映画の撮影の場面でも使われています。個人が使っているものが今や、プロが使うところまでいきました。The Martian(火星人)という映画では、GoProが登場します。もともとは一般ユーザー向けのものが、プロによる映画製作まで広がりました。素晴らしいことです。

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■「アップルとは補い合う関係でやっていける」

――2015年初め、アップルがウェアラブルカメラに関する特許を取ったと伝えられました。将来的に競合する可能性がありますが、勝算は。アップルとGoProの共通点と相違点についてはどのように考えていますか。

アップルの特許についてはメディアの間に誤解があったと思います。私たちは今後、アップルが競合製品を出してくるとは思っていません。逆にアップルとはとても良い関係にあります。iPhoneもGoProのアプリを用いており、ライブビデオのリモコン操作を容易にしています。GoProからiPhoneへの映像の配信ができます。今後も補い合う関係を続けていけると思っています。

補足ですが、スマートフォン(スマホ)について言いますと、スマホの方が写真の質がよいのではないか、と聞かれることがあります。スマホとは使用法が全然違います。スマホはまだ他者を撮るということに重きを置いています。GoProは自撮りがメインです。ですので、GoProは、スマホと補完しうる関係でこれからもずっと行けると思います。

――ただ、ますます多くのスマホユーザーが自撮りをするようになってきていますね?

スマホは、撮影者が動かずに使用する場合には良いのですが、動きながら撮るのはダメージを受けるリスクがあります。あまり危険にさらしたくない、とのユーザーの思いがあります。GoProは耐久性が高く、防水性もあります。壊れにくいことが売りになっています。

――GoProで撮影されたユーザー体験を拡散していくには、Twitter、Facebook、Instagram、YouTube、SnapchatといったSNSとますます関わっていくことが求められると思いますが、なにか秘策はありますか。個人的に注目しているソーシャルメディアはありますか。

その全部のSNSが重要ですが、利用者が微妙に違うので、個人向け、ビジネス向けにそれぞれのSNSのプラットフォームに対し、違った働きかけをやる必要があります。自分たちのパフォーマンスを追跡する必要があります。GoPro自身が作り上げたコンテンツにせよ、ユーザーが作ってくれたコンテンツにせよ、ストーリー性があるものが一番ソーシャルメディアで取り上げられることが多いので、そこを重視していくことが重要です。

――御社はビデオカメラ市場でシェアを拡大してきた一方で、株価は過去一年間で、ピークの86ドルから25ドルへと、7割ほど下落してきました。何かてこ入れ策はありますか。

成長しているビジネスでは、イノベーション、成長、ビジョンの実行が重要になっています。私たちが(ナスダックに)上場した時には新製品のHERO4を発売し、うまくいっていたのですが、マーケティングに十分投資をしていませんでした。広報活動にも、もう少し注意を払うべきでした。2016年には、(GoProを搭載したドローンの)Quadcopterといった新製品の投入を考えております。

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