細野豪志氏が率いる「基本政策研究会」は、野党再編の布石となるか?

民主党の細野豪志前政調会長が、自身のグループの会合を、前原誠司前外相のグループの会合と同じ曜日・同じ時間に開催することを決めた。この背景には何があるのだろうか。
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jiji

7月に行われた参院選の責任をとって、政調会長を辞任した民主党の細野豪志衆議院議員が、野党再編に向けて大きい一歩を踏み出した。自身のグループの会合を、前原誠司元国家戦略担当相のグループの会合と同じ曜日・同じ時間に開催することを決めたのだ。

細野氏は、自身が去年10月に立ち上げた「基本政策研究会」の会合を、前原グループと呼ばれる「凌雲会」が毎週木曜日の昼に開催する定例会の時刻にぶつけた。細野氏側は、メンバーの日程の都合上としているが、MSN産経ニュースは、細野氏が前原氏とかつて“師弟関係”にあったことから「下克上」と表現、細野氏が次期代表戦に出馬する可能性を報じている。

党内では変更の理由を額面通り受け止める向きは少ない。木曜の昼には前原グループが定例会を開いているからだ。前原、細野両グループを掛け持ちしている議員は少なくない。16日の会合で細野氏は「グループのあり方も考えたい」と語った。緩やかな「グループ」から、結束を重んじる「派閥」への脱却を狙っているとみられ、次期代表選出馬に向けた「足場固め」との見方も強い。

(MSN産経ニュース「細野氏が前原氏に下克上!? グループ会合同時開催で派閥化 師弟関係崩れる」より。 2013/10/21 11:05)

細野氏は去年10月17日、自身が会長を務める勉強会「基本政策研究会」を設立。昨年の民主党代表選で細野氏擁立を目指した階猛氏ら国会議員議員ら10数人が参加している。なかには、津村啓介氏、小川淳也氏、泉健太氏など、前原グループにも属する議員もいる。

基本政策研究会は2012年11月、民主党とのマニフェストとは別に、「新世代(民主党第三世代)5綱」を発表。鳩山由紀夫元総理や菅直人元総理らの第一世代、野田佳彦元総理、前原誠司元国家戦略担当相らの第二世代に続く民主党の第三世代として、政治家のあるべき姿や、内政、外交についての考え方をまとめた。内容には「世襲政治、企業団体献金と決別する」「弱い立場の人たちのために全力を尽くす」「各地域の土着の資源に目を向ける」「排他的なナショナリズムとは一線を画し、開かれた国益を実現する」「平時は穏やかな政治 有事は大きな政治」という5つを掲げている。

新世代5綱を作った背景について、細野氏は次のように話している。

第一世代、第二世代がつくったもののなかで、これからも継承すべきものは何なのか。民主党がこれまで培ってきたものの中で、残すべきものはなにか。さらに、我々としてはそれをどう発展させるのか。それを議論して5綱という形にまとめた。

(YouTube「細野豪志×松岡正剛×高野孟「民主党新世代5綱について」」より。)

細野氏は1次世代の責任の取り方に、不満があるようだ。参院選大敗が決まった直後には、海江田氏に直接9月中の代表選実施を提案している。

しかし細野氏の動きに対し、第一世代にあたる輿石東氏は「細野はずし」ともとれる発言を行っている。

こうした動きに、輿石東参院議員会長が激怒。周囲に「代表選をやるというのは海江田辞めろってことだろう。細野はもう終わった」と語り、細野氏に「海江田降ろし」とのレッテルを貼りつけた。

朝日新聞デジタル「参院選惨敗民主、刷新も失敗 海江田代表の続投承認 党重鎮に配慮、若返り図れず」より。 2013/07/23)

このような考え方の民主党に、細野氏は飽き飽きしているのではないか。日本維新の会の橋下徹共同代表は、細野氏が野党再編を望んでいるのではないかと発言していた。

「野党再編が必要だと考えている国会議員同士が、新しい党を作ったらいい。既得権益に左右されるかどうかが一番重要なポイントかと思う。自民党と違って既得権益には左右されないというのが対立軸として必要。

新しい党を作るというのであれば、国会議員が中心になるだろう。

早く新しい野党ができることを期待している。

江田(憲司)さんもそういう考え方、おそらく細野(豪志)さんもそういう考え方だろう。

誰が主導権を取るかというくだらない事はせず、国会議員のみなさんで新しい党を作ったらいい。

自民党に対向する勢力を作ることが必要だと誰もがわかっている。

政党から出ればお金がもらえなくなるとか、誰が主導権を取るとかでみんな右往左往しますけれども、お金の問題やポジション争いを考えても日本は変わらない。

(ハフィントンポスト「橋下徹氏辞任を一時表明、野党再編はどうなる?【動向まとめ】」より。 2013/07/27 09:40)

細野氏は参院選投票日当日にも、日本維新の会国会議員団の松野頼久幹事長、みんなの党の江田憲司幹事長と会談するなど、野党再編に向けて動いてきた。7日にも、松野氏や江田氏と東京都内のイタリア料理店で会食しており、将来的な野党再編や党結成について意見を交わしたとみられている。

野党連携の動きは、若手議員の間に広がろうとしている。民主党と日本維新の会、みんなの党の若手らでつくる「DRYの会」は15日、社会保障制度改革に関する研究会「新しい社会保障制度を確立し、世代間格差を是正するための研究会」(新世研)を設立。衆院議員会館での初会合には63人が出席した。

新世研の共同代表となった民主党の柚木道義衆議院議員は、細野氏の「基本政策研究会」のメンバーのひとりだ。柚木氏は自身のブログで、新世研について次のように述べている。

私も維新の馬場議員、みんなの川田議員とともに共同代表として、他のメンバーの皆さんと協力して、新世研版の社会保障ビジョンを示していけるよう全力を尽くします!

安倍首相が所信表明で社会保障改革に触れましたが、世代間格差是正の具体策は不十分です。

新世研は、新しい世代で新しい時代をつくる!の決意で取組んでいきます。

初回は社会保障制度改革国民会議メンバーでもある日本総研の西沢和彦氏から税と社会保障の抜本改革の見取り図をテーマにご講演頂き、意見交換をしました。

社会保障制度改革実現には、民主党の立て直しと野党連携の両方が必要と思います。

(衆議院議員 岡山4区 柚木みちよしの ゆず日記「超党派“新世研”共同代表就任!」より。 2013/10/16 10:01)

また、16日には、民主、維新、みんなの3党の若手・中堅議員らが、防衛政策に関する勉強会を開催している。

民主党、日本維新の会、みんなの党の中堅・若手有志が16日、国会内で防衛政策に関する勉強会を開き、36人が出席した。これまで維新の石関貴史、みんなの山内康一両衆院議員が呼びかけ人となって開催していたが、新たに民主の小川淳也衆院議員が呼びかけ人に加わった。3党の枠組みに衣替えすることで、連携を強化する狙いがある。

(MSN産経ニュース「民・維・み有志の防衛勉強会、36人出席」より。 2013/10/16 19:14)

呼びかけ人のひとりで基本政策研究会メンバーでもある小川淳也民主党衆議院議員は、この勉強会の開催について、自身のブログで次のように綴った。

■野党連携

巨大与党に対峙するには貧弱な野党群になりました。野党再編や政党ブロック論などいろいろな構想がありますが、まず整えるべきは価値や政策の共有と、人を知ること、の二つだと思います。各党の若手を中心に社会保障の世代間格差を是正する勉強会、そして国防に関する勉強会にそれぞれの呼びかけ人として関わります。地道に実直に焦らず、じっくりと今後の野党連携の可能性を探って行きたいと思います。

(小川淳也の活動報告「メール便り(10月17日)」より。 2013/10/17 18:05)

ところが、この報道に対して、野党再編と報じるのは迷惑だという声もある。呼びかけ人のひとり、みんなの党の山内康一議員は、自身のブログで次のように書いている。

どうも維新の会の人たちとマスコミ関係者は、

何かあるとすぐに新党騒ぎと結び付けたがり、

政策の勉強よりも新党騒ぎに熱心です。

今回の勉強会もどうやら維新の会の出席者が、

強引に野党再編にこじつけて宣伝したようです。

個人的には、たいへん迷惑しています。

(山内康一 の「蟷螂(とうろう)の斧」「野党再編騒ぎの迷惑」より。 2013/10/17)

山内氏のように「野党の連携」については、慎重な意見も多い。みんなの党の渡辺喜美代表は19日、自らが塾長を務める政治塾「ヨッシー塾」で、野党再編について次のような考えを話したという。

渡辺氏は講義で野党連携に関し「切り貼り新党ではだめだ。選挙のたびに大きくなっていく純化路線は覚悟が必要だ」と述べ、党方針に据えた「政党ブロック(連合)」構想を推進する考えを強調した。

(時事ドットコム「みんな代表が政治塾=統一選視野に人材発掘」より。 2013/10/19-19:40)

野党の連携についてハフィントン・ポストに寄せられたコメントには、次のような意見もある。

政権交代を考えるならば野党再編は必要だ。自民党が選挙で過半数に近い議席を確保する状況においては「二大政党制」を前提に野党再編を目指すべきだと私は考える。ただ今はその時ではない。「アベノミクス」の成否を見届けたいとほとんどの国民は思っているはずだから。

野党再編よりも「選挙制度改革」で野党が一致協力するべきだ。現状の衆参が同じ「小選挙区比例代表並立制」では議席が大きく増減して安定した二大政党を維持することが出来ない。衆院選を完全小選挙区制に参院選は完全比例代表制にする。前者を政権与党選択選挙とし後者を支持政党選択選挙として機能させる。次回選挙までには何らかの改革してもらいたい。

toshio sandoさん

細野氏は6月に発売になった自著「未来への責任」(角川書店)において、「三年後の代表選の際、もし私を推す声が上がれば、堂々と挑戦できるための準備をしたい」と書いている。細野氏は民主党代表奪取のために動き始めたのか。基本政策研究会は野党再編の布石となり得るのか。今後の動向を注視したい。

野党再編と細野氏の動向について、あなたはどう考えますか。ご意見をお寄せください。

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細野豪志 画像集
細野豪志 (01 of26)
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▽ホソノゴウシ 第42回衆議院議員選挙立候補者(民主、静岡7区)\n\n撮影日:2000年00月00日 (credit:時事通信社)
JAPAN POLITICS NODA DISSOLVE (02 of26)
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Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda (L bottom) attends the general assembly as Seiji Maehara (2nd R), Minister for National Policy, shows his mobile phone to Goshi Hosono (standing), the policy chief of the ruling Democratic Party of Japan, at Japan’s Lower House in Tokyo, Japan, 16 November 2012. Noda talked in a parliamentary debate November 14 with the biggest opposition Liberal Democratic Party president Shinzo Abe that he would dissolve the lower house on November 16 if opposition partie\n\n撮影日:2012年11月14日 (credit:EPA=時事)
細野豪志 (03 of26)
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▽ホソノゴウシ 第44回衆議院議員選挙立候補者(民主、静岡5区)\n\n登録日:2005年09月02日 (credit:時事通信社)
JAPAN ELECTIONS (04 of26)
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Goshi Hosono, policy chief of the ruling Democratic Party of Japan (DPJ) bows his head as election results come in at the party’s campaign center in downtown Tokyo, Japan, 16 December 2012. The Liberal Democratic Party (LDP) returned to power after a three-year blank with an overwhelming victory in the nationwide elections. EPA/EVERETT KENNEDY BROWN \n\n撮影日:2012年12月16日 (credit:EPA=時事)
菅新政権・細野幹事長代理 (05 of26)
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笑顔の細野豪志幹事長代理(東京・永田町の民主党本部)\n\n撮影日:2010年06月07日 (credit:時事通信社)
国会・細野補佐官(06 of26)
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同僚議員に指摘され防災服の裾を直す細野豪志首相補佐官 (東京・国会) \n\n撮影日:2011年03月29日 (credit:時事通信社)
国会・細野補佐官 (07 of26)
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防災服の裾を出したまま衆議院本会議に臨む細野豪志首相補佐官(東京・国会) \n\n撮影日:2011年03月29日 (credit:時事通信社)
福島原発・職員を激励する細野原発担当相 (08 of26)
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東京電力福島第1原子力発電所の免震重要棟にある緊急時対策本部室で、職員を激励する細野豪志原発事故担当相(12日午後0時18分、福島・大熊町)[代表撮影] \n\n撮影日:2011年11月12日 (credit:時事通信社)
原子力規制委・訓示する細野原発事故担当相 (09 of26)
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職員に訓示する細野豪志原発事故担当相=25日午後、東京都港区 \n撮影日:2012年09月25日 (credit:時事通信社)
福島原発・除染体験をする細野環境相 (10 of26)
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東京電力福島第1原子力発電所事故で、放射性物質の除染で民家の軒下の表土を除去する細野豪志環境相(福島・伊達市) (credit:時事通信社)
参加者をなだめる細野原発相 (11 of26)
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将来のエネルギー政策に関する国民からの意見聴取会で、不満をぶつける参加者をなだめる細野豪志原発事故担当相(中央)=15日午後、宮城県仙台市\n\n撮影日:2012年07月15日 (credit:時事通信社)
記者会見する海江田代表ら (12 of26)
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伊勢神宮の参拝を終えて記者会見する民主党の海江田万里代表(中央)、細野豪志幹事長(左)、岡田克也最高顧問(右)=4日午前、三重県伊勢市 \n\n撮影日:2013年01月04日 (credit:時事通信社)
民主党の細野政調副会長 (13 of26)
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インタビューに答える民主党の細野豪志政調副会長(東京・永田町) \n\n撮影日:2009年02月27日 (credit:時事通信社)
都議選・厳しい表情の細野幹事長 (14 of26)
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テレビ番組のインタビューを終え、厳しい表情で開票センターを後にする民主党の細野豪志幹事長=23日夜、東京・永田町の同党本部 \n\n撮影日:2013年06月23日 (credit:時事通信社)
都議選・インタビューを受ける細野幹事長 (15 of26)
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開票経過に関しTV番組のインタビューを受ける民主党の細野豪志幹事長=23日午後、東京都永田町の民主党本部 \n\n撮影日:2013年06月23日 (credit:時事通信社)
参院選・テレビインタビューに答える細野幹事長 (16 of26)
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民主党開票センターで、テレビの中継インタビューに答える細野豪志幹事長=21日夜、東京・永田町の同本部 \n\n撮影日:2013年07月21日 (credit:時事通信社)
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民主党役員会に臨む海江田万里代表(左)と細野豪志幹事長=23日午後、東京・永田町の同党本部 \n\n撮影日:2013年07月23日 (credit:時事通信社)
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民主党幹事長の辞任を表明する細野豪志氏=23日午後、東京・永田町の同党本部 \n\n撮影日:2013年07月23日 (credit:時事通信社)
jpp15054777(19 of26)
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Former Japanese State Minister in charge of nuclear power plant Goshi Hosono, who was in the position after the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident in March 2011, speaks to journalists after bidding a farewell at farewell service of Masao Yoshida, former General Manager in the Nuclear Asset Management Department of the TEPCO and plant manager during the TEPCO’s Fukushima Daiichi nuclear power plant accident in March 2011, in Tokyo, Japan, 23 August 2013. Yoshida died at the age of 58 (credit:時事通信社)
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民主党内グループ「自誓会」の発足パーティーに訪れた人にあいさつする細野豪志前幹事長(右)=7日午後、東京都千代田区\n\n撮影日:2014年04月07日 (credit:時事通信社)
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民主党内グループ「自誓会」の発足パーティーで握手する細野豪志前幹事長(左)と日本維新の会・松野頼久国会議員団幹事長=7日午後、東京都千代田区 \n\n撮影日:2014年04月07日 (credit:時事通信社)
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衆院本会議に出席した民主党の細野豪志元幹事長(右)=23日午後、東京・国会内 \n\n撮影日:2014年10月23日 (credit:時事通信社)
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報道各社の質問に答える民主党の細野豪志元幹事長=17日午後、東京・永田町の衆院第1議員会館\n\n撮影日:2014年12月17日 (credit:時事通信社)
Japan Politics(24 of26)
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Goshi Hosono, a candidate for the leader of the main opposition Democratic Party of Japan, speaks during a debate with two other rivals at the Japan National Press Club in Tokyo, Thursday, Jan. 8, 2015. New leader will be elected on Jan. 18 at the party\'s extraordinary convention. (AP Photo/Shizuo Kambayashi) (credit:ASSOCIATED PRESS)
Japan Politics(25 of26)
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Candidates for the leader of the main opposition Democratic Party of Japan, from left, Akira Nagatsuma, Goshi Hosono, and Katsuya Okada pose for photographers before their debate at the Japan National Press Club in Tokyo, Thursday, Jan. 8, 2015. New leader will be elected on Jan. 18 at the party\'s extraordinary convention. Okada wears an eye patch as he underwent a retinal detachment surgery recently. (AP Photo/Shizuo Kambayashi) (credit:ASSOCIATED PRESS)
Austria Nuclear Agency(26 of26)
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Japan\'s Environment Minister Goshi Hosono speaks during a news conference at the general conference of the International Atomic Energy Agency, IAEA, at the International Center in Vienna, Austria, Monday, Sept. 19, 2011. (AP Photo/Ronald Zak) (credit:ASSOCIATED PRESS)